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ブックレビュー
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「日本人の信条は察しと思いやりだからよ」 というのは『ヱヴァンゲリヲン:破』での葛城ミサトのセリフです。「どうして日本人って危機意識がないのかしら!」というアスカをたしなめるように、このセリフを言いました。 他人の気持ちを察して思いやることは、友達と雑談をするときでも、子どもと関わるときでも、会社で会議をするときも、効果を発揮します。 そこにいる人の気持ちが無視されたまま事が進んでしまうと、その場は良い場になりませんよね。互いが察し合い、思いやり合うことで、友達との飲み会も、子どもとの遊びも、会議も、ワークショップも、良い場になっていきます。 人の気持ちを察し、思いやろうとするとき、ぼくたちは人をよく「観察」しています。今日は「察しと思いやり」のベースになる「観察」とその練習方法について書きます。 ファシリテーターに不可欠な技術は「観察」であるぼくは、さまざまなワークショップをつくって運営
0~2歳の子は「造形遊び」をあまりしません。粘土や絵の具を使うと部屋が汚れます。誤飲のリスクもあります。そのため、家で「造形遊び」をさせる人は少ないでしょう。では、赤ちゃんは造形ができないのか?というと、そうではないと思います。 赤ちゃんにとって造形とは「素材の変形プロセスを楽しむこと」です。たとえば、紙コップをかじること、雑誌のページをビリビリに破くこと、離乳食をテーブルに塗りたくることなどです。 一見、いたずらのように見える赤ちゃんの活動のなかに、ぼくは「造形」の萌芽を見つけました。 タリーズにいって紙コップをかじっていた娘今日、ぼくは夕方暇になったので、0歳9ヶ月になった娘と一緒に散歩に行きました。近所のタリーズに行ってアイスコーヒーを買ってソファ席につきました。ベビーカーに乗せたままだった娘は退屈しているようだったので、冷水を飲むための紙コップをひとつお店からもらい、娘に渡しました
作品や出来事そのものに「なってみる」ことはできるのか?その術とは? ぼくは先日、「小津ダンス」というワークショップに参加しました。その感想を書きなぐります。長すぎて読めぬ!という方のために、ぼくのメモを貼り付けておきます。 小津ダンスとは小津安二郎の映画にでてくる人の動き・身ぶりは、信じがたいほど正確に、複雑に「振り付け」られています。このワークショップ/レクチャーでは、「小津ダンス」を観察し、いっしょにやってみたいと思います。映画の見え方が完全に変わるはず。小津ダンスは、芸術学の研究者である平倉圭さんと、ダンサー振付家の砂連尾理さんが始められた分析であり批評であり、創作の実験であるような活動です。「小津安二郎の映画に出てくる人の動きが変だ…」という発見から、小津による「振付」を分析し、動きを模倣(トレース)し、どのように表象するかを試みています。 立教大学映像身体学科の砂連尾ゼミでは、小
こんにちは。ワークショップデザイナーの臼井です。 教育サービスをつくっていると、よく保護者の方にこんな質問をもらいます。 「よくないことはわかっているんですけど、子どもがやろうとしていることについ手出しをしちゃうんです。どうすればいいですか?」これに対して「簡単なことです。手出しをしなければいいんです」と、言うは易く行うは難し。これって実は超難しいことですよね。 この話、よく仕事で話題にのぼるので、今日は「子どもに手出しすることをやめるのは難しい」ということについてのぼくの考えをまとめておきます。 なぜ手出しするのをやめるのが難しいかというと、大人が「生き方の指針」を変えなければならないからです。それを変えたうえで、目的と手段を確認し、それをちゃんと子どもに伝え、よく観察し、意見を聞き、自分も子どもの葛藤を共有し楽しむ。こんな成熟をもとめられるのです。 とはいえ、ぼくもコツをつかむまで5~
こんにちは。ワークショップデザイナーの臼井隆志(@TakashiUSUI)です。今日は、子どもの「ごっこ遊び」について考えてみたいと思います。 前回の投稿で、子どもは大人にたくさん「遊んでもらう」と今度は子どもが別の人に「遊んであげる」という関わり方をするようになるのだ、という話を書き、LINEで「おたより」を募集したところ、貴重なご意見をいただきました。 「大人に遊んでもらったり仲間とのじゃれ合ったりしている子が、どうやって仲間と対等に遊べるようになっていくのかをくわしく知りたい」「対等な遊び」ができるようになるのは5~6歳からです。いや、大人でも難しい。だいぶ説明をはしょってしまいました。というわけで、今回は5~6歳ぐらいから積極的に行われる「ごっこ遊び」を事例に、それがなぜ高度な遊びなのか。そしてどのように学ぶ遊び方なのかを考えていきます。 対等な関係とはこの「おたより」にもあった「
札幌国際芸術祭で展示された作品。プログラミングされたロボットの先に文房具のカラーペンがとりつけられ、会期中毎日絵画が生成されていく。 こうした作品を作っていく中で「特殊なテクノロジーを使わないとメディアアートは作れないのか?」という問題意識が浮かび、ローテクなものをつかった作品を発表されます。 カーゴ・カルト 扇風機や機械仕掛けのぬいぐるみ、ルンバのような身の回りにあるロボットとペンや油絵の具を組み合わせ、絵画を生成させる作品。宙吊りにされてペンを吊るされた足をバタバタさせるソルジャーのフィギュアやキャンバスの上をのたうちまわるクッキーモンスターには思わず笑ってしまいます。 やんツーさんたちがつくっているのは、「絵を描く機械」であって、絵それ自体ではない。それでいて、目の前でロボットが動き、その動きの痕跡が残っていく、というダイナミズムは、絵画の制作の現場に立ち会う緊張感があります。一体創
ぼくは赤ちゃんの気持ちについて日々リサーチをしたり記事を書いたりしていますが、「赤ちゃんの気持ちは本人にしかわからない」と思っています。本人もよくわからないかもしれません。(というかそもそもぼくたち大人も自分の気持ちを寸分の狂いなく言語化できているのでしょうか) しかし、想像することはできます。仕草や表情から「こんな気持ちなのかな?」と仮説を立て、働きかけてみて、良い反応が得られたら赤ちゃんの気持ちにフィットしていたのでしょう。思わしくなければ仮説が間違っていたのかもしれません。 このとき、自分の仮説が間違っていたことを認められなかったり、そもそも赤ちゃんを自分の意のままにコントロールしようとして関わっていたりすると、イライラするでしょう。ぼくも油断すると「自分が正しく他者が間違っている」という考えに陥りがちです。自分の不利益ばかりを主張したり、愚痴ばかり言うようになってしまっているときは
こんにちは、臼井隆志(@TakashiUSUI)です。普段は0~2歳の赤ちゃん+保護者向けワークショップの開発とファシリテーションをしています。ここでは「子どもの探索活動」をキーワードに子どもの認知・発達・振る舞いについてのリサーチ過程を公開していきます。 前回の記事では、赤ちゃんが世界の意味をどのように人から学ぶのかという話を書きました。大人が赤ちゃんに共感的に関わることで、赤ちゃんはその大人の見ている世界を見ようとしていきます。 この話は、赤ちゃんが「未知の他人」と馴染んでいく過程です。では、人ではなく赤ちゃんが「未知の物」に出会ったときにはどうなるのでしょうか。どのようにしてその物に馴染んでいくのかを考えてみます。 ピアジェの「均衡化」ここで以前の記事で書いたジャン・ピアジェの登場です。彼の考え方に「均衡化」というものがあります。これは、知らないものを知るとき、一度心が「不均衡」にな
こんにちは、臼井隆志(@TakashiUSUI)です。普段は0~2歳の赤ちゃん+保護者向けワークショップの開発とファシリテーションをしています。ここでは「子どもの探索活動」をキーワードに認知・発達・振る舞いについてのリサーチ過程を公開していきます。 前回の記事ではジャン・ピアジェの発達段階説における0~2歳の認知の発達についてご紹介しました。本当は「ピアジェの理論に欠けているのは他者への情動である」という話を書こうかと思っていたのですが、ちょっとヘビーなので、今日は赤ちゃんと関わるときのマインドセットについて、軽く書こうと思います。 そもそもここでの記事は 「子育て経験がないんだけど、赤ちゃん向けのプロダクトをつくることになった。何から学び始めたらいいんだ…」「今度子どもが生まれるけれど、子どもが感じている世界のことを知っておきたい」という方に向けて、何か参考になれば、という思いで書いてい
こんにちは、臼井隆志(@TakashiUSUI)です。普段は0~2歳の赤ちゃん+保護者向けワークショップの開発とファシリテーションをしています。ここでは「子どもの探索活動」をキーワードに認知・発達・振る舞いについてのリサーチ過程を公開していきます。 前回の記事では「赤ちゃんはあらゆる行為のなかで[予測と確認]を楽しんでいる」と書きました。ボールをつかんで落とすとき、ボールが落ちることを予測して、実行して、確認する、という思考の過程があります。 では、この[予測と確認]は、どういう過程を経てできるようになっていくのか。これは発達心理学の礎を築いたジャン・ピアジェ(1896 - 1980)という人の理論をひもとくのがわかりやすそうです。 ピアジェは、赤ちゃんから青年までの発達を研究し、知能の発達には段階があるということを説き、現代の心理学の礎を築いた科学者です。しかも、実験室を使わず、自分の3
こんにちは、臼井隆志(@TakashiUSUI)です。ここでは「子どもの探索活動」をキーワードに認知・発達・振る舞いについてのリサーチ過程を公開していきます。(自己紹介はこちら) 前回の記事では「赤ちゃんは遊びのなかで何を楽しんでいるのか」を知るために、赤ちゃんの観察をはじめたこと、そこから見えてきた赤ちゃんが没入する行動を10個あげてみました。なんとなく「赤ちゃんはいろんなことを考えながら試している!」ということを感じていただけるかと思います。 今回は「赤ちゃんが遊びのなかで何を楽しんでいるのか」という問いに対する考え方を整理していきたいと思います。 文献リサーチ!!!!ぼくは子育て経験もなければ、発達心理学の専門家でも、認知科学の専門家でもありません。それでも、赤ちゃんと関わる仕事を3年続けています。赤ちゃんの感じている世界を想像することは容易ではありませんが、関わりを続けていくこと、
13,133本 日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF
こんにちは、臼井隆志(@TakashiUSUI)です。ここでは「子どもの探索活動」をキーワードに認知・発達・振る舞いについてのリサーチ過程を公開したりしていきます。(自己紹介はこちら) 今日は、ぼくが最初にしたリサーチ「赤ちゃんの観察」についてです。ここで登場する「赤ちゃん」の月齢はさまざまですが、概ね生後6ヶ月〜1歳半ぐらいまでを想定しています。場合によっては2歳ごろまでも含みます。 このテキストで言いたいことは、「赤ちゃんの遊び」というのは、極めてシリアスなものであるということ。彼らは真剣に遊んでいるのだということ。 赤ちゃんは遊びのなかで何を楽しんでいるのかいきなりですが「赤ちゃんの遊び」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。物を口に運んで舐めたり、いないいないばあをすると喜んだり、ガラガラを鳴らしたり、そんな感じでしょうか。概ね、笑顔でニコニコしている印象でしょうか。 7~8年ほど前
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