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[印刷ページ] 溝上慎一の教育論 目次 > 講話 > 書評 小針誠著『アクティブラーニング-学校教育の理想と現実-』 (2018年12月25日掲載 更新なし) *本書評の一部は、『IDE(現代の高等教育)』2019年1月号 に掲載されています。 はじめに 本書は、アクティブラーニングや主体的・対話的で深い学びの施策的な導入、経緯をふまえた上で、アクティブラーニングあるいはそれに類する学習が、これまでの学校教育史上でどのように展開してきたかを、「近代教育史」「戦後教育史」「平成教育史」と3つの時代区分のもと関連づけ整理し、最後に、歴史的な視野からアクティブラーニングの実践的な課題について論じたものである。 アクティブラーニングや主体的・対話的で深い学び、それを取り巻く資質・能力やカリキュラム・マネジメントなど、施策文書や関連文献を網羅的に、丁寧にレビューしている。このテーマは、すでに論や考
第1節 内発的動機づけ 内発的動機づけは、心理学で1940~60年代に隆盛していた2つの主な行動主義アプローチに反論するかたちで提示された動機づけ(注1)概念の一つである(Ryan & Deci, 2000)。 1つは、スキナーのオペラント条件づけ(注2)で、行動は報酬(エサやお金)によって動機づけられる(学習される)と説明された。もう1つは、ハルやミラーによって主唱された動因低減説(注3)で、行動は生理的動因や欲求を低減させるべく動機づけられると説明された。 これらに対してデシは、人はエサやお金といった外部報酬がなくとも(外発的動機づけ)、内なる心理的欲求に駆られて自由選択的に行動するものだ、課題それ自体に喜びや満足をもって取り組むものだと反論した。デシ(cf. Deci, 1971, 1975; Ryan & Deci, 2000)は、このような課題遂行にともなう自由選択や、課題に取り
201 第1章 アクティブラーニング型授業における対人関係の弱い生徒学生への対応 200 溝 上 慎 一 ( 2018b ) 大 学 生 白 書 2018 ― い ま の 大 学 教 育 で は 学 生 を 変 え ら れ な い ― 東 信 堂 溝 上 慎 一 ( 責 任 編 集 ) 京 都 大 学 高 等 教 育 研 究 開 発 推 進 セ ン タ ー ・ 河 合 塾 ( 編 ) ( 2018 ) 高 大 接 続 の 本 質 ― 「 学 校 と 社 会 を つ な ぐ 調 査 」 か ら 見 え て き た 課 題 ― 学 事 出 版 森 朋 子 ・ 溝 上 慎 一 ( 編 ) ( 2017a ) ア ク テ ィ ブ ラ ー ニ ン グ 型 授 業 と し て の 反 転 授 業 [ 理 論 編 ] ナ カ ニ シ ヤ 出 版 森 朋 子 ・ 溝 上 慎 一 ( 編 ) ( 2017b
要点 アクティブラーニングは、米国の高等教育のなかで1980年代提起され、1990年代になって傘概念として定義された学習概念である。 アクティブラーニングは、学校から仕事・社会へのトランジションを背景として、教授パラダイムから学習パラダイム、ひいては学習と成長パラダイムへの転換を促す学習論である。 日本の高等教育では、2008年の学士課程答申で学習と成長パラダイムへと転換し、2012年の質的転換答申で、アクティブラーニングが施策化された。 はじめに アクティブラーニングは、米国の高等教育のなかで提起され、広まった学習論である。したがって、「なぜアクティブラーニングか」は、まず、米国の高等教育でなぜ提起され、どのように広まったのかという観点で説明がなされなければならない。 第1節 米国におけるアクティブラーニングの発展 (1) アクティブラーニングの提唱 active learningは、米
要点 学力の三要素は、「ゆとり」か「詰め込み」かの二項対立的な議論を回収するかたちで、2007年6月に学校教育法も改正して示したものである。下記のように簡潔に示されることが多い。 基礎的な知識・技能 思考力・判断力・表現力等の能力 主体的に学習に取り組む態度 学校教育法に基づく学力の三要素は小学校の教育に向けてのものである。高校教育に向けてのものは、学校教育法で規定される学力の三要素に基づき、高大接続改革答申で次のように示されている。 基礎的な知識・技能 思考力・判断力・表現力等の能力 主体性・多様性・協働性 新学習指導要領では、児童生徒の「何ができるようになるか」という観点を、学力の三要素をふまえて「資質・能力の三つの柱」として示している。資質・能力は、一般的な能力や技能・態度よりも広いもので、イコール「学力」と言い換えてもいいものである。 生きて働く「知識・技能」の習得 思考力・判断力
要約 学術的には、深い学び(deep learning)は、「知識を他の知識や考え、経験等との関係のなかに位置づけ構造化すること」と定義される。 学びにおいて(高次の)認知機能を駆使する過程、すなわち「学びの認知プロセス」こそが、資質・能力、とくに思考力や判断力を育てる原資となる。 授業実践においては、学生の深い・浅いアプローチを採る傾向や好みといったスタイルにかかわらず、一人でも多くの学生が、深いアプローチを採るような教授学習状況を作り出すことが重要である。 文科省施策「主体的・対話的で深い学び」における「深い学び」は、学術的な「深い学び」をしっかり踏襲して説明されていると考えられる。その上で、各教科の特質に応じた深い学びを、より具体的に「見方・考え方」として発展させている。 第1節 学術的な「深い学び」とは 「深い学び(deep learning)」は、学術的には、学習の理解の深さを問
要点 「学校から仕事・社会へのトランジション(transition from school to work / social life)」は、学校から仕事へのトランジションと成人期へのトランジションの2つをまとめたものである。 国際的な文脈をふまえた一般的な「学校から仕事へのトランジション(移行)」の定義は、「フルタイムの学校教育(full-time schooling)を修了して、安定的なフルタイムの職(stable full-time work)に就くこと」である。 日本において近年は、初期キャリアにおける離転職が少なくなく、非正規雇用の形態が多様化・複雑化している。もはや就職=安定的なフルタイムの職とはいえなくなっている現状を鑑みて、国際的に定義される学校から仕事へのトランジションを考えていく状況となっている。 学校教育の目的は、職業人養成だけではなく、新しい生活・人生・社会を力強く
要点 主体性(agency)とは、「行為者(主体)から対象(客体)へとすすんで働きかけるさま」と定義される。これをふまえて主体的な学習(agentic learningあるいはlearning agency)は、「行為者(主体)が課題(客体)にすすんで働きかけて取り組まれる学習のこと」と定義される。 主体的な学習は、「(I) 課題依存型(task-dependent)」「(II) 自己調整型(self-regulated)」「(III) 人生型(life-based)」の三層から成る主体的な学習スペクトラムとして理解される。 アクティブラーニングは、第I層「課題依存型」、第II層「自己調整型」の主体的な学習に対応するもので、第III層の「人生型」の主体的な学習まで求めるものではない。その意味では、アクティブラーニング=主体的な学習ではない。 新学習指導要領の「主体的な学び」は、第I~III
[印刷ページ] 溝上慎一の教育論 目次 > 理論・データ > (理論)初等中等教育における主体的・対話的で深い学び (2017年1月12日掲載 2021年11月29日更新) 要点 学習指導要領改訂に向けての答申(2016年12月21日)が出され、主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」の視点)が提起された。 1年前の『論点整理』と比べると、アクティブ・ラーニングに「深い学び」の視点を加えたことが最大の変更点である。この追加によって、「活動あって学びなし」「活動主義」「はい回るアクティブ・ラーニング」は、アクティブラーニングではないと否定することが容易になるだろうと期待される。 アプローチや定義の違いはあれども、学術的なアクティブラーニングと、答申のアクティブ・ラーニングの視点(主体的・対話的で深い学び)の目指すものに本質的な差異はないと考えられる。 主体的・対話的で深い学びを
要点 アクティブラーニングは、「一方向的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなどの活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う」と学術的に定義される。 アクティブラーニングは、講義一辺倒の授業を脱却すること、学習を社会化することに大きなポイントがある。 伝統的な講義型・講義中心型授業に対して位置づけられるアクティブラーニング型授業は、「講義+AL型」「AL中心型」に類型化される。教育改革のターゲットは、講義型あるいは講義中心型授業を「講義+AL型」授業へと転換させることである。 第1節 アクティブラーニングの定義 (1) 学術的な定義 アクティブラーニングは、米国の高等教育において1980年代に提起され、1990年代に入ってボンウェルとアイソン(Bonwell & Eison, 1991)
詳細へ Shinichi Mizokami's Website ようこそ溝上慎一のウェブサイトへ E-mail. mizokami at toin.ac.jp(atを@に変えて下さい) できるだけメールでご連絡ください。 電話でご用件を伝えたい方は、メールでその旨をお送りください。 2024年3月2日更新 【電車のページ】 快速「はこだてライナー」を撮影しに函館へ行ってきました *この内容を紹介しているYouTube動画「No246(撮り鉄の旅)」も併せてご覧ください。 2024年2月28日更新 【溝上慎一の教育論YouTube】 ※最近のアップ動画 No245) 現代大学生の学習、就職キャリア意識、余暇との関連など-電通育英会主催『大学生のキャリア意識調査2022』の報告書(2023年12月)より- No244(新著の紹介) 新人後輩を指導する7カ条・思考力を伸ばす指導 阿部幸恵先生(東
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