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tabitora.hatenablog.com
産婦人科での内診では思い出があって、あれはまだ私が産婦人科医になる前の初期研修医だった頃。 子宮頸がんの末期の方がいて。その方は、腺がんという、やっかいなタイプで、元々は全国有数の施設に通院していた方だった。 彼女は最初に診断を受けた後、A病院に紹介された。いくつもの内診台が並んだ内診室で、股を開いたまま婦人科医の内診を待つ。 それが終わると、同じ病気の人を全員集めて治療の説明が始まった。 彼女は、自分が人として扱われていないと感じ、手術をキャンセルし、標準医療そのものから遠ざかってしまった。その後、信頼できる医療者と出会い、治療には結びついたが遅かった。それでも、自分のようなことを繰り返して欲しくないと医療者や学生向けに講演をしていた。 私が出会った頃、彼女の尿管はすでにがんに蝕まれていて、体の外から尿を出すための管を入れていたし、足は象のように浮腫んでいて、移動もままならなかった。管の
最近Facebookで助産師からの反ワクチン、反医療の投稿を目にすることが増えてきたので書くことにしました。 今でこそ「自然なお産」という文字を見るだけで「草原かどこかで産むのかな?」と言いたくなるくらい蛇蝎のごとく、必要な医療介入を拒否する不自然な「自然派」を毛嫌いする私ですが、実は産婦人科医になりたての頃は自宅出産、助産院での分娩ええやんけー!大病院のお産は決まった時間に機械のように授乳かー!とか思ってましたからヤバい。その頃にSNSなくてよかった。デジタルタトゥが残ってしまうところでしたわー。 なんで嫌いになったかというと、私の出会ったその手のお産を扱う助産師が、母子の安全は二の次で「自宅や助産院でのお産こそ最高、病院でのお産は敗北」的な人ばかりだったからですね。妊婦と赤ちゃんが死にかけてるというのに紹介もせず妊婦に病院探せと手放し、重症化してから来るものだから(未受診飛び込み分娩と
デヴィ夫人の、「不妊の原因は堕胎」という発言がテレビ番組でありました。 https://www.j-cast.com/2020/10/27397540.html 現在、7組に1組のカップルが不妊症であるとされています。また、体外受精で生まれた子は14人に1人と、不妊治療で生まれる子は割合として増加しており、稀なことではありません。 今回の「不妊の原因は堕胎」という発言は、現在治療中の方が堕胎の経験者であったり、それを隠しているというものであり、妄言レベルで許しがたいものですが、それとは別に、流産手術に関して「この手術を受けることで妊娠しにくくなりますか?」という質問は実はよく受けるものであり、一般的に「流産手術は不妊の原因となる」説はそこそこ浸透しているのではないかとも思います。 これは、「アッシャーマン症候群」という病態のことがなんとなく広まったのかもしれませんので、少し解説が必要かなと
私は一般の産婦人科に勤めているので、悪性疾患ばかり診ているわけではなく、そのような方はその都度関わるかんじです。 研修医の頃に最初に関わった末期の方は子宮頸がんでした。昔々、同じ病気の患者は入院や手術の説明を複数まとめて行っていたため、プライバシーも尊重されず、人間として扱われていない!と怒りを感じて最初の治療の段階で病院を離れ、温熱療法や食餌療法など民間療法をしている間になすすべもなくなってしまった方でした。 その後信頼できる医療機関に出会ってからは可能な治療は行いつつ、以前の経験をもとに人間らしい扱いを受けることがいかに患者にとって大切か、民間療法に費やした時間や諸々がいかに無駄だったか、でも医療者のせいでもあるんやでということを医療者を含めていろんな方にお話をされている方でした。ハキハキと思ったことを言う方だったのですが…。 尿管が癌に蝕まれて尿を出すことができず下半身はバンバンにむ
https://twitter.com/yahoonewstopics/status/1253322297001127937?s=21 千葉から岩手に帰省した妊婦が破水したが受け入れ拒否に遭ったという報道。 はじめに 妊娠がわかって産婦人科に受診する際、産む施設をどこにするのかはたいてい初診時から予定日が決まるくらいまでに確認されます。 自宅近くの産科にするのかや里帰りなど。里帰りの場合、イレギュラーなことがなければ妊娠34週くらいには里帰りを完了して、それ以降通院してくださいねとしているところが大半。里帰りしてしまえばそれ以降は遠距離移動はしないでもらいます。陣痛きたり破水すっかもしれんしね。 分娩予約は、周産期医療が瀕死の状態であり、数の制限をしている施設も多いことから、予定日が決まったあたりで里帰り希望の妊婦さんには希望の施設を探し、連絡して予約を取るように促しています。 お産は前述
ざっくり言うと、デパートに女性のシモにまつわるコーナーができた 以前からタブー視されてきたそれらのことについて、オワコンと言われるデパートがなにか突破口を開きたいと思っている。なおスタッフは希望に合わせて生理中であることのバッジを試験的につけてみている https://www.wwdjapan.com/articles/981032 強制でないにせよ、肯定的な意見はあまり見かけない。炎上を見越しての導入であろうが、そりゃそうだろうなと思う。 デパートに行って、まぁ生理でお悩みのことがあったとして、生理中ですっていうスタッフになにか尋ねようというより、「体調大丈夫ですか?」みたいなことが先に立つし(ヘルプマーク的な)、生理中であろうがなかろうが、経験者であれば困ることや聞きづらいことなどは大まかの予測もつくでしょう。売り場にいる以上それに対応できるスタッフでないといかんわけで。生理中にバッジ
「陣痛時、妊婦の救急車不正利用、タクシーがわりの利用が救急医療を圧迫している!」という意見をツイッターで見て、「ずいぶん治安の悪い地域で勤務されてる先生なのかな…」とまず思ってしまった。 赤ちゃんを産んですぐに赤ちゃん捨てようとした産婦が、股からへその緒ぶら下げてダッシュして逃げた話とか、母乳好きのための風俗で働くおねえちゃんが常に母乳を出す必要があるため、妊娠しては子どもを捨てる話を聞いたことがあったので、そういう地域なのかなと。 そういう、一般的に考えてクレイジーな世界じゃないと、陣痛が来たらイージーに救急車呼んで産院に到着する妊婦というのは想像し難かったわけです。 通常、妊婦はかかりつけの産院があって、初期は4週ごと、最後は毎週通います。その中で、陣痛が来たら?破水の時は?救急車を呼ぶ時はどんな時?といったことについて妊婦と話し合います。夫が出張や夜勤でいないこともありますし、すでに
ガチで死にたいと言われて、多分動揺しない人はいないと思う。 全く別の理由で会いに来ると思ってた知人から、「どうしたら楽に死ねますか」「どうして死ぬ方法を考えてくれないんですか」といきなり言われて、まず自分の思考が停止するのがわかった。楽に死ねる方法を仮に知っていたとして、教えられるわけがなかろう。かといってこの瞬間私はどんな言葉を口にすればいいのか。 精神科の教科書をみても、一般的なことは書いてあっても個別の対応なんて書いていない。 ので、いつか誰かの参考になればいいのだけど、と思って書くことにした。 医療者でなくとも理解不能な話ではないと思う。 とりあえず話をきくと、死にたくなるに十分だろう理由があった。 これはどんな言葉も響かず、虚しく消えていくだけだと確信した。大変だったねとか、つらかったねという言葉は滑っていくだけだ。 薬もたいして効果はないだろうと推測された。どれだけ寝ても絶望は
☆会場でのスライドをそのまま使うのはいかがなものかというご指摘をいただき、各みなさんに承諾をいただいております。 まずはじめに、榎本クリニック 斎藤さん。クリニックで加害者の治療に携わっている。 榎本クリニックは加害者の治療もしている精神科クリニック。 「性暴力の社会病理と予防教育」 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170827-00006568-bengocom-soci ちょうど本を出したばかりなのですね。 この記事に、「長距離通勤者の属性考えたら当たり前だろう」というコメントつけている人も見ましたが、その方は治療に携わっているわけではないので、スルーでいいでしょうね。 実際治療にあたられている方は、本当の加害者像と被害者像を知ってほしいとのことでした。 一番多い性犯罪は痴漢である。加害者で一番多いのは四大卒の家庭持ち。そして、一般的に知られて
学会で聴いたことの書き起こしで、カッコ書きは自分の個人的な感想です。 家族計画協会が得た18~34歳の未婚者の特徴とは。 共有すべきデータとして、1263人から得たデータ。 結婚に期待することとして、女性は経済的に充足が得られるということ、男性では性的な充足が得られるという点で差が見受けられる (男女で全然理由違うっていうのがすげえギャップを感じるというかヤバい。女性は本当に自由を手にしているのか。しかし男性も同様にATMとしての役割を求められ続けていてつらみがある)。 結婚にあたり不安なことで圧倒的な不安が経済的な事情。 人工妊娠中絶は17万、1955年は100万超えだったので減ってきた(いつも20万超えてたから減ったわ!)。 梅毒は急増している(これはなぜなのかは分析がまだ完全ではないけど) 2005年~2011年で大学生の性交経験の確率は減少。これはなぜなのか。 結婚観の変化と経済的
ツイッターを眺めていたところ、 「医療手技はよく『懲らしめ』に使われる。日本の中期中絶は麻酔を使わない、初期中絶も世界の主流である吸引法ではなく痛みを伴う掻把術であるのもそうだ」 「古い手技に固執していることで患者への身体的負担と苦痛をあえて維持している」 「中絶薬が日本で認可されないのは負担の少ない中絶は悪だからという日本的価値判断があるのでは?」 「中絶は開業産婦人科医の主な収入源の一つなので既得権益にしがみついているのでは?」 という精神科医のポストをみて?????ということばかりだったのですが、医師でさえそれならば、そのように思っている人も多いんだろうなー。 というわけで、いや、違いますよということについてつらつら書いていきます。 まず、中期中絶とはなにかですが、膣から手術できない大きさに育った胎児の中絶法です。点滴を使ったり膣剤を使用しますが、通常のお産のように分娩するので痛みが
PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前気分不快気分障害)、特集雑誌を読んでいたら、要治療の患者が推定200万人いるのに実際治療受けてるのは6.5%ほどしかいないと知って倒れそうになっている。前もツイートしたけど自己診断表もあるので、日常に支障をきたしている人は受診して楽になあれ pic.twitter.com/jihU8tfNId— タビトラ (@tabitora1013) 2016年12月27日 ある日、何とはなしに「産科と婦人科」2016年12月号を手に取ると、「月経前症候群、月経前不快気分障害の最新知見」とな。 それが、あまりに知ってくれみんな!という内容だったので、かみ砕いて文章化していこうと思う。 PMS/PMDDとはなんじゃ PMSとPMDDは、古くは紀元前から認識され、古代ギリシャ人は「子宮が胎児を探し求めて体内をさまよい、月経が来るとおさまる」という説を信じていたもよう。
産婦人科の外来やっててけっこう驚くのが、「生理痛はこんなもんだ」と我慢している人があまりにも多いこと。 「痛みで吐く」「学校や仕事は月のうち2日くらいは休んでしまう」「のたうち回るほどの痛みだが我慢している」 いやいや、個人的には生理なんて血が出てるのか出てないのかわからないくらいだし、痛みどめを使うこともほとんどないし仕事休んだこともないって。 特に「痛みどめを飲んでも効かない」痛みは「まーこんなもんだと思う」」でほっとくな。 エコーやMRIで検査しても全く病気もないが痛いってパターンは、よく知らんけど思春期くらいの女の子に多い。 成人以降要注意なのが子宮内膜症。 わかりづらい話になるが、子宮は毎月妊娠に備えて内膜という組織が分厚くなる。妊娠しなければ、次に備えてそれが剥がれ落ちるのが生理というやつで。 原因は不明だが(月経血が卵管を通って逆流するのが原因とする説はある)、内膜が子宮以外
シンポジウムは、シンポジストがそれぞれのお題でお話。記事のボリュームは、なるほど、これは知っとくといいですね的な順になっており、それぞれの先生が密度の濃いお話をされていました。聴き取りながらiPadに入れてたので、聞き逃していることとか多少のズレがあるかもしれません。カッコ内は感じたこととか補足です。 性教育というととかく「セックスを勧めるのか!」「妊娠の知識を持てということは女に妊娠しろということか!」という意見が出るが、どれも的がずれている。 妊娠に関する知識を持つということは、同時に避妊に関する知識も得られるということ。当然、女性だけでなく、男性側も知っておくべきこと。 「中高生に対する低用量ピルの役割の伝え方」 あおもり女性ヘルスケア研究所 蓮尾豊先生 中高生に対して、特に中学2年生くらいのときは、ピルと避妊を積極的に結びつけるのではなく、月経トラブルや月経周期調整の役割があるを伝
2016年11月5日、女性医学会の特別講演として行われた講演を文字にしたものです。カッコ書きは私の感じたことや補足です。 細かい言い回しなどは違う点もあると思いますが、おおむね文字にできたので多くの皆さんに読んでいただけるといいなと。 よく高齢で子どもを産み、その子が障害者であったことでバッシングされる野田聖子さんですが、生の声を聴けたのは良かったです。 (前置きとして、座長の先生と卵子提供に関してバトッたことがあることからスタート。) 1960年生まれで、26歳のとき県議に。産んでから大臣になるのがよろしいのですが、大変遅れてしまった。 でも、世間のキャリアウーマンという集団が、20~30代に出産、結婚の機会がなかったことの証左であり、義務教育では卵子の老化について教えられなかった。 つまり、「社会的不妊」、社会が作り出した不妊である。そのような人たちの代弁をできればと思っているが、カミ
先日、ツイッターを始めてかなり早い段階で相互フォローになった産婦人科医と飲んでいて、うちの研修医もいたので、どういう知り合い方をしたのかというところからの説明になった。 ちょうどツイッターを始めて半年くらいの時期に、東日本大震災が起きた。それまでは、知らない人からフォローされたり、リプライが飛んでくることに戸惑い、「禿同」とだけコメントのついた引用RTにはリプライを返すべきなのかさえ迷う初心者っぷり。 しかし、ライフラインも、陸路空路全てが閉ざされた。情報の全く入らない世界。経験したことがなかった。 「なにか情報を発信してください」と繋がっていた産婦人科医に言われ、病棟の助産師にきいて思いつく限りの有用かもしれないことをツイートし続けた。そういう中で、たいてい今相互フォローの産婦人科医の先生方とはつながった。 その頃のツイッターは、救助や支援を求めるRTで溢れ、極端につらい話や極端にいい話
患者さんに、「先生だったらどうしますか?」ときかれることがある。 医学的にほぼ答えの出ているようなときは、別に私だったらどうするかなんてあんま関係ないけど。と頭の中で思いつつ、「そうすね、こうするかな」というお話ができるのだけど、産婦人科の治療の方向性というのは実に厄介で、今すぐ治療しないとヤバいっす!というものから、総合的に判断して1~2年以内くらいでどうするか決めていきますか、みたいなのんびりしたのまで病状が様々。 筋腫が手術するほどの大きさじゃないけど、30代後半でこれから妊娠したい人。手術したらしばらくは妊活ができない。お産は帝王切開になることが多い。治療しなくても妊娠できるかもしれない。でも治療したら妊娠するのかもしれないけど、もしかしたら妊活できなかった期間の分、卵子の老化が進むからそのせいで妊娠できないかもしれない。100%のお約束はできない。妊娠しなかったのは他にも理由があ
産婦人科で仕事をしていると、たくさんの社会的な問題を抱えた妊婦がやってくる。今日は、男性を渡り歩く妊婦について。 初めて外来に来たときはすでに妊娠20週以上。今までどこの産婦人科にもかかっていない。上に子どもが数人いるが父親は全部別。パートナーという男性と来たが、今お腹の中にいる赤ちゃんの父親もまた違う男性。 そもそもパートナーと言っても、知り合って数ヶ月。子どもたちを連れてパートナーの家に転がり込む。その家族も一緒に住んでいるが、特に交流を深めている様子もなく、ただ同居しているだけ。いきなり転がり込んできた子持ちの女性、しかもどこの男性の子を身ごもっているのかわからない妊婦をどう思っているのかさえわからない。彼女のような相手を変え、住居不定のまま生きている女性はセックスが好きなのか?貞操がない?違う。 男性を渡り歩き、寄生するかのように生活するのは、彼女なりのサバイバル。そういったケース
このまとめや関連するツイート読んでて思ったこととか。→ 医療従事者が語る「善きサマリア人の法」立法の必要性と、司法関係者への不信 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/832036 「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか」コールは何回か経験している。 名乗り出る人はそれなりにいると思う。 役に立てることがあるかもしれない。 名乗り出ない人もいると思う。 訴えられたら?訴えられなくても世間に晒されたら? 今は乗客としているんであって、仕事じゃないしね? 別にどっちがいいというものでもないし、名乗り出ないことで世間様から怒られたり、職業としての怠慢を言われる筋合いはないと思う。 一応おずおずと名乗り出てはいくけど。 名乗り出ない気持ちとしては、「人の命を救うのが医者では?つってもこういうときは無償だし、なんでも善意を無料で使うのはアカンでしょ。人を救え
子宮頸癌で亡くなる人は、年間約3000人。子宮体癌は約1000人。 一方、婦人科検診の受診率は20%程度。進行するまで痛みや体の不調をほとんど感じづらいので、かなり進行してから初めて婦人科を受診する人も。毎年検診だけでも受けておいてくれたらなあ、というのはそこに関わる婦人科医の思っていることだろうと思います。手遅れになった症例を経験すると「どうしてもっと早く来なかったんだ…」という思いが先立ってしまう。 じゃあなんでみんな婦人科検診受けないんだろう?だって年間何千人も死んでるんだよ?自分の体のことでしょ? うん、そうなんだ。それは正論だと思う。あと、受けない人の大半は今そこに差し迫った危機があるわけじゃないと考えてるからだろうな、とは思う。 病気があれば何かの症状が出てくるでしょ、それから受診でいいのでは?という人もいるし、その他に優先する例えば仕事とか家事とか介護とかそういうのがあったり
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