サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
レイングッズ
tanakanews.com
2023年7月15日 田中 宇 来年の米大統領選挙は、トランプが勝って返り咲くか、民主党がまたぞろ選挙不正をやってトランプ勝利を阻止するかの2つの可能性に絞られた観がある。 共和党の候補はトランプで決まりだろう。デサンティスはトランプよりかなり劣勢だ。彼はトランプの副大統領候補になることも否定しており、フロリダ州知事を続けて「次の次」に備える。 共和党は、8月23日にウィスコンシン州で統一候補決定に向けた立候補者どうしの討論会を行うが、ここで明確にトランプをしのぐ議論をする候補が出てこない限り、共和党候補はトランプで決まりだと言われている。トランプは、自分が不利になりそうなら討論会に出ずに優勢を維持する気だ。 (DeSantis Says He Wouldn’t Run as Trump’s Vice President) (No Matter Who Shows, The Debates
2023年7月10日 田中 宇 ウクライナ戦争が始まって500日が過ぎた。この戦争は、ロシアを潰す策として米国が起こしたが、実際は欧州を潰している。フランスは暴動が拡大して内戦になっている。 米諜報界が中東で育成したイスラム過激派が、自由で素晴らしい(笑)移民政策に乗ってフランスに入り込んで破壊してきた。仏内戦は、20年以上前から断続しつつ激化してきた長期戦であり、今後もずっと続く。 (Most French blame liberal immigration rules for riots) (French Gun Control Failed, Leaving Law-Abiding Citizens Helpless As Nation Burned) EUは市場統合されて越境自由だから、EU全体が内戦傾向になる。独などEUは、露石油ガスの喪失とインフレで経済も壊滅。左右エリート政党
2023年6月25日 田中 宇 ロシアで最近、ウクライナとの戦闘を主に戦っていたのは政府軍でなく、ワグネルという民兵団(傭兵団)だった。ワグネルはプーチンと親しい実業家のエフゲニー・プリゴジンが創設し、資金をつぎ込んで兵士を集めた。 ウクライナが2014年に米国によって政権転覆されてロシア敵視の国になり、ウクライナ東部のドンバス2州のロシア系住民を弾圧・殺害し始め、ドンバス2州がウクライナからの分離独立を宣言して今に続く内戦が始まった。その直後、ブリゴジンはドンバスで自衛のために作られたロシア系民兵団を助ける義勇軍としてワグネルを作った。 (On Prigozhin's Insurrection Farce) (Prigozhin Says 20,000 Wagner Fighters Were Killed in Bakhmut Battle) 2021-2022年に米国がロシアを挑発す
2023年6月18日 田中 宇 米ニューヨークの弁護士(Steven Schwartz)が、対話型AIのチャットGPTを使って民事訴訟(飛行機の乗客が機内食配布用のワゴンにはさまれて怪我をした事件の損害賠償請求)の文書(訴状?)を作成したところ、その文書の中に矛盾や事実の間違い(言及した判例の不存在など)がいくつもあり、弁護士はAIが無誤謬だと思い込んで自ら精査せずに文書を法廷に提出したが、裁判官が文書内の間違いに気づいて指摘し、原告(弁護士側)敗訴の判決を下した。 弁護士は、まさかAIが作成した文書にウソがたくさん入るとは思わなかったと後悔の弁を述べている。AIを使って宿題をやる子供と同じだ。 (Lawyer Uses ChatGPT In Court And Now "Greatly Regrets" It) 「多くの職業がAIに仕事を奪われる」などと最近大騒ぎになっているインターネッ
2023年6月7日 田中 宇 5月25日、アルメニアとアゼルバイジャンの首相が、ロシアの仲裁を受けてモスクワで会談し、冷戦終結時から25年近く続いてきた両国の対立(ナゴルノカラバフ紛争など)の終結を宣言した。話し合いで紛争を解決し、国交を再開することになった。 (Armenia and Azerbaijan reveal result of peace talks) 両国はかつてソ連の一部だった。ソ連政府は、自国の分解を防ぐ策として意図的に国内の行政区分の線引きを複雑にした。その結果、ソ連崩壊後、アゼルバイジャン国内にアルメニア人が多いナゴルノカラバフが飛び地として存在したり、逆の飛び地であるナヒチェバンが存在するようになった。 そこから派生する占領問題や領土紛争が起こり、両国は冷戦後ずっと対立や戦闘を続けてきた。 (コーカサス安定化作戦) (近現代の終わりとトルコの転換) アルメニア人は
2023年5月31日 田中 宇 私が接している情報群は米国発が多く、米国の政治に関する話がふんだんにある。だが、私は米政治の話を最近あまり記事にしていない。なぜならウクライナ開戦後、世界の多極化が加速して相対的に米国の重要性が下がり、米国がどんな戦略をとろうが世界にあまり関係なくなったからだ。 米国は911以来の20年あまりで覇権を喪失した。今から覇権を取り戻すのは経済面でも政治面でも不可能だ。経済面だと、ドルや米金融システムはすでに不活性、形式的に存続しているだけのゾンビ状態で、不可逆的な崩壊が時間の問題だ。 政治面では、中国やロシアやサウジが米単独覇権を押しのけて多極型の覇権体制を形成しており、米国はもう失地回復できない。 (世界は意外に早く多極型になる) 米国がどんな世界戦略をとるかが世界に与える影響は以前より大幅に減ったが、それでもゼロではない。 たとえば経済面では、世界経済にとっ
2023年5月26日 田中 宇 5月20日、ロシアの民兵団(傭兵団)ワグネルと政府軍が、ウクライナ戦争の最後の激戦地といわれたドネツク州のバフムト(アルティモフスク)を陥落(解放)した。 (この街は帝政時代にバフムトと呼ばれ、ソ連がアルティモフスクと改名し、ウクライナの米傀儡・反露政権が2016年にバフムトに戻した。露側はアルティモフスクと呼び続けている。米傀儡・反露の日本ではバフムトと呼ばれている。今は併合されてロシアの一部だからアルティモフスクと呼ぶのが正しいが、私は記事を短くしたいので短い方のバフムトを使う) (Ukrainian military official confirms Russian victory in Bakhmut as Wagner head announces city has been taken) バフムトはドネツク州の交通の要衝で、ウクライナ領だったド
2023年5月14日 田中 宇 台湾をめぐって米国と中国が戦争しそうな感じが強まっている。5月11日には、米国主導のNATOが中露敵視策の一環として東京に事務所を開く計画が発表された。NATOの東アジア進出は中国とロシアの結束強化を誘発する超愚策だが、そんなのおかまいなしに米国は東京にNATO事務所を作り、日本に中国敵視を強要していく。 また、最近日本と韓国が結んだ防衛協力の新体制は、米国との3カ国で中国と敵対するためのものだと喧伝されている。 (Warming South Korea-Japan ties sends chill through China over potential US pivot, analysts say) (Nato office in Japan risks further entangling ties with China: analysts) 4月下旬
2023年5月1日 田中 宇 米国が日欧などG7の同盟諸国に対し、ロシアと中国に対する超愚策で自滅的な経済制裁を強要し、間もなく開かれる広島G7サミットで決めたがっている。対露輸出の全面禁止と、半導体製造技術などハイテク分野での対中貿易制限を、米国はG7にやらせたい。 ウクライナ開戦後、G7諸国からロシアへの輸出は制裁開始で半減したが、まだ残っている。ロシア優勢の戦況を変えるため、輸出を全停止してロシアを困らせねばならないと米政府は言っている。 だが実のところ、対露輸出を全面停止して長期的に困るのはロシアでなく日欧の方だ。ロシアは日欧から輸入できなくなった分を中国から買うようになる。中国を経由した迂回輸入も可能だ。日欧製品は中国製品に置き換えられ、とくに欧州の輸出産業が打撃を受ける。 (Allies resist US plan to ban all G7 exports to Russi
2023年4月24日 田中 宇 米政府が4月12日、自動車メーカーに対し、これから10年かけて二酸化炭素の大幅な排出削減を義務づけ、ガソリンやディーゼルのエンジンの内燃自動車の生産を妨害し、電気自動車の生産を事実上義務づけていく「温暖化対策」の新政策を打ち出した。 電気自動車で最重要な部品は製造費の3-4割を占めるバッテリーで、そこではリチウムやマンガン、ニッケル、コバルト、希土類などの鉱物が不可欠な材料だ。米国や同盟諸国が「温暖化対策」をやるほど、これらの鉱物資源が重要になる。 それを見越したかのように最近、米国側の敵である中国が、他の非米諸国を誘い、リチウムなど重要な鉱物を非米側で専有し、米国側に渡さないようにする資源戦争の様相を強めている。 ("This Is Industrial Suicide": Biden's EV Plan Could Be Key To China's G
2023年4月16日 田中 宇 フランスのマクロン大統領らが4月4-7日に中国を訪問した。昨秋に独裁を確立した習近平が、世界を多極化するために、イランとサウジの和解仲裁や、訪露してウクライナ戦争の和平仲裁を提案するなど、外交攻勢に打って出た。これに呼応してマクロンが訪中した。 (Macron Goes to China: Whose Side Is He On?) 米国側は、台湾問題や中露結束を理由に中国への非難を強めており、マクロンも中国を批判・加圧するような感じをばらまきつつ訪中した。だが蓋を開けてみると、マクロンは中国を批判せず、逆に、中国と戦略パートナー関係を締結して協力し合うことを決めた。またマクロンは、欧州を米中と並ぶ世界の極の一つにしたいとか、欧州は米国の傀儡から自立せねばならないとか、台湾問題は欧州が関与すべき問題でないとか、ドルへの依存を下げるべきだなど、反米非米的な発言
2023年4月4日 田中 宇 サウジアラビアとロシア、その他の産油諸国で構成するOPEC+が4月2日に、日産115万バレルの石油減産を5月から実施すると決めた。OPEC+が減産を決めた理由をマスコミは報道しておらず「減産は得策でない」という米政府のコメントを報じているだけだ。減産は単なる愚策で、OPEC+が馬鹿なだけか??。実は全くそうでない。 (Death By 1.15 Million Cuts) この減産によって、米欧は不況になっているのにインフレがぶり返し、金融救済のために利上げをやめたい米連銀(FRB)は、インフレ対策への再注力が必要になって利上げをやめられず、利上げ傾向が米欧の金融危機を再燃させ、ドルや米覇権の崩壊が早まる。サウジが米国側から非米側に転じてすっかり非米側の組織になったOPEC+は、米国側と非米側の対立激化の中、米国側の覇権やドルを潰すために今回の減産を決めた。
2023年3月28日 田中 宇 私のツイッター <URL> は昨年から、ツイッター社が問題視する登録者たちを隠然と抑止する「見え方操作策」(visibility filtering)の一つとおぼしき「フォロワー増加抑止監獄」(growth prison)に入れられている疑いがある。それまで何年間か一定の速度で増え続けてきたフォロワー数が、昨年後半から29700人前後で増えなくなっている。先月、ウクライナ戦争など国際政治経済について鋭く分析している米国のブログ「アラバマの月」 <URL>が、フォロワー増加抑止監獄に入れられていたと書き、それが私自身の状況に似ていたので、自分も「囚人」かもと思った。 (THREAD: THE TWITTER FILES PART TWO. TWITTER’S SECRET BLACKLISTS) ツイッターやフェイスブック、グーグル、マイクロソフトなど米国ネッ
2023年3月23日 田中 宇 中国の習近平主席のロシア訪問が終わった(3月20-22日)。マスコミは中露敵視・中露結束軽視の歪曲報道ばかりだ。対照的にオルトメディアは、この訪露による中露の結束強化が、中国とロシア、それから非米側諸国にとって重要であると指摘している。ウクライナ戦争だけでなく、米覇権の崩壊と多極化という大きな流れの全体にとって大事な転換点になりそうだ。しかし、何がどう重要なのだろうか。オルトメディアを読んでも、今のところまだ明確な分析に出会っていない。自分で考えてみる。 (China Gives US Advice On Ukraine After Xi, Putin Pledge To Shape New World Order) (Joint Russo-Chinese Statement: US Biowarfare Activities, AUKUS Submari
2023年3月19日 田中 宇 この記事は「リーマン以上の危機の瀬戸際」(田中宇プラス)の続きです。 昨年から危機に陥っている世界最大級の銀行クレディスイス(CS)が、米国からの金融危機の波及でいよいよ潰れそうになっている。CSが潰れたら、2008年のリーマン倒産時よりはるかに大きな米欧の経済破綻になる。リーマン倒産時は、まだ金融界にも当局にも余裕があった。対照的に今は、リーマン危機後の15年間の延命策で金融界も当局も余力を使い果たしている。当局がこれ以上の延命策をやれなくなったので、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻に始まる今回の金融危機が発生し、それが欧州に波及し、すでに脆弱化していたCSにとどめの一撃を与えている。CSが潰れたら、当局も金融界もその衝撃を吸収する資産がないので、リーマンより大きな打撃を米国側全体が受ける。 (Some Credit Suisse counterpart
2023年3月17日 田中 宇 3月10日、中国の仲裁でサウジアラビアとイランが和解した。サウジとイランは2016年から対立し続け、両国の首都にある互いの大使館も閉鎖されていたが、今回は対立を解消して相互の大使館を2か月以内に再開し、安全保障や貿易投資などの分野の協力も再開することを決め、両国の代表が北京で合意文に調印した。米国の支配下にあった中東で、中国がこれだけ大きな外交業績を挙げたのは画期的だ。 (China-brokered Iran-Saudi Deal Threatens to Push US Out of the Gulf and Washington Knows It) (Iran, Saudi Arabia agree to resume relations, reopen embassies) サウジとイランと中国は昨年末から和解交渉を重ねていたが、交渉では英語を全く使
2023年3月8日 田中 宇 この記事は「さらに進む覇権の多極化」の続きです。 前回配信した前編は、ウクライナ戦争の長期化でこれから中露主導の非米側が台頭し、既存の米国覇権は世界の全部から一部へと縮小することを書いた。非米側は中国やロシアの一極支配でなく、BRICSの5か国などの諸大国や地域連合(ASEAN、GCC、アフリカ連合など)が、力の優劣はあるもののおおむね対等に立ち並ぶ多極型の覇権体制になっている(少なくとも今のところ)。いずれ、米国側も単体または分裂した形(米国と欧州と英国系が別々に、とか)で、この多極型の新たな覇権体制(新世界秩序。笑)に入っていく。そのような、きたるべき多極型の世界はどのようなものになるのか。中国が米国に取って代わって中国の単独覇権の世界になるだけだよ、と言いたがる人もいる。多極型なんて不安定でうまく行くわけないとか、米覇権は強いから崩壊するわけないよ、と言
2023年3月6日 田中 宇 ウクライナ戦争の長期化で世界は、米国側と非米側に分断された状態が固定化している。米国はウクライナ開戦後、全世界がロシアを強く敵視してウクライナに味方することを強要した。米国は2014年にウクライナの反ロシア派(主にネオナチ)をテコ入れし、政権転覆して米傀儡の極右政権に替え、ウクライナのロシア系住民を殺害弾圧し続けてロシアを怒らせ、ウクライナを内戦に陥らせた。米国は2021年秋からウクライナ内戦を激化させ、ロシアが露系住民を守る正当防衛としてウクライナに侵攻するように仕向け、2022年2月の開戦につなげた。ウクライナ戦争は米国の策略として起こされた戦争で、ロシアは被害者の側だ。しかし米国側(米欧日)のマスコミは、善悪を逆転してロシアを極悪に描き、米傀儡のウクライナ軍が国内の露系住民を殺し続けたことを意図的に無視してウクライナを善玉に描く歪曲報道・プロパガンダのみ
2023年2月23日 田中 宇 2月20日、ポーランドを訪問中の米バイデン大統領が、公式日程になかったウクライナのキエフ(キーウ)訪問を電撃的に行った。同行した米記者団は、バイデンがキエフに行くかもしれないと予測していたものの、列車で行くとは思っていなかったらしい(ウソっぽいが)。バイデンはポーランド国境から10時間の列車の旅をしてキエフを訪問し、キエフに5時間滞在した後、再び10時間かけてポーランドに戻った。米国側マスコミの中には、バイデンが飛行機を使うこともできたのに、象徴的な意味を込めて列車の旅を選んだかのように報じているものもあるが、大間違いである。バイデンは列車で行くしかなかった。ウクライナ全土の上空は開戦直後からずっとロシアが制空権を握って飛行禁止区域に設定している。バイデンが飛行機で行ったらロシアのミサイルに撃ち落とされて死んでいた可能性がある。 (Biden Visits
2023年2月13日 田中 宇 間もなく開戦から1年がすぎるウクライナ戦争で、軍事的に最も重要なことは、昨年2月末の開戦日以来、ウクライナ全土の上空の制空権をロシアが握っていることだ。ロシア軍は開戦日の数時間でウクライナの空軍や防空施設の大半を破壊して制空権を奪取した。ロシア政府はその日のうちにウクライナ上空を飛行禁止区域に設定してICAOに通告した。それ以来、外国の民間機はウクライナ上空を飛んでいない。欧米の政府高官らがキエフなどウクライナを訪問する際は、すべて列車を使っている。露軍はウクライナ国内の列車運行を認めており、列車が最も安全な移動手段になっている。ゼレンスキーも昨年末の訪米時、列車でポーランドに出国し、そこで飛行機に乗り換えた。 (The Fog Of War Descends, Don't Expect This To Be Resolved Any Time Soon)
2023年1月31日 田中 宇 米国の軍産複合体系の権威あるシンクタンクであるランド研究所が「ウクライナ戦争を長引かせると米国の国益にならない。早く終わらせた方が良い」と主張する論文を発表した。「戦争を長引かせるな」(Avoiding a Long War)と題するこの論文は、ウクライナ戦争が長引くほど、対露経済制裁の反動で世界のエネルギーや食糧の価格が高騰して米国に不利になり、軍事と経済の両面での米国のウクライナ支援のコストも上がると言っている。また戦争が長引くほど、ロシアと中国との結束が強まって中国に有利になるし、米国がウクライナ支援に資金と国力を取られるほど、米国は中国と敵対するための余裕が不足し、中国が米国を押しのけて台頭することを阻止できなくなると警告している。 (Avoiding a Long War) (Ukraine - RAND Study Sees Risks In P
2023年1月24日 田中 宇 1月16日から20日まで開かれた今年のダボス会議は、テーマが「断片化された世界における協力のあり方」(Cooperation in a Fragmented World)だった。ウクライナ戦争によって世界が米国側と非米側に分裂し、非米側の諸国が米国側(米覇権)の言うことを聞かなくなっている状況下で、米国側がどのように非米側に言うことを聞かせるかを考えよう、という意味がこのテーマに込められている。ダボス会議に集まるのは米国側を代表する政治家や財界人、学者、NGO運営者などであり、エスタブ権威筋の人々だ。彼らは、歪曲報道を鵜呑みにして集団思考的に「ウクライナ戦争は米国側(ウクライナ)の優勢、ロシア(非米側)の劣勢で進んでおり、最終的に米国側が勝ってロシアが負け、非米側の結束も崩れる」と考えており、それを前提に、どのように非米側を再び米覇権の傘下に戻すかを考えよう
2023年1月15日 田中 宇 この記事は「コロナ対策やめて世界経済の中心になる中国」(田中宇プラス)の続きです 中国で、人々の64%にあたる9億人がすでに新型コロナに感染したことがあると推計する調査を北京大学の研究者が発表した。インターネット上での検索数などからの推計で、甘粛省や雲南省など内陸部の感染率がとくに高く、80%を超えている。昨年末に中国政府がゼロコロナ策をやめてから感染が急増し、すでに感染拡大は山を越えているが、1月下旬からの旧正月の帰省ラッシュでさらに感染が拡大すると予想されている。 (Chinese Study Estimates 900M COVID Infections) (Faced with a new wave of Covid, China is opening its borders – was Beijing left with no other choi
2022年12月30日 田中 宇 この記事は「中露が誘う中東の非米化」の続きです。 前回の記事で、中国の習近平が12月初めにサウジアラビアを訪問して、アラブ諸国の全体との関係を強化した話を書いた。その後わかったのだが、習近平とサウジのMbS皇太子は、世界経済を根底からひっくり返すような内容の取り決めを結んでいた。それは、サウジがこれまで輸出原油のすべてを米ドル建てで売っていたのをやめて、輸出原油の多くを人民元建てで、中国とその傘下の諸国に売る新体制に移行する話だった。 (Inflation, Recession, & Declining US Hegemony) 習近平のサウジ訪問に合わせてアラブなど30カ国の首脳陣がサウジに結集し、習近平と会っている。サウジだけでなく、UAEやクウェートなどペルシャ湾岸のアラブ産油国の全体が、ドル建てで米国側(米欧など)に売る石油を減らし、人民元建てで中
2022年12月21日 田中 宇 12月7日、中国の習近平主席が6年ぶりにサウジアラビアを訪問した。同時期にサウジにアラブ諸国など30か国の首脳らも集まり、初の「中国アラブサミット」が開かれた。権力者のMbS皇太子らサウジ王政は習近平を大歓迎し、今年7月に米国のバイデン大統領のサウジ訪問の時よりはるかに大規模な歓迎式典がおこなわれた。中国とサウジは、経済金融や科学技術、エネルギー、製造業などの関係強化を決めた。 (Xi Jinping's Saudi Trip & The Overthrow Of Atlanticism) (OPEC Humiliates President Biden On A Global Stage) 笑えるのは、両国が結んだ協定の一つが、地球温暖化対策での協力関係の強化だったことだ。11月にエジプトで開かれたCOP27では、中国とサウジが協力して、石油ガスの利用制
2022年11月19日 田中 宇 11月15日の午後、ポーランドの対ウクライナ国境近くのプシェボドフ村に1発のミサイルが着弾し、村の2人が死亡した。ミサイルはウクライナから飛んできたものだった。ロシアとの戦場になっているウクライナの上空は、防空レーダーなどによってNATOに詳細に監視されている。ウクライナからポーランドに飛んだミサイルは、瞬時にNATOによつて確認され、即時にポーランドを含むNATO加盟諸国に伝達されたはずだ。だがポーランド政府(外務省)は事件発生後まもなく、着弾したのは「ロシア製のミサイル」だと発表し、ポーランドに駐在するロシアの大使を呼びつけて詰問した。 (NATO’s hair trigger: The Polish missile incident was a close brush with nuclear annihilation) (2022 missile
2022年11月11日 田中 宇 この記事は「中間選挙で米国が変わる?」の続きです。 米国で11月8日に行われ、まだ開票が続いている中間選挙(連邦議会・州議会・州知事などの選挙)で、民主党側が広範な選挙不正を行っている可能性が増している。米国では、前回2020年の総選挙(大統領・連邦議会などの選挙)でも民主党側が、コロナ対策を口実に拡大された郵送投票制度などを悪用して広範な不正を行い、再選されるはずだった共和党のトランプ前大統領が敗北させられて民主党のバイデン現政権になり、連邦議会も上下院とも多数派が民主党になった。不正が行われた2020年の選挙管理体制はその後も残り、今回再び不正が行われた疑いがある。民主党に対する米国民の支持はかなり落ちたので、不正がなければ今回の中間選挙は民主党の惨敗、共和党の圧勝になるはずだったが、ふたを開けてみると、共和党は辛勝した程度になっている。民主党が権力を
2022年11月8日 田中 宇 米国の連邦議会は、11月8日の中間選挙で、多数派が上下院とも、これまでの与党民主党から、野党の共和党に転換しそうだ(結果の確定は数日後かそれ以降になる)。2020年の大統領選のように、民主党が選挙不正をやったとしても、選挙結果を覆せないほどの差になっている(共和党系の分析者たちは、民主党が支配するいくつかの州で選挙不正をやりそうだと予測している)。大統領が民主党のバイデンで、議会多数派が共和党だと、ねじれ現象になり、多くのことが決まらない状態になる。だが、それによって米国の何かが大きく変わりそうかというと、今のところそのようには見えない。 (Midterm Red Alert: Expect the Steal in These Dem-Run States) ("It's Not Looking Good" - Martin Armstrong Warns
2022年10月27日 田中 宇 中国で、権力者の習近平が、自らの独裁権力をさらに強めている。独裁政党である中国共産党は、1970年代に毛沢東の個人独裁体制が崩れてトウ小平が権力に就いてから、2012年に胡錦涛(トウ小平の最後の弟子)が権力を降りて習近平と交代するまで、覇権国である米国から工業技術や資本を供給されて米製造業の下請けとして経済発展させてもらう見返りとして、(共産党上層部内だけの)民主主義や、リベラル主義(少しの言論の自由)、市場主義(資本主義。改革開放路線)など、米国に気に入られようとする政治経済体制を採用・演出していた。1970年代末から2012年まで、共産党は党内民主主義を重視して党上層部が合議制の集団指導体制を採用し、個人の独裁が禁じられていた。権力者の任期も2期10年に定められていた。だが、2012年に権力の座についた習近平は、これらのトウ小平路線を次々と壊し、個人独
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『田中宇の国際ニュース解説』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く