事件はなぜ起きたのか 「死にたい」とつぶやいた者たちは、本当に死を望んでいたのか。 なぜ、家族ではなく、その外部に救いを求めたのか。 SNSに溢れかえる「死にたい」の声に、私たちはどう向き合うべきか。 『失踪の社会学』で颯爽とデビューした俊英による快著。 本書は座間9人殺害事件を扱うが、事件の内容を詳細に記述したルポルタージュではない。したがって、既存の報道でまったく明らかになっていない情報は本書には含まれていない。また本書は、事件の一部始終を一つの物語としてまとめたノンフィクションでもない。 もちろん、座間9人殺害事件がどのような出来事であったのかを整理はするが、 あくまでも主目的は、事件について社会学的に考えることである。 したがって、何かしらの「真相」を「暴く」ような内容が描かれることは一切ない。 本書が、座間9人殺害事件について描くのは、「死にたい」という言葉が一種のメディアとして