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宗教二世の山上被告が恨んでいたといわれる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の合同結婚式(2020年2月、韓国) REUTERS/Heo Ran <ある宗教の熱狂的な信者となった母のために地獄を味わった筆者が、洗脳を免れ、親子の縁も断絶するに至ったわけ> 安倍元総理を銃撃した犯人、山上徹也被告の初公判について種々の調整が行われているが、現段階では依然公判前の段階である。そういった中で、「宗教二世」という言葉がクローズアップされて久しいが、拘留中の山上被告のもとに、これら宗教二世からの手紙が複数届けられていることが、先般の報道によって明らかになった。 その子細な内容は判然としないものの、この事象から類推するに宗教二世とされる人々が、山上被告の暴挙の是非は置いておくとしても、少なくとも被告と似たような境遇として、共感や救いの思いを強く持っていることは想像に難くない。 翻って私は、そういえば宗教二
<日本のマンガ、アニメや農産品、ファッションを海外に売るために政府も出資して設立されたクールジャパン機構が巨額赤字で危機に陥っている。筆者は2018年からこうなることを予想していた。むしろ問題は、こんな駄目ファンドが生まれ、今まで続いているかということだ> 破滅に向かうクールジャパン機構 11月22日付の朝日新聞で『失速したクールジャパン 政府肝入りファンドに「最後通告」』という記事が出た。要約すると第二次安倍政権の肝いりとして2013年から官民ファンドとして設立されたクールジャパン機構(以下CJ機構)が21年末の段階で累積309億円という巨額の赤字を垂れ流しており、財務省が23年度中にも機構の統廃合を検討しているようである。 予想された結果である。私は2018年、CJ機構が東南アジアにおける事業計画の一大拠点として開店させたマレーシア・クアラルンプールの「ISETAN The Japan
<ひろゆき氏が沖縄で基地反対の座り込みをしている人たちを揶揄したとき、それが「クール」だと便乗する人の心理> 2ちゃんねる創始者で元管理人の西村博之氏が、沖縄・辺野古における新基地建設反対派を重箱の隅をつつくようにして揶揄したことが現在でも波紋を広げている。24時間かたときも座り込みをする訳ではないのならそれを座り込みとは呼ばないか否かは、実のところ本質ではなくまったく重要な要素ではない。 重要なのは抗議の継続性であり、その文脈の中で座り込みという単語を使っているに過ぎない。キャンプシュワブのゲート前で昼夜を問わず居座り続けることは物理的に不可能であることはよく考えなくともわかる。「24時間継続しているわけではないこと、それが何だというのだろうか?」で終わる話であるが、こういった微細な点をあげつらって嘲笑にのネタに使っている姿は端的に下品であり、観るに堪えない。 「何かの社会問題や政治課題
参政党は今回の選挙で「政党」に昇格。写真左下は東京選挙区に立候補した同党の河西泉緒氏(6月22日、東京) Issei Kato-REUTERS <「自尊史観」を唱え「天皇中心の国」を掲げながら、保守論壇からもネット保守からも支持らしい支持は受けていない。では誰が支持しているのか。答えは、もう一方の重点政策「食と健康、環境保全」にある> 政治団体「参政党」が今回の参院選挙全国比例で1議席(神谷宗幣氏)を獲得した(今回選挙で"政党"に昇格)。当初泡沫と思われた参政党はなぜ議席を獲得したのか。実は、当選した同党事務局長の神谷宗幣氏と私は約10年前に出会った。彼と一緒に少なくない期間、仕事をした経験もある。神谷氏とはいったいどのような人物なのだろうか。彼の思想から参政党は如何にして生まれたのか。令和の政界に突如として現れた参政党の実態に迫る──。 参政党は2020年4月に政治団体として結成された。
<ウルトラマンのファンとしては感動ものだが、筆者は、『シン・ゴジラ』のように何度も何度も絶叫しながら見たいとは思えない> 話題沸騰中の『シン・ウルトラマン』を劇場公開初日(5/13)に見てきた。鑑賞前の最大の懸念点は、本作の監督が『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(前編)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(後編、いずれも2015年公開)を手がけた樋口真嗣氏であったことである。この『進撃の巨人』実写版については、興行成績が如実に示す通り、前編と比較して後編が圧倒的に劣後した。 つまり前編の評価が芳しくなく、後編の客足が鈍ってしまったのだ。この『進撃の巨人』実写版は、一部から『北京原人 Who are you?』(1997年)に並ぶ「アレ」な感じであるとの酷評もあった。脚本や俳優の活躍は良くとも、映画演出が極めて稚拙な場合、こういった評価点
背中を押すのはたやすいが、思いとどまらせるのは簡単ではない towfiqu ahamed-iStock. <記事の終わりに「いのちの電話」の番号さえ入れればどんな自殺報道も許されるかのような風潮がまかり通っているが、自殺報道そのものが背中を押すことを忘れてはならない> センシティブな話題であることを承知で書き始めるが、近年著名人の自裁報道に関して非常に違和感がある。該事案を報道する際に、記事の終わりに必ず「いのちの電話」等の相談ダイヤルを付してあるのだ。当然、著名人の自裁は、社会的に大きな影響を与え、自裁のキワにいる人々にネガティブな影響を与えるのは必定であるから、このような配慮は当然なされるべきである。しかし記事の最後にこの一文が挿入されることによって、逆説的にその人の死因が自裁である、とほぼ断定できてしまう。そもそも、その人の真の死因は、遺体を解剖しなければ確定的な結論を得るのは難しい
<時間の無駄で、一部の生徒には苦痛でしかない全校集会という前近代的な風習がまだ残っていた> 5月7日の山陰中央新報の記事が大きな話題になっていた。なんでも、成長期の学童に「体育座り」を半ば強制するのは、骨や筋肉の成長途上であることを考えても、体に悪影響大であるからやめた方が良いのではないか、というものであった。体育座りというのは、最早我々老人は忘却しているが、あの、飛行機に乗るとシートの中に挟んである「緊急姿勢」に似た、両の足を両手で抱え込んで丸まっこく座る、例のあの姿勢のことを指す。健康科学上、このような姿勢が学童にどのような悪影響を与えるかは完全に立証されていないものの、実際に腰痛などを訴える学童が多く、現実的に我々は学校を卒業して体育座りなど一度もやったことがないわけであるから、相当非日常的な座り方である。 しかしながら問題は、体育座りの是非というよりも、まだこんな前近代的な風習が学
1941年12月7日の真珠湾攻撃で沈む戦艦アリゾナ。これと9.11とは別物なのか Navy/U.S. Naval History and Heritage Command/Reuters <9.11と並べられて不愉快だと言う人たちは、真珠湾攻撃は「軍施設のみを標的とした紳士的攻撃」だというのだが> ウクライナのゼレンスキー大統領が、3月16日に米連邦議会のオンライン演説で「9.11」と「真珠湾攻撃」を取り上げたことで、特に日本の保守派から猛烈な反発が沸き起こっている。そのほとんどが、「9.11」はワールドトレードセンター等を標的とした民間人へのテロだが、真珠湾攻撃は軍事施設を標的とした攻撃であり、同列に論じられるのは不愉快である、というもので、これを以て「ゼレンスキーやウクライナへ同情するのをやめた」という日本の保守派ユーザーからの嫌悪感が沸き起こっている。 「9.11」の時、米メディアは
<ヒトラーは追い詰められてポーランドに侵攻した、プーチンのウクライナに侵攻もそうだ、新型コロナウイルスは世界支配のためアメリカがやった、等々の陰謀論を信じる人々は、「世界は複雑であり、一言で説明することなどできない」という現実から逃避しているのではないか> ロシア軍によるウクライナ侵攻(正確には再侵攻と言った方が正しいが、便宜上こう書く)が始まってから、当然大義なきこの侵攻に対し、世界はおろか日本でも激しいプーチン批判が沸き起こっている。 そのような中、プーチン批判者の私の元にも「一方的にプーチンが悪いとか、ロシアが悪いと言わないでください!」というメッセージが主としてSNS上で続々と届く。このようなメッセージの中には、ほとんど必ず、パターンは若干異なる(全編か、切り抜きか、再編集かなど)にせよ或る2本の動画が引用されている。 この2本の動画というのは、"「ひとりがたり馬渕睦夫」#40 ゲ
<昨日までの世界は砕け散った。世界は再び、武力によって、しかも適当な開戦理由をでっちあげて他国を侵略できる時代に逆戻りした> 2022年2月24日正午ごろ、プーチン大統領の対ウクライナ宣戦布告と侵略開始で、世界が変わってしまった。私が「勝手に」信じていた世界観は、砂上の楼閣である以前に蜃気楼だと徹底的に思い知らされた。もう元に戻らないだろう。 昨年末ごろから、日本でもロシア問題の専門家や軍事事情通が、ウクライナへのロシア軍国境展開とその危険性を大きく伝え始めた。当然彼らは殆どの場合、アメリカの偵察衛星や諜報機関から直接情報を仕入れているわけではなく、客観的な報道や現地情報へのアクセス等で「ロシア軍の侵攻は近い」と判断していた。私は雑誌『軍事研究』を定期購読する程度の趣味人のレベルだが、当然この手の話題には敏感であった。 しかし当時、私も、或いはロシア専門家も、軍事通も、その少なくない人々が
<二極化する不動産市場の最安物件を狙って一国一城の主になる法> 不動産は人生で一番高い買い物である、という時代は終わった。人口減少で魅力のない地域の不動産は、いまやタダ同然で手に入る時代である。本稿で記述するのは、坪単価1万円程度未満の不動産であり、この購入と活用方法を詳述する。 筆者は趣味で不動産を漁るのが好きだ。とここまで書くと、そんなに資産があるのか?と思われるかもしれないが売れぬ売文業でありむしろ貧乏である。そんな私が暇になると不動産を見て回っているのは、東京近郊には坪単価1万円未満程度の「無価値不動産」がごろごろと眠っており、活用方法によっては大きな利益を手にすることができるからである。 ちなみに上の写真は、筆者が数年前に購入した茨城県の小屋付き土地である。購入後に内装を一新してはいるものの、使用に耐えうる堂々たるワンルームに仕上がった。この不動産の価格は幾らかというと、約30坪
<今のところ、Dappiは自民党と取引のある法人アカウントというだけで背後関係はわからない。しかし万が一にも利益供与があったと判明すれば内閣は吹っ飛ぶ> 疑惑のツイッターアカウントDappiについて、やおらネット上での反応はとどまるところを知らない。立憲民主党の小西洋之議員が該アカウントから誹謗中傷を受けたとしてIP開示請求を行ったところ、Dappiは自民党と取引がある法人アカウントであることが判明したのである。 Dappiについては、ツイッターでの投稿規則が概ね就業時間内に収まっていること、或いは自民党関係者しか入手できない内部資料を基にツイートがなされていた等の事実から、自民党の関係者ではないか、という疑惑が従前から出ていた。むろん、今般明らかになった事実と突き合せれば、自民党と取引のある法人アカウントというだけで、その後背にどのような関係性があるかまでは判然とはしない。 自民党と取引
<他人に凄惨な暴行を加え、それを武勇伝のように誇り、ときに非難されながらも「カルチャー」の隠れ蓑に隠れてきた加害者と、それを知りながら許してきた者の罪は大きい> 小山田圭吾氏が東京五輪の作曲陣から辞任を発表した。遅きに失したものの当然の進退決断である。そもそも今次問題を「小山田のいじめ告白問題」などと銘打っている場合があるが、小山田のやったことは本当にいじめなのか。全裸強制、自慰強制、食糞など、小山田のやったことは「いじめ」などではなく虐待を通り越して単なる犯罪行為である。読んでいて吐き気がした。よく家裁送りにならなかったモノだ。 小山田の告白が掲載された1994年(1月号)のロッキング・オン・ジャパン誌は、刊行年月日から類推するにおそらく1993年に収録されたものであろう。これを以て1)「当時のサブカル誌の潮流の中では当たり前の事だったから致し方ない」2)「雑誌の内容が全て事実であるとは
<ワイドショーやYouTubeに毒され、知的レベルが下がる一方の日本人を救えるのはラジオしかない> 衝撃的なニュースが飛び込んできた。6月15日、全国47局のラジオ局のうち44局が2028年までにFMに移行すると発表したのである。これによって、首都圏でも著名なTBSラジオ、ニッポン放送、文化放送などは少なくともあと7年程度で完全にFM局となる。思えば私の人生の中で、はじめて「レギュラーコメンテーター」を任されたのはTOKYO FMの報道番組だった。現在ではこの番組自体が終了しているが、民放AM各局が足並みをそろえてAMを捨て、FM局に移行するというのは驚天動地の驚きである。 しかし、ラジオ関係者はこれを概して好機として捉えているようだ。AMは言うまでもなく長波である。長波はその周波数の特性がゆえに広大な聴取圏を持ち、これであるから日本海側の各県では北朝鮮のAMラジオが聞けたほどである。私は
<最新の国勢調査結果によると、日本の人口は大幅に減り、世界の上位10位から転落した。このままでは日本は衰退する> 6月25日、国勢調査の速報値が公表された。その結果、日本の総人口は約1億2622万人で、5年前の前回調査(2015年)よりも86.8万人減少してその減少率は-0.7%(5年)となった。人口の世界順位は前回が世界10位だったものの、今次はメキシコに抜かれ順位を1つ下げ、世界11位となった。ついに世界上位人口10位以内から陥落した格好となる。 この現象には死亡数(大)から出生数(小)を引いた自然減が大きく寄与し、それに対して定住外国人が大幅に増えたことで何とか減少幅が5年前より少しだけ縮まった格好である。政令指定都市一個分の人口が5年で消えていく。私は慄然として肌に粟が立つのを感じる。 人口が減っても一人頭の生産性を高めれば問題はないという人がいる。私からすれば笑止千万の屁理屈・強
総合LGBTQセンターの「プライドハウス東京レガシー」を訪問した東京五輪組織委員会の橋本聖子会長 Eugene Hoshiko/REUTERS <LGBTも女系天皇も夫婦別姓も認めない保守派の病的「共同体幻想」は歴史的にも戦中戦後だけのマイノリティーに過ぎない> LGBTなど性的少数者をめぐる「理解増進」法案の今国会成立を自民党などが事実上断念したのは既報の通りである。その背景には、自民党内外の保守系議員による強烈な抵抗があったためとされる。LGBTなど性的少数者に対する人権擁護に関する法整備は、"通常の"先進国では自明の潮流となっているだけに、>今回の法案成立断念に失望・落胆の声が相次いでいる。 しかしなぜ保守派は、LGBTへの権利擁護にこれほどまで頑なに抵抗するのだろうか。その理由と背景を探ってみたい。 戦時統制期のイデア(理想像)にしがみつく 筆者は永年保守界隈に居を構え、保守系論壇
<ゼロ年代から現在までの保守界隈の政治的運動は、さまざまに論議を呼ぶものではあっても民主主義的手続きに忠実で、得票数に不正はなかった。それが今回の事件との最大の違いだ> 保守派(以下、保守界隈)に大激震が走っている。愛知県の大村知事へのリコール運動を巡り、大量に署名が偽造された事件で愛知県警は2021年5月19日、同リコール運動の事務局長・田中孝博容疑者を地方自治法違反の疑いで逮捕したことは既報の通りである。 これに関係して、同県警は田中容疑者の妻・なおみ容疑者、次男の雅人容疑者ら3名を逮捕。5月20日午前時点の逮捕者は4名。また5月20日16時時点で、今次リコール運動に際しての発起人・高須クリニックの高須克弥氏の女性秘書が不正署名の指紋捺印に関わった、と報道されている。 愛知県知事リコール問題について、筆者はYAHOO!個人記事(リコール不正署名問題―立証された「ネット右翼2%説」202
社交性がアダとなった?山田前内閣広報官(右、写真は2013年11月) Yoshikazu Tsuno/Pool-REUTERS <とくに公僕にあっては「飲み会を断らない」ことより、孤高でいられることのほうが大事だ> 「飲み会を絶対断らない人」こと山田真貴子前内閣広報官が急転直下辞任したのはつい先月の事である。東北新社に端を発した接待問題はNTTにも波及した。「飲み会を絶対断らない」どころか、そもそも「飲み会に誘われない」私は、この問題の本質を旺盛な社交性にあると見る。 「飲みニケーション」は死語になったのであるが、未だに飲み会を梯子することで人脈を築こうとか、人との関係性を築こうと考えているその魂魄自体が前時代的で封建的発想である。山田前内閣広報官の最大の失敗は、接待を受けたその相手が菅総理の息子だったという事が本質ではなく、彼女の横溢する社交性が完全に裏目に出たことだ。社交性があるからこ
エヴァ本放送の最中に発行された「アニメージュ」(徳間書店)で、放送開始直後の1995年11月号(右)と放送終了直後の1996年4月号(左) 筆者撮影 <筆者の人格形成に決定的な影響を与えたエヴァンゲリオンとその時代> 報道によれば現在公開中の劇場版シン・エヴァンゲリオンが興行収入74億円を突破(4月12日付報)し、いよいよ興収100億の大台に迫らんとするものである。1995年10月から放送されたエヴァが26年目にして完結する段となって、私は感慨無量である。まだ未見の諸氏は急ぎ劇場に足を運ばれることをオススメしたい。 さて、今こうして小生がPCに向かって原稿を書き進め口に糊をする稼業になったのも、すべてがエヴァとの因ある出会いであったと言っても過言ではあるまい。私にとってエヴァは、私の青春時代の人格形成に決定的な影響を与え、この出会いが無ければ私は物書きなぞになってはいなかったであろう。主人
神社本庁と密接な関係にある靖国神社(写真は202年8月15日、75回目の「終戦の日」に靖国神社を訪れた参拝者) Issei Kato-REUTERS <日本の保守系政治家に多大な影響力を持つと言われた「日本会議」の本当の実力を探る> 「日本会議」と神社本庁 著述家の菅野完氏の著書『日本会議の研究』(扶桑社)のベストセラーにより、一躍全国区となった草の根保守団体「日本会議」。同会は、日本各地に支部を持つ「日本最大規模」の保守団体で、関連組織に神道政治連盟国会議員懇談会(神政連)を持ち、自民党(安倍前首相や菅義偉現総理ら)を筆頭に保守系政治家や保守業界に多大な影響力を持つ、と「されて」きた。 その日本会議の主要構成メンバーである神社本庁(以下、本庁などと略)をめぐって、司法の裁きが下った。本庁の元職員をめぐる解雇問題で、元職員側が本庁による解雇は不当だとして本庁側を提訴。2021年3月18日、
「開拓」は無主地の開発のことを指すが、明治以前の北海道にはアイヌ民族の確固たる先住が存在した 国連広報センター(UNIC Tokyo)-YouTube <公教育でアイヌ民族の文化や歴史を学ぶ北海道出身者でさえ、祖先は北海道の大地を「開拓」したと信じ込んでいる歴史認識の甘さ> 2021年3月12日の日本テレビの番組で、お笑い芸人の脳みそ夫氏が、アイヌ民族に謎かけして同民族を「あ、犬(アイヌ)」と表現したVTRが放送されたことが民族差別的として大きな問題になっているのは既報のとおりである。 脳みそ夫氏が生放送のアドリブでそう表現したなら同氏に固有の人権意識の低さが問題になろうが、これは番組側が承認して事前に制作されたVTRの中での問題表現であった。よって番組制作側の人倫意識の低さが糾弾され、3月18日、日本テレビ会長の大久保好男氏が公式に謝罪。一部週刊誌等によると、該番組のプロデューサーが事実
新疆ウイグル自治区にある強制収容所の門。中国政府はこれを再教育施設だと言っている Thomas Peter-REUTERS ウイグル話法って何? 「ウイグル話法」を知っているだろうか?保守界隈やネット右翼界隈(以下保守派)に少しでも知識・関心のある諸兄なら聞いたことがあるであろう。ウイグル話法とは、日本内外で人権軽視とされる舌禍を保守系の政治家や私人等が行い、世論から猛烈な批判を受けると、その対抗言説として必ず「ならばウイグル問題をなぜ批判しないのか」として、保守派が主にネット上で持ち出す言説の事である。 記憶に新しいところでは、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会前会長の森喜朗氏の女性差別発言に対するバッシングに対し、「森氏の女性差別を批判するのならば、同じく中国のウイグルでの人権問題を批判しないのはおかしい」という言説が噴出した。要するにある保守系の人物の人権に関する
「表現の不自由展」では、慰安婦を表現した少女像の展示も批判を浴びた(写真は2019年11月3日、アルゼンチン、ブエノスアイレス在住の韓国人コミュニティーのイベントに置かれた慰安婦像) Aleksandr_Vorobev-iStock. 立証されたネット右翼2%説 昨年(2020年)8月下旬から11月にかけて行われた愛知県知事リコール署名活動について、現時点で様々な不正の疑いが噴出しており、刑事事件として捜査されていることは既報のとおりである。 愛知県知事リコール署名活動は、「高須クリニック」の高須克弥氏を筆頭とし、河村たかし名古屋市長の他、保守界隈やネット右翼界隈から多大な応援を受けたもので、「あいちトリエンナーレ2019 表現の不自由展」における昭和天皇の写真の焼却について「日本と日本国民の心を傷つけた」などという主張を苗床としたのがリコール署名の眼目である。 私は昨年の署名運動が沸き起
<日本でもトランプを支持するバイデン不正糾弾デモが起こったが、米国のキリスト教的な陰謀論が日本の保守派に影響するかと言えば、その可能性は低い。日本には以前から特有の陰謀論があり、それは現在、変化の兆しを見せている> (2月16日発売の本誌「ポピュリズム2.0」特集より) 昨年11月のアメリカ大統領選挙におけるトランプ敗北とバイデン勝利は、トランプ支持者による陰謀論的ポピュリズムの浸透がいかに深刻であるかを世界に示したと同時に、日本の保守派とそれに追従するネット右翼(以下保守派)に奇妙な「分裂現象」をもたらした。 折しも9月に第2次安倍晋三政権が総辞職し、「安倍路線の継承」をうたった菅内閣が発足する。 だが、菅内閣は靖国神社の例大祭に「真榊(まさかき)」を奉納しただけで、保守派が最も重視する憲法改正や靖国公式参拝、歴史修正的史観の発露などの保守的イデオロギーを大きくは継承しない「無色」の性質
自民党重鎮の失言は森だけではないし今に始まったことでもない(2月2日、自民党本部) Kazuhiro Nogi-REUTERS <「下々の皆さん」から「アッケラカンのカー」まで人を見下した失言は昔からきりがない。それでも彼らを選び続けたのは我々だ> 失言・舌禍が国際問題になり批判の矢面に立たされている森喜朗氏(83歳)、それを援護する二階俊博幹事長(81歳)。10万円の一律再給付を頑なに拒否する麻生太郎財務大臣(80歳)。 流石にここまでくると、国民世論から「老害」という言葉が闊歩している。加齢を重ねると、市井の人々の皮膚感覚と遊離する権威的思考が定着し、柔軟な対応が出来なくなるという意味で「老害」という言葉は使われる。ひるがえって彼ら「老害」が国政の中枢に居座っているから、この国はどんどん悪くなっている──という批判である。 彼らは加齢して老人になったから舌禍や批判に値する言動を繰り返す
<招待してくれる友人がいない、iPhoneをもたない、会話も不得意な筆者にはハードルが高い。だがそんな対抗勢力も社会には必要だと思う> クラブハウスが流行っていると聞いて、すわ私は怒髪天の怒りに打ち震えた。この非常時に、有産階級であるリア充が異性を求めて踊り狂う方のクラブ熱が再燃しているとあれば、これはコロナ感染リスクが著しく亢進する行為であり、けしからんことである。よって如何にこの流行を打ち打擲すべきかの検討を始めたものの、それは早合点であった。クラブハウスとは新手の音声交流に特化したSNSのことのようである。 なるほど、私は生粋の江戸っ子で流行りものには目が無い。というのは嘘で道産子であるが、何事も流行ものだといって嘲笑することなく試してみなければ始まらないのである。さっそく私もそのクラブハウスというものをやってみようとしたが、すぐに峨峨(がが)たる山脈のごとき障壁が立ちはだかるのだっ
首相時代にも自己中心的な失言でマスコミを賑わせていた森(写真は2020年7月17日) Issei Kato-REUTERS 森喜朗氏の女性蔑視発言が国内外で大きな問題になる中、今次東京五輪開催もますます微妙な暗雲が立ち込めている。森氏の失言癖は今日・昨日に始まったことではない。森氏は2000年に当時脳梗塞で入院・急逝した小渕氏の後継として総理大臣となり、その期間約1年の短命内閣に終わった。 森内閣発足当初から森氏の失言・舌禍は大きな問題となり、内閣支持率は場合によっては一けた台に落ち込み、自民党は危機感を募らせる。森内閣と自民党への支持率低下を受けて「改革」「刷新」の声が急速に沸き起こり、小泉内閣の劇的な誕生へとつながっていく。 約1年の政権担当期間中、森氏は「失言総理」という印象ばかりが際立ち、多くの国民はそのことばかりを記憶している。しかし、今振り返ると森内閣はその後の自民党の「構造的
大統領選に勝ったのはトランプだ抗議する支持者(12月12日、ミシガン州ランシング) Emily Elconin-REUTERS <安倍ロスで菅にも不満、頼れるのはトランプだけ? 日本の保守派の児戯にも等しい喚き> 12月14日、次期アメリカ大統領を決める選挙人投票が行われ、2021年からのバイデン大統領誕生が確定となった。11月に行われたアメリカ大統領選挙で選ばれた「大統領選挙人」による投票で、バイデン候補が勝利するのは明らかだった。 しかし世界でただ一国だけ、この米大統領選挙でトランプ勝利を最後まで疑わないものが存在した。それが日本の所謂「保守派」である。日本の保守派は当然日本人で、アメリカ大統領選挙の投票権を有していない。アメリカの熱心なトランプ支持者が「バイデンは不正選挙で票を奪った、よってトランプの勝利の可能性はある」と主張するのは、自らが有権者として当事者の観点から、真偽はともか
<日本人の在日コリアンに対する差別を示唆するCMに反発する人々には、本気で日本人は差別などしないと信じる「温室育ち」が多くいる> ナイキジャパンが製作したPR動画、「動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn't Waiting.」が、摩訶不思議な批判を受けている。 動画の再生回数は同社の公式ユーチューブサイトで約1000万回(20年12月3日現在)に迫るが、その中で日本人ユーザーのものと思われる批判コメントの殆どが所謂「ネット右翼」と呼ばれる層によるもので、「日本には人種差別は極めて少ない(よってこのCMはけしからん)」「日本に朝鮮人差別は無い、あったとしても理由があるから」「ナイキは反日企業だ、もう買わない」「朝鮮総連が日本人拉致に関与している事実をナイキは知っているのか」などと言ったコメントが多数を占めている。 このPR動画には主に3人の少年少女が登場するが、その
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