AIが偏見を持つことは知られるようになってきたが、統計や計算社会学についても偏った結果が出る危険がある Artem Peretiatko-iStock <研究サプライチェーンが産み出す偏った「科学的事実」> 今回は大量のデータを用いた統計や計算社会学が偏りを生む危険性についてご紹介したい。大きく2つの理由があげられる。ひとつはデータと解釈の問題、もうひとつは研究サプライチェーンの問題である。研究サプライチェーンとは、研究を行うために必要なデータ、電力、設備、資金、物理的原材料などのサプライチェーンのことである。 研究はそれだけで独立して存在しているのではなく、それを支えるデータや設備や資金が必要だ。マイクロソフトリサーチの上級首席研究員であり、AIナウの創設者であるケイト・クロフォードは、著書『Atlas of AI Power, Politics, and the Planetary C