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コロニーと呼ばれる集団をつくり階層社会を営む「真社会性生物」の驚きの生態を、進化生物 学者がヒトの社会にたとえながらわかりやすく語った名著『働かないアリに意義がある』がヤマケイ文庫で復刊! 働かないアリが存在するのはなぜなのか? ムシの社会で行われる協力 、裏切り、出し抜き、悲喜こもごも――面白く、味わい深い「ムシの生きざま」を紹介する。 よく働くアリ、働かないアリ かなり単純な判断しかできないハチやアリたちのコロニーが効率よく仕事を処理していくためには、必要な個体数を必要な場所に配置するメカニズムが必要です。人間の会社では、これは上司の仕事です。 しかし昆虫社会に上司はいないので、別のやり方が必要になります。このために用意されているのが「反応閾値(いきち) 」=「仕事に対する腰の軽さの個体差」です。 「反応閾値」とは耳慣れない言葉ですが、社会性昆虫が集団行動を制御する仕組みを理解するため
特徴の異なる小型バッグを試す!ミレー/サースフェーNX SD&ミステリーランチ/ウィングマンマルチポケット|高橋庄太郎の山MONO語りVol.108 山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート! 今回はミレー「サースフェーNX SD」とミステリーランチ「ウィングマンマルチポケット」を2つ合わせて紹介します。 文・写真=高橋庄太郎 山岳用の“バッグ”のメインは、間違いなくバックパックだ。それに併用して使う小型バッグには、ショルダーバッグ、サコッシュ、ポーチ、ヒップバッグなどと、さまざまな名称のものがある。とはいえ、ショルダーバッグとヒップバッグはあきらかに異なるものだが、サコッシュやポーチとはどう違うのか? そもそもサコッシュはフランス語で、事実上ショルダーバッグのことでは
都市近郊の里山を歩いていると、道や分岐が結構多く、また小さな尾根を隔てて風景がガラッと変わることもあっておもしろい。この道はどこにつながっているのだろう?また、どんな景色が広がっているのだろう?まだ見ぬトレイルや風景を求めて、都市近郊の自然探索へ。 写真・文=山と溪谷オンライン 横浜に「グランドキャニオン」!? アメリカのアリゾナ州にあるグランドキャニオンはあまりにもよく知られる観光スポットだが、日本にも青森・白神山地の日本キャニオンや、「岐阜のグランドキャニオン」など、「キャニオン」と呼ばれているスポットが各地にある。 聞くところによると、どうやら横浜南部の栄区にも「グランドキャニオン」があるらしい。地図を確認すると、付近は鎌倉市との境になっており、緑地が広がっているようだ。豊かな自然と絶景を期待しつつ、足を運んでみた。 地図を見てみると、顕著な崖がある(地理院地図より) 町歩きでルート
2月10日の日没後、八ヶ岳・天狗岳で3件連続で救助要請。現場で起きていたこととは? 長野県警察山岳遭難救助隊レポート 2024年2月10日の日没後まもなく、長野県警では3件連続で山岳遭難の通報を受理した。いずれも八ヶ岳連峰の天狗岳周辺・・・。連休中、かつ冬型の気圧配置が強まる状況だったとはいえ、このとき何が起きていたのか、そしてその際の救助の実際は? それぞれの遭難の原因には、ある共通する「理由」があった。 ※本記事は、長野県警察・山岳情報、「山岳遭難の現場から~Mountain Rescue File~」(2024年3月8日版)を編集・転載したものです。 冬季の八ヶ岳連峰は、一般的な冬山登山からアルパインクライミングやアイスクライミングまでさまざまなジャンルの登山が楽しめることに加え、冬季も営業をしている山小屋が多いことやアクセスのよさ、北アルプスと比べると比較的天候が安定しているなどの
バックパックにフィットして雨の日も軽快に歩けるポンチョ エクスペド/パックポンチョUL|高橋庄太郎の山MONO語りVol.97 山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート! 今回のアイテムは、エクスペドの「パックポンチョUL」です。 文・写真=高橋庄太郎 最近になって僕が再評価しつつある山道具が、ポンチョである。ジャケットとパンツにわかれた一般的なレインウェアに比べれば防水性や耐風性は低く、雨具としてはデメリットが多いのだが、一方では通気性に優れるなどのメリットも大きい。とくにバックパックを背負ったまま使えるタイプは荷物ごと防水することができ、うまく使えば登山の幅を広げてくれるはずだ。 まずはディテール紹介 そんなわけで今回取り上げるのはエクスペドの「パックポンチョUL」
軽アイゼンで厳冬期の冬山登山縦走へ―― 2023年12月25日、八ヶ岳連峰で発生した遭難事例。長野県警察山岳遭難救助隊レポート 2023年末、八ヶ岳連峰で山岳遭難事故が発生した。「凍結した登山道で滑落して行動不能、救助された」という一言では説明できない実際の救助の様子を、実際に救助に当たった長野県警察山岳遭難救助隊が掘り下げ、遭難事故が起きた背景を検証。登山中のリスク対策や事前準備の重要性について、あらためて問いかける。 ※本記事は、長野県警察・山岳情報、「山岳遭難の現場から~Mountain Rescue File~」(1月11日版)を編集・転載したものです。 長野県警山岳安全対策課では、実際の遭難事例を掘り下げ、その原因や背景を検証しました。登山中のリスク対策や事前準備の重要性について、今回の事例を参考に考えてみましょう。 令和5年中の長野県内の山岳遭難は、統計史上最多となる302件を
2007年から2021年まで、全国で起きた雪崩事故を検証、最新の事例ごとに時系列で展開したノンフィクション『証言 雪崩遭難』(山と溪谷社)より、「2020年2月28日 北アルプス・白馬乗鞍岳裏天狗の雪崩事故 スノーボーダーが雪崩に埋没、3時間1分後に無事救出された事例」を抜粋して紹介。 文=阿部幹雄 確実にやばい雪 日本山岳ガイド協会のスキーガイドⅡの検定試験を受けるガイド8名と国際山岳ガイドの検定員2名が、2つのパーティに分かれ、白馬乗鞍岳裏天狗周辺で行動していた。検定は受験するガイドたちがガイド役、客役を交代しながら白馬の山域で10日間連続して行なわれる。検定では、雪崩に巻き込まれた人の捜索と救助を行なう能力、積雪安定性を調べる能力、雪山でのロープワーク、ガイドとして雪山で必要な技術、判断力、行動をトレーニングしつつ評価される。10日間の検定により、一定の能力を身につけたガイドがスキー
火山が作り出した壮大な景観がみごとな阿蘇。草木が鮮やかな夏もいいが、冬にはまた異なる表情を見せてくれる。 文・写真=池田浩伸 ダイナミックな山岳景観で知られる阿蘇は世界的にも有名な観光地でもあり、登山をする人なら誰しも一度は登りたいと思う山でしょう。 初夏、九州の山域でしか見ることができないミヤマキリシマが咲き乱れるころが、最も華やぐ季節なのですが、静けさを取り戻した冬の登山も私は好きです。 大きな火口が並び、月面のクレーターを思わせる荒涼とした景色のなか、空気が澄んだ冬であれば、九州の端から端まで見渡せるような眺望の展望台となります。 稜線から見る根子岳や祖母傾の絶景は見飽きることがありません アクセスは、阿蘇駅から阿蘇山上ターミナルまでバスも運行していますが、山に登るのには車で行くほうが便利です。 山上ターミナル前の広い駐車場に停めたら、阿蘇山公園道路を砂千里ヶ浜入り口まで歩きます。時
9月20日、猫魔ヶ岳、小野川不動滝に行きました。曇り時々雨の中、約2.5時間の山行でした。 登山好きな友人たちに「エリクサーMID GORE-TEX」を見せると、まず「カッコいい」と言ってくれました。そして、爪先とかかとが反り上がったロッカー構造の利点を説明すると、全員が試してみたいと興味をそそられている様子でした。 平地を歩き出したところから推進力を感じることができました。下り坂で小走りをしてみると、グリップ力と足首のホールド感、クッション性を実感することができ、足運びがとても軽快でした。また、性能面と外見の両方から感じ取れるオリジナリティは、登山道具を大切にする私の所有欲を満たしてくれました。ファッションとしても合わせやすいと思います。 白いシューズを履くうえで危惧するのは、登山中の汚れです。登山後はやはり、普段履いているものよりは汚れが目立ちました。しかし、洗って陰干しすると、新品同
大阪府富田林市、太子町、河南町、千早赤阪村で長年続いてきた金剛自動車のバス事業が、2023年12月20日をもって廃止されることが決まった。これを受けて、この4市町村では地域公共交通活性化協議会が設置され、廃止後の代替輸送などについて協議が重ねられている。11月16日には第4回目となる協議が行なわれ、新たな公共交通案などが固まりつつある。 金剛山地への登山にも利用されてきた金剛バス路線の今後は、登山者にとって気になるところであるが、登山口に向かういくつかの区間が廃止となる見込みだ。登山アクセスに利用されてきた路線のうち、現時点把握できたバス廃止予定の主な区間を以下の通り方面別にまとめた。 【岩橋山】 河内線平石行き・・・岩橋山西に位置する平石地区に向かう一部区間。 【大和葛城山・金剛山】 千早線水越峠行き・・・大和葛城山と金剛山の間に位置する水越峠へ向かう区間。 【金剛山】 千早線・・・金剛
穂高:今回は、ケガや体調不良などのトラブルが起きたときの応急処置に必要な「ファーストエイドキット」について紹介するわ。 梓:登山者必携の大切なアイテムですね。 穂高:ポイントはどんな場面で必要かを理解した上で、きちんと使えること。処置が難しくて使えなければ意味がないからね。では、早速紹介していくわ。 中身はこちらの17点。全部持っても、重さは300g以下でコンパクトよ。 ファーストエイドキット エマージェンシーシート 使い捨てカイロ 内服薬・軟膏 経口補水パウダー 救急絆創膏/湿潤療法用絆創膏 ワセリン 滅菌ガーゼ プレカットのテーピングテープ 穴を開けたペットボトルのキャップ 安全ピン ビニール手袋 ポリ袋 サージカルテープ ハサミ 綿棒 マスク 消毒薬・ジェル 梓:特別変わったものはないですね。穴開きペットボトルのキャプ、が気になりますが・・・ 穂高:後で詳しく紹介するわ。それじゃあ、
ひとり気ままに山と温泉を楽しむ温泉登山。登山前後に泊まりたい至福の温泉宿を紹介します。第44回は大蔵経寺(だいぞうきょうじ)山に登り、下山後は石和(いさわ)温泉郷・深雪(みゆき)温泉へ。 写真・文=月山もも 山梨県甲府市と笛吹市の境にある標高716mの低山、大蔵経寺山。中央本線石和温泉駅から徒歩で登山口にアクセスでき、温泉宿への宿泊と合わせて気軽に楽しむのにちょうどいい山です。紅葉の季節に、のんびりと歩いてきました。 葛飾北斎も描いた富士山は雲に隠れて見えず 石和温泉駅のすぐ北側に見える大蔵経寺山は、登山口まで駅から徒歩10分ほど。 登山口の手前には同じ名前の寺院「大蔵経寺」が、山を背にして立っていました。お寺の名前が山の名前の由来になっているのでしょうね。 イノシシ除けのゲートを通過し、しばらくは広く緩やかな道を歩いていきますが、このあたりにはものすごい量のどんぐりが落ちていて、お子さん
メッシュ構造の起毛素材で 保温性と通気性をあわせ持つ “保温行動着” 優れた技術力で高品質なマウンテンギアを生み出すブランド、ミレー。今期、特に注目したいのが、中間着や行動着として着まわせるアイテムの充実ぶりだ。 「スルーウォームフーディ」は、薄手のメッシュ構造で表面を起毛させた生地「スルーウォーム®」(ポリエステル100%)を採用したミッドレイヤーで、保温性と通気性、吸汗速乾性のバランスがよく、紅葉ハイキングや寒い時期の行動着として好適。軽量でコンパクトになるのも大きなメリットだ。 口元をすっぽりカバーするバラクラバタイプのフードや、袖のずり上がり防止に役立つサムホール、袖裾からの冷気の侵入を防ぐしなやかなエラスティック素材のバインダーなど、細部のつくりも気が利いている。 ウールのハイブリッド素材を採用した「ワッフルウールフーディ」、吸汗速乾性に優れた「ドライグリッドフーディ」、中綿入り
20年間、警視庁青梅警察署山岳救助隊を率いてきた著者が、実際に取り扱った遭難の実態と検証を綴る。安易な気持ちで奥多摩に登る登山者に警鐘を鳴らす書、ヤマケイ文庫『侮るな東京の山 新編奥多摩山岳救助隊日誌』から一部を紹介します。 文=金 邦夫 高齢化社会と登山 最も多い体力不足による遭難 中高年の登山で一番問題になるのは、年齢からくる体力不足である。とくに中高年になってから登山をはじめた者は自分の体力のペース配分がわからないから、登ることに体力を使い切り、下山時に足がつって歩けなくなったり、よろけて転倒したりという事故が多くなる。「あなたは何をして体を鍛えていますか?」と質問すると、「山に登って体を鍛えています」などという答えが返ってくる。私はいつも言う。「違うんだなあ、山に登って体を鍛えるのではなく、体を鍛えてから山にいくのでなければダメ」。ひと月に1回か2回山に登って、体なんか鍛えられるわ
初めてこのハイキングシューズを見た人は、その革新的なデザインに驚くのではないだろうか? 爪先とかかと部分が大胆に反り上がり、ミッドソールも一般的なハイキングシューズとは思えないほど厚くなっているからだ。登山者のなかには、これまでのサロモンハイキングシューズのラインナップとは一線を画するデザインに戸惑いを感じる人もいるかもしれない。しかし、心配は無用だ。ELIXIR(エリクサー)は、トレランシューズのトップブランドであるサロモンのノウハウを凝縮したニューモデルなのである。このデザインは斬新なだけでなく、実用性と快適性を兼ね備えたものなのだ。 爪先とかかとを反り上がらせたロッカー構造のシューズは、ここ数年じわじわと人気を集めている。それは、前足部に重心を移すだけで、地面を蹴らなくても推進力が得られ、筋力をセーブできるからだ。その反面、着地が不安定になり捻挫しやすいなどのデメリットもある。サロモ
関東地方の夏は猛暑日が連続し、低山ハイクには厳しい季節だが、早朝の時間帯に短時間で歩けるコースなら、暑さのピークを迎える前に歩いて、ハイクが終わってもまだ午前中。早起きするぶん、メリットはたくさんある。そこで今回は、電車を降りたらすぐにスタートできるアクセスのよさと、歩行タイム約2時間とコンパクトながら、野趣あふれる山歩きが楽しめる葛原岡・大仏ハイキングコースを紹介しよう。 写真・文=久田一樹 北鎌倉から葛原岡神社、源氏山を経て長谷までをつなぐハイキングコースは、それぞれ「葛原岡コース」・「大仏コース」と呼ばれ、地元でも人気の王道コースだ。 時刻はまだ7時前。ひと気の少ない北鎌倉駅を後にして、JR横須賀線の踏切手前を右手に折れて浄智寺へ。お寺の道沿いに咲くアジサイを眺めつつ進むと、石段が現れ、すぐに登山道へと変わる。
植物写真家の髙橋修さんは、入山者の少ない山にばかり入っているため何度もヒグマやツキノワグマを見ているが、幸い、被害に遭ったことはないという。クマに襲われるニュースが後を絶たないが、ツキノワグマに出合わないために、高橋さんがツキノワグマに対してふだん気をつけていることは「こちらが先に見つけること」だという。 自然科学の立場から言えば、ツキノワグマのヒグマもヒトも同じ大型哺乳類だ。山は彼らのナワバリ内。だから、彼らのルールに従って行動するほうがよいのは当然だ。 クマのニュースが飛び交っている2023年秋。クマの個体数の増加とブナとドングリの不作が原因とされている。植物写真家である筆者は、山の植物を撮影のため年間に何十日も登山者が少ない山ばかりに入っており、野生生物に出合う可能性は高く、実際何度もヒグマやツキノワグマを見ている。しかし、今まで山でクマから被害に遭ったことはない。単にラッキーな可能
20年間、警視庁青梅警察署山岳救助隊を率いてきた著者が、実際に取り扱った遭難の実態と検証を綴る。安易な気持ちで奥多摩に登る登山者に警鐘を鳴らす書、ヤマケイ文庫『侮るな東京の山 新編奥多摩山岳救助隊日誌』から一部を紹介します。 文=金 邦夫 道に迷って沢に降りたら死ぬぞ登山道でない小道が人気に奥多摩における重大遭難事故のほとんどは「道迷い」「転落、滑落」によるものである。これは奥多摩に限らず全国的な傾向だと思う。そしてそういう事故を起こす遭難者のほとんどが、経験の少ない単独行者と高齢者だ。山は非日常の世界だから、まかり間違えば命を落とすことになる……などと考えたこともない登山者が、「奥多摩くらいなら」と気軽にやってくるのである。 2010年9月、「奥多摩の山に行ってくる」と言って神奈川県K市の自宅を車で出た男性Nさん(46歳)が翌日になっても戻らないと、家族から地元警察署に捜索願いが出された
20年間、警視庁青梅警察署山岳救助隊を率いてきた著者が、実際に取り扱った遭難の実態と検証を綴る。安易な気持ちで奥多摩に登る登山者に警鐘を鳴らす書、ヤマケイ文庫『侮るな東京の山 新編奥多摩山岳救助隊日誌』から一部を紹介します。 文=金 邦夫 本仁田山の「ガンバッタさん」遭難者が自力下山1999年5月10日の午前9時20分ごろ「山でケガをした登山者が下りてきた」との110番通報があった。私はすぐ交番勤務員と現場である奥多摩工業の構内にジープで向かった。すでに遭難者は救急車に乗せられていたが、意識はハッキリしており、右腕の骨折、全身打撲などの相当ひどいケガのようだった。 女性遭難者Yさん(42歳)は5月5日(こどもの日)に、川苔山に登り、本仁田山経由で大休場尾根を氷川に下山中、40メートルほど滑落し右腕を折るなどして動けなくなった。昨日、やっとのことで除ヶ沢まで下りてきて、今朝、地元のTさんに発
最近、よく耳にする「爆弾低気圧」という言葉。中でも「二つ玉低気圧」と呼ばれるものは、過去に大きな山岳遭難を引き起こす原因となっている。今回は、二つ玉低気圧が引き起こした、2009年4月に発生した北アルプス鳴沢岳遭難事故を取り上げる。 ヤマケイオンライン読者の皆様、山岳防災気象予報士の大矢です。冬の名残の北からの冷たい空気と、季節を春から夏に進めようとする南からの暖かい空気とが日本付近でぶつかり合う春は、「急速に発達する低気圧」――いわゆる「爆弾低気圧」が発生しやすい時期です。 その中でも日本海と南岸の低気圧が発達しながら日本付近を通過する「二つ玉低気圧」は、過去に何度も山岳遭難事故を引き起こしており、登山者にとって最も警戒すべき気象リスクの一つです。そこで、このコラム記事で数回にわたって二つ玉低気圧について解説していきたいと思います。 まず、今回はこの「二つ玉低気圧」による遭難事例として、
八甲田山雪中行軍遭難事故の検証 ~雪中行軍ルートを辿り、強風で飛ばされそうになりながらも紅葉が始まった八甲田山に登る~ 2023年6月に発表し、大きな反響を呼んだ「NOAA(アメリカ海洋大気庁)による再解析データを用いた八甲田山雪中行軍遭難事故の検証記事」。その再検証のために八甲田山に訪れた山岳防災気象予報士の大矢康裕さん。地形や当時の資料を確認すると、あらためて事故当時の状況が見えてきたのだった。 山岳防災気象予報士の大矢です。異常に暑かった9月が去って10月に入ると一気に季節が進み、各地の山岳から初雪の便りが聞こえるようになりました。紅葉前線も順調で、標高の高いところから紅葉が始まっています。 そして、この時期は時には冬山の様相を見せることがあり、好天時と悪天時の気象状況の差が大きいため注意すべき時期でもあります。コラム記事で解説しました1989年10月8日の立山中高年大量遭難事故のよ
人間の体温は、体がつくり出す熱(産熱)と、その熱を体外に排出する(放熱)機能の働きによって、通常36〜37度に保たれている。しかし、標高が高い山や北海道の山では、真夏でも天気が崩れれば低体温症に陥ることも。とくに子どもや高齢者は要注意。 北アルプス・立山(雄山)の場合(報告・立山診療所) 風雨に打たれてずぶ濡れになり、下山途中で子どもが行動不能に 8月上旬のある日の午後、一ノ越から雄山に至る登山道上で遭難事故が発生した。父親と雄山に登った小学生の男児が、下山途中の標高2800mのあたりで動けなくなってしまったのだ。親子が登山を開始したときの天気は曇りで、視界も悪くなかった。しかし、しばらくして雨が降りだし、風も強くなってきた。そのなかを二人はずぶ濡れになって行動していたが、とうとう男児が行動不能に陥ってしまい、父親が救助を要請してきたのだった。 救助要請を受け、富山県警山岳警備隊員と立山診
コロナ禍で減少傾向が続いていた夏山遭難だが、2023年は山岳遭難が多発。発生件数・遭難者数とも過去最多となった。しかし、死亡事故は必ずしも多くはない。今年、夏山ではなにが起きていたのか。 文・写真=野村 仁 新型コロナの制限緩和、いきなり遭難が過去最多となった今年の夏山 9月13日に夏山期間(7~8月)の山岳遭難統計が発表されました。期間中、738件の遭難が発生し、遭難者数は809人、うち死者・行方不明者は61人(7.5%)、負傷者351人(43.4%)、無事救出者397人(49.1%)でした。統計上の特徴としては、次の点が挙げられます。 発生件数・遭難者数とも過去最多となりました。 前年と比較して件数で11%程度の増加でした。新型コロナ関係の制限が今年から基本的に解除されましたが、遭難の大幅増加という変化にはなりませんでした。 死亡遭難が多いように見えますが、2018年以前はもっと多い年
「ただ面白いから一日中、虫を見ているだけ。そうしているうちに、なにかがわかってしまう」(本文より)。 大の虫好きとして知られる養老孟司先生が、長年、虫と自然に教わってきた世界の見方、生き方のヒントとは――? 好評発売中のヤマケイ文庫『養老先生と虫』から、一部を抜粋して紹介します。 文=養老孟司、写真=伊藤弥寿彦 ファーブルはなぜすごい? ファーブルの『昆虫記』は九十歳を超える一生の中で虫を見てきた記録である。これは凄いと思う。生活費も稼がなくてはならなかったのだから、虫だけ見ていたわけではない。ファーブルみたいな人がいたということが、虫が見るに値することの証拠になる。 ファーブルはまさに「この道一筋」の人だった。この慣用句は、一生同じ会社に勤めていた、というような意味ではない。「この道」というのは、あまり目立たない、地味な仕事という意味であろう。でも、それを一生、ひたすらやっていた。それが
社会活動や生活を制限せざるを得ない今、身近に咲く花の美しさに心癒されることはないでしょうか。『花は自分を誰ともくらべない』の著者であり、植物学者の稲垣栄洋さんが、花の知られざる生きざまを紹介する連載。今回は触れると痛い花、アザミについてです。 人類が初めて出会った雑草 アザミ(キク科) アザミは嫌われ者である。 神の教えに背いて、禁断の果実を食べたアダムとイブは、エデンの園を追い出され、イバラやアザミの生えた中から、果実を見分けて食べなければならなくなったという。 アザミは私たち人類にとって、初めて出会った雑草でもあるのである。 日本語の「アザミ」の名は、「あざむ」に由来するといわれている。あざむには「興ざめする」という意味がある。美しい花だと思って触れると、トゲがあって驚かされる。つまりは、「あざむかれた」ということなのだ。アザミは漢字で「薊」と書くが、草冠に魚(骨)と刀を書き記した字も
浅瀬の海に生きる、絶滅危惧種の植物「ウミショウブ」。この植物を守るためにはどうすればよいのだろうか? ウミショウブの数を減らしているのは、やはり絶滅危惧種の「アオウミガメ」というのは、なんとも皮肉な現実だ。 あちらを立てればこちらが立たず。自然保護は難しい。それでも、何が起こっているかを知ろう、そして一緒に考えよう。山の花ではないが、海の花についても、ぜひ知ってもらいたい。 野生生物の宝庫である西表島で、ある貴重な植物に大きな異変が起こっている。西表島の海岸近くの砂地に生えていた絶滅危惧種のウミショウブが年々激減しているのだ。 ウミショウブはトチカガミ科の「海草」である。「海藻」ではなく、淡水中に生える「水草」に近い、花を咲かせる水生の植物である。海水中の太陽の光がサンサンと当たる浅い砂地に生え、いわゆる「アマモ場」「海草藻場」などと呼ばれる群落を作る。 ウミショウブがなによりも変わってい
2023年8月26日(土)~27日(日)、 9月9日(土)~10日(日) 2021年10月に越後三山只見国定公園へ編入された奥会津地域では、原生的なブナ等の自然林が保存され、カモシカ・イヌワシといった希少な野生生物の生息地となっている深山から、豊かな自然と共生した地域の暮らしが幻想的な風景をつくり出す里山まで、多様な風景と出会うことができます。 その奥会津の自然を体感できる神秘の湖、沼沢湖でのアウトドアイベント「沼沢湖の大自然を満喫 ~自然体感イベント~」と、只見川沿いを走るJR只見線に乗車して絶景を楽しむ「只見線と秋の絶景を満喫 自然体感ツアー」を開催します。両イベントにはスペシャルゲストとして、福島県出身のタレント・なすびさんも登場! 参加者の皆さんとイベントやツアーを楽しみながら奥会津の自然を満喫します。 この機会に、奥会津の魅力をぜひ体感してください。 俳優・タレント。福島県で生ま
スポルティバのエクイリビウムは、登山靴のなかでも、アルパインブーツにカテゴライズされる一足だ。一口に登山靴といっても、現在は歩行性に優れるトレッキングシューズと、登攀性を備えるアルパインブーツに大別でき、エクイリビウムは後者に含まれる。 アルパインブーツの特徴は、細かいフットホールドへの立ち込みをサポートする、剛性の高いソールにある。ただし、それゆえにトレッキングシューズのような軽快さは得られず、どちらかというと平地ではぎこちない足運びを余儀なくされるものが多かった。 その常識に衝撃を与えたのが、エクイリビウムだ。「平衡」を意味するネーミングのとおり、エクイリビウムは「登攀性」と「歩行性」をバランスよく備え、特に歩行性については発売された当初から評価が高い。
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