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セキュリティ
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人はかならず間違いを犯す。人の集合体である組織も社会もしばしば間違いを犯す。人間に無謬はありえない。 間違ったまま走りつづけると、間違いはどんどん拡大して修正不能になり、最後は断崖から破綻の底へまっさかさまに落ち込むようなことになる。新聞やテレビを連日賑わしているさまざまな"事件"の多くも、人生のどこかでできてしまった小さなヒビに本人も周囲も気づくことなく、あるいは気づいても修正することなく長い時間放置したため、それが大きな裂け目に成長してついに"事件"という破綻の形で立ち現れてきたのだろう。 組織や社会が間違えれば、その構成員である個人も破綻に巻き込まれてとんでもない目にあう。それが企業犯罪や倒産であれば、職や名誉を失い、戦争であれば最悪の場合は自分の命をなくしたり見ず知らずの人を殺したりさえもする。 人間の情緒も思考も行動も一種の慣性をもっていて、いったんある方向に向かって進みは
また今年も正月の冬山遭難がつづいた。 毎年、どうしてこうも同じような遭難がつづくのだろうか。気象条件にかかわらず無謀な入山をし、無理に動き回ってホワイトアウトで道に迷い、滑落し、疲労凍死する。本人たちに無理な計画や判断で入山しているという自覚がなければ、まったく始末に悪い。 遭難死しないまでも、1ヶ月に1日晴れれば上々といわれる1月の北アルプスに入って、数日雪に降り込められただけで簡単に救助要請をし、地元関係者や警察の救助隊を危険な作業に出動させる。こういうパターンなど、装備と日程と悪天候に耐える力もなしにハタ迷惑な入山をして遭難したといわれても仕方があるまい。 自分たちは道楽の果てに命を落としてあとのことはわからないかもしれないが、肉親の悲しみと関係者の多大な迷惑を思うと、まったくやりきれない気持になる。山での最大の迷惑行為は遭難。彼らは過去の遭難者の失敗から何も学ばなかったのだろ
中国人強制連行にたずさわった男の戦中と戦後を描いて、戦争責任とは何であるかを問う。戦争文学に新たな側面から光をあてた異色作品。
中国残留孤児が起こした国家賠償訴訟にあたって、大阪地裁は国側の主張を容れ、残留孤児が辿らねばならなかった過酷な運命は「国民が等しく受忍しなければいけない戦争損害に属する」ものだと断じ、「帰国後の自立支援について国が条理上の義務を負うとは言えない」とした。つまりこの程度の戦争被害は、戦後日本の国民が等しく受忍してきたものの範疇に属し、いま行なっている以上の自立支援の法的義務は国にないと判断した。 これだけ過酷な戦争被害が「国民が等しく受忍しなければいけない戦争損害に属する」ものだとするならば、あの戦争を生き残ってきたほとんどの日本人の戦争被害が、「受忍」の限度内のもので、何らかの国家による補償の対象にはならないと考えねばならない。 その判断の当否はさて措くとして、では現実に、あの戦争の被害を、戦争体験者みんなが等しく受忍してきたのだろうか。受忍して、中国残留孤児に対する以上の補償に類する
外国人による犯罪が近年増加しつづけているという。 例えば警察庁の『来日外国人犯罪の検挙状況(平成16年)』によると、「検挙件数、人員共に過去最多を記録」というタイトルで以下のような〈概要〉がまとめられている。 平成16年中の来日外国人犯罪(刑法犯及び特別法犯)の検挙件数、人員は、47,124件、21,842人で、いずれも過去最多を記録した。前年と比べると、件数で6,509件(16.0%)、人員で1,835人(9.2%)増加している。 増加の内訳は、刑法犯検挙では、4,825件(17.7%)増、173人(2.0%)増、特別法犯検挙では、1,684件(12.6%)増、1,662人(14.7%)増であった。 来日外国人(による犯罪)は、昭和55年以降大きく増加しており(略)15年における来日外国人一般刑法犯の検挙人員は8、725人(前年比1、035人増)、検挙件数は2万7、258件(前年比
40歳直前で山歩きを始めた頃から、私は単独行だった。理由は単純。一緒に山に行く仲間がまわりにいなかったからにすぎない。 私のような初心者の場合、山岳会乃至はハイキングクラブに入って、まず人について山歩きをしながら山のイロハを学ぶ、というのがもっともオーソドックスで安全な山歩き入門コースだろう。しかし私はしょうのない性格で、人様から手取り足取りされて学ぶのが好きではない。やるべきことが出てくれば、たとえ回り道でも独学で知識を蓄えてきた。それに、中年男がいまさら初心者ですと頭を下げて、山岳会やハイキングクラブに入り、若い人の教えを乞うのにも抵抗感がないわけではなかった。というより、面倒くさかった。いつもの病気が出て、人に教わるより自分で実践したほうが早いと、行動に移ってしまった。 それでまず、山を歩く前に、登山に関する本や雑誌、ガイドブックなどを買い求めてひととおり予備知識を仕込んだ。
横山秀夫の初長編『半落ち』(講談社)は読み応えのある傑作で、販売部数もずいぶん伸びたようだ。週刊文春の「傑作ミステリーベスト10」と宝島社の「このミステリーがすごい!」の国内部門の1位に選ばれたとのことで、いい本を読ませてもらった一読者として、けっこうなことだと思っていた。本は売れさえすればいいというものではないが、広範な読者が質の高いこの作品を支持したということだろう。 ところがとんだところでミソがついた。第128回直木賞にノミネートされ、結局受賞はならなかったのだが、朝日新聞の報道によると、選考会後の講評で選考委員の林真理子から、作品の重要な要素となっている受刑者である主人公の骨髄移植が「現実には許可されない」という指摘が出た。林真理子言うところの「世評は高かったが、委員の評価はそれほどでもなかった」だけのコメントなら、選考委員の価値観の問題だから読者も作者も文句を言う筋合いのもので
雪印食品の偽装牛肉事件以来、食品の表示に関する信用性が音を立てて崩れ落ちてしまった。こういう悪事を働いているのは雪印だけではあるまい、と消費者なら誰でもまず考えるが、思ったとおり、インチキ表示が続々と出てきた。愚かな経営幹部の悪事のとばっちりで解雇された罪のない多くの社員は気の毒で言葉もないが、食品の表示について根本的に考える機会を作ってくれた点で、雪印に感謝しなければなるまい。まったくよくここまでやってくれたものだ。 2月18日の朝日新聞朝刊でも、民間の肉のプロがスーパーなどの店頭でこうした偽ラベル商品を次々に見つけていると報じている。記事によると、原産地表示義務化前に調査した1310店のうち、84%の店舗で不正な原産地表示が見つかったという。ごく一部のまじめな店には気の毒だが、牛肉販売店はほとんどみんなインチキ商売をやっている、と世間にとられても仕方がない数字だ。インチキは原産地表示
昨年ムックにアレルギー症状が出てひと騒動したことは「第50話 アレルギー」に書いたとおりだが、以来犬の食べ物についてこれまで以上に気を配るようになった。医食同源は人間だけでなく、犬にも通じる。おかしな食べ物を与えつづければ、犬もやがて病気になる。 動物病院でムックの血液検査をしてもらって、大麦・小麦・牛肉などにアレルギーの陽性反応が出て、パンやクッキー、牛肉をムックと一緒に食べていただらしない飼主の私は大いに反省して、以後、小麦粉製品と牛肉はムックに与えないようになった。 反省はしたけれど、どうも納得がいかない。今まで何年もこうしたものをムックと分けあって食べてきたが、どうして急にアレルギー症状が出てきたのだろうか。これがアレルギーの原因の一つであることは認めなければなるまいが、そんなにたくさんの量を与えているわけでもなく、これだけでアレルギー症状が出てきたとは思えない。 そんな思い
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