ブックマーク / kangaeruhito.jp (5)

  • さようなら、ハリー | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    突然のことで驚かせてしまうかもしれないが、愛犬ハリーが亡くなった。 今年2月に癌が発覚した時点ですでに末期で、手の施しようもなく、余命はわずかだろうと獣医師には言われた。ハリーはその状態でも、べ、歩き、走り、琵琶湖に飛び込み、枝を拾っていた。そこまで体重を落とすこともなく、ピカピカで立派な姿のまま旅立っていった。7歳だった。 実は、ハリーはこれが初めての闘病ではなかった。二度目だ。前足に悪性腫瘍が見つかったのは、わずか4歳のとき。手術をして、なんとか切り抜けたと思ってはいたものの、4歳という若さでの罹患、そして大型犬であるということを考えると、気をつけなければいけないだろうと考えていた。手術後も、体の表面にいくつも腫瘍ができた。すべて良性だったが、細胞診は何度もやった。そんなこんなで、ハリーはずいぶん動物病院にはお世話になった犬だった。 人好きで、明るくて、なにより泳ぐのが好き。気のいい

    さようなら、ハリー | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    suika_mug
    suika_mug 2024/04/08
  • 子育ては自分の子ども時代を巡る旅 | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    「朝からうるさいなあ!」と言われてドキッとした。体が大きく威勢のいい次男に面と向かって「うるさい」と言われたことにドキッとしたわけじゃない。自分が同じぐらいの年齢の学生だったとき、朝っぱらから小言を言う母親に叫んだ「うるせー!!!」を、突然、鮮明に思い出したのだ。 息子に「うるさい」と言われ、自分が子どもの頃に一気にタイムスリップした私は、お茶を入れていた水筒を放りだした。「あっそ。じゃあ、勝手にしな」と言い、すべてを放棄した。朝の忙しい時間帯に、確かに口うるさかったのだろう。自覚はしている。ただ、言わなければならないことがどうしてもあったのだ。 次男は呆然としていた。なにせ、学ランも水筒も財布もケータイも、毎朝行方不明になっているような子だ。「どれを着たらええのん……?」と、テーブルの上の下着やTシャツやワイシャツを前に、困惑の表情だった。私が何も言わずにいると、次男は仕方なさそうに、不

    子育ては自分の子ども時代を巡る旅 | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    suika_mug
    suika_mug 2019/12/24
    次男くん安定の可愛さ
  • 僕の部屋 | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    先日、大急ぎで学校から戻ってきた次男が、玄関で叫んだ。「かあさん! 俺、自分の部屋が欲しいわ! そろそろ俺も六年やしな!」 いつの間に、「ママ」から「かあさん」になったのだろうとちょっと驚きつつ、ついにこの日が来たかと思った。最近、遠くのお友達の家まで自転車で遊びに行くようになった双子には、私が知らない秘密がどんどん増えているらしい。時々、私に聞こえないように、コソコソと耳打ちし合い、「わかった」とか「よし」なんて感じでやりとりしているのを目撃する。息子たちの行動のすべてを把握しようなんてことは思わないが、どこのお友達と遊んでいるのか、何をして遊んでいるのかは、親としてある程度は知っておかなければならない。さりげなく(探っているのではないというオーラを全身から出しながら)、「今日はどこに行ったの?」、「何をしたの?」と事情聴取したりする。 答えは決まって、「友達の家でゲームした!」というも

    僕の部屋 | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    suika_mug
    suika_mug 2019/09/30
  • いい親になりたい | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社

    二月上旬のとある金曜日、わが家はインフルエンザA型で一家半滅状態だった。 めったに体調を崩さない夫からメールが届き、具合が悪いので会社を早退するとあった。「悪いんだけど、病院に寄ってから帰ってきてくれる?」と返事をした。全国的に、インフルエンザが猛威を振るっていたからだ。夫は近所のクリニックで診察を受けて帰ってきた。 「インフルエンザA型だって」 そのひと言を最後に夫は寝込んだ。 次は長男だった。下校後、「なんだかオレ、だるい…」と小さな声で言う。全てを悟った私は、長男を駅前のクリニックに連れて行き、事情を話してすぐさま検査をしてもらった。結果は「インフルエンザA型」。その場で薬を飲ませてもらい、残りの薬をもらって家に戻った。 さて、次男である。体力、気力、その他ありとあらゆる、私にとっては多少の重荷となるパワーを持ち合わせている次男は、けろっとしていた。「オレはインフルエンザにやられるよ

    いい親になりたい | 村井さんちの生活 | 村井理子 | 連載 | 考える人 | 新潮社
    suika_mug
    suika_mug 2019/02/21
  • なぜだか傷ついてしまう | 村井さんちの生活 | 村井理子 | Webでも考える人 | 新潮社

    息子の同級生の母たちにばったり出会うと、「そろそろやな」、「また行事が終わったな」と言い合うのが最近のお決まりになっている。長い人では保育園時代からの付き合いであるから、十年を超えて、互いの子どもの成長を見守ってきた。まだ歩くこともままならない乳幼児の頃から知っている子どもたちが、来春には小学校を卒業する。これは、我々母親たちにとって大きな区切りのようなものだ。いや、他の人たちがどれだけそう思っているか定かではないが、なんとなく身構えているのはわかるし、少なくとも私にとっては、とんでもなく大きな区切りなのだ。 確かに、保育園を卒園する時にも、万感の思いはあった。初めての育児に悩み、疲れきっていたあの頃は、保育園の先生のひと言や、子どもの咳やくしゃみや発熱にいちいちビクビクしていたものだった。つまり、あの頃、私たちの誰もが新米の母親であったのだ。保育園の卒園は、そんな新米だった私たちが、育児

    なぜだか傷ついてしまう | 村井さんちの生活 | 村井理子 | Webでも考える人 | 新潮社
    suika_mug
    suika_mug 2018/11/22
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