大阪公立大学などは汗をかいた時に強いにおいが出る「腋臭症(わきが)」の原因になる菌を特定し、ピンポイントに死滅させる酵素を合成した。従来の抗菌剤は有用な菌まで殺菌する問題があった。腋臭症を治療する塗り薬やデオドラントの開発につなげる。日本人の1割が患う腋臭症は、脇などにあるアポクリン腺という汗腺が固有の物質を分泌するのが原因だ。分泌物自体は無臭だが、皮膚にいる菌が分解して揮発性の臭い物質に変え
アルツハイマー病のリスクを高めることが知られているものの、詳しい仕組みが分かっていなかった、特殊な遺伝子が神経細胞の働きを妨げるメカニズムを、慶応大学のグループがiPS細胞を使った実験でつきとめたと発表しました。 アルツハイマー病は「APOE4」と呼ばれる遺伝子を持っている人では発症のリスクが3.5倍以上に高まりますが、詳しいメカニズムはこれまで分かっていませんでした。 グループでは人工的に「APOE4」を持たせたヒトのiPS細胞を神経系の細胞に変化させたうえで、正常な神経細胞と一緒に培養しました。 その結果、一緒に培養した神経細胞は表面にある情報伝達の役割を担う「スパイン」と呼ばれる突起が成長しにくくなり、突起の長さが通常よりおよそ20%短くなっていたということです。 この遺伝子を持つ細胞から多く分泌されるたんぱく質の1つが、スパインの成長を妨げることも確認できたということで、グループで
名古屋大学などは子宮内膜症の発症を促す細菌を同定した。歯周病の原因となる細菌で多くの人が持っているものだった。子宮内膜症ではホルモン剤の内服による治療がされるものの、妊娠を希望する時期には使えない。研究成果は抗菌薬を使う新しい治療法につながると期待している。子宮内膜症は子宮内膜や似た組織が卵巣周辺など子宮外に存在して増えたり、大きくなったりする疾患だ。月経痛を伴い不妊の原因にもなる。生殖年齢に
光ファイバーを使って内視鏡を注射針よりも細くする技術の開発に慶應大学などのグループが成功しました。実用化されれば、ひざの関節などの内視鏡検査で患者の負担を減らせると期待されています。 開発を行ったのは慶應大学の小池康博教授と、医学部の中村雅也教授、それに医療機器メーカーなどで作るグループです。 グループは、特殊な光ファイバーに光を通すとレンズと同じように屈折することに注目し、レンズの代わりに光ファイバーを取り付けた内視鏡を開発しました。 開発した内視鏡は太さが1.25ミリほどと非常に細いため点滴などで使う注射針の中を通すことができ、解像度の高い映像を撮影できるということです。 グループによりますとこれまでひざの関節などの内視鏡検査は全身麻酔での手術が必要でしたが、開発した内視鏡は、ごく小さな穴から挿入できるため患者の負担を減らすことが期待できるということです。 また、光ファイバーは、プラス
富山大学は、手足が震えたり体が動かなくなったりする難病、パーキンソン病の発症メカニズムを発見したと発表し、今後、新たな治療法につながることが期待されます。 この研究は富山大学学術研究部薬学・和漢系の酒井秀紀教授や藤井拓人助教などで作るグループが行いました。 パーキンソン病は、手足が震えたり体が動かなくなったりする難病で、脳の一部に「αシヌクレイン」というたんぱく質がたまることが原因とされています。 この原因を解明するためグループでは、脳の神経細胞の中にある「PARK9」という別のたんぱく質に着目し、その機能を分析した結果、パーキンソン病の原因となる「αシヌクレイン」の分解を進める役割を果たしていました。 さらに薬剤を使って「PARK9」の働きを阻害する実験を行ったところ、「αシヌクレイン」が通常の4倍以上蓄積したということです。 このため「PARK9」の機能の異常がパーキンソン病の発症につ
早稲田大学の三宅丈雄教授らはコンタクトレンズで涙に含まれる糖の濃度を測れる小型センサーを開発した。わずかな濃度の違いを見極め、失明につながる糖尿病網膜症の疑いがある人を早期に見つけられる可能性がある。今後、コンタクトレンズメーカーなどと安全性を検証する。糖の濃度を計測し、無線でデータを送る小型センサーを開発した。コンタクトに取り付けられるほど薄くて小さい。動物の目に装着した実験では、従来技術の
国内におよそ80万人の患者がいるとされる関節リウマチをはじめとした自己免疫疾患について、症状を悪化させる原因となるたんぱく質を特定し、その働きを抑える薬の成分をマウスの実験で発見したと大阪大学などのグループが発表しました。 自己免疫疾患は、免疫の異常によって関節や皮膚などの組織が攻撃され、炎症などが起きる病気で、このうち関節リウマチは国内におよそ80万人の患者がいると推計されています。 大阪大学の鈴木一博教授などのグループは関節リウマチの症状を再現したマウスを使って自己免疫疾患の詳しい原因を調べました。 その結果、免疫を活性化させる「COMMD3/8複合体」と呼ばれるたんぱく質を、体内で作り出せないようにしたマウスでは関節炎の進行が抑えられ、このたんぱく質が自己免疫疾患の悪化に関わっていることがわかったということです。 さらに、炎症を抑える目的で使われている漢方薬の原料「ライコウトウ」の主
呼吸器疾患を引き起こすRSウイルス(RSV)の世界初のワクチンが、2023年内にもまずは米国で登場する見込みとなった。RSVは乳幼児や高齢者が感染すると、肺炎を起こすなど重症化しやすい。国内外の製薬大手がワクチン開発を競うが、欧米勢がまもなくゴールを切りそうだ。2月、英グラクソ・スミスクライン(GSK)が開発するRSVワクチンの国際共同第3相臨床試験(治験)の結果が英医学誌ニューイングランドジ
人の腸内には1000種類、40兆個以上の細菌がすみ着いている。この腸内細菌を難病の治療に生かす取り組みが広がってきた。1月からは「潰瘍性大腸炎」に対する先進医療がスタートした。米国やオーストラリアでも別の腸炎の治療法が規制当局から承認を取得した。がんや精神疾患など様々な病気への有効性も期待されている。「まさかこんなに症状が改善するとは思わなかった」。福島県で飲食店を経営する50代の佐川達也さん
東京大学の岡本晃充教授らはがん細胞を選択的に殺せる人工DNAを開発した。マウスや細胞レベルで複数のがんへの効果を確かめた。DNAやRNA(リボ核酸)を使う「核酸医薬」の新たな候補となり、副作用の少ないがん治療につながる可能性がある。実用化に向けてスタートアップを設立済みで、数年後の臨床試験(治験)開始を狙う。がん細胞は、できた臓器などに応じてマイクロRNAという遺伝情報物質の特定のタイプを過剰
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