アシモフの小説『夜来たる』が問題視されて然るべき理由について最初に：本記事は実に入り組んでおり、かつ、往年のSF作品などに関する非常に細かな話を扱ったものとなってもいる。物怖じせずに読解をなそうという方々が「まったくもって理解不能」とはならないように最低限度の説明はなしているつもりだが、とにかくも、そうしたものとなっている。であるから、劈頭（へきとう）に当たるこの場にて述べておくが、本記事の内容を［完全理解］しようと思われた方には ［印刷をなしての紙面上での精読］ を ―強くも― お勧めさせていただきたい。 アイザック・アシモフ。SFの世界では知らぬ者なき大巨匠であった作家。私も今は故人となっているアイザック・アシモフの作品を直に手に取り、その筆力、構成力、識見の高さを見せつけられ、風評の通りの傑物である、との印象を覚えたものだが（そも、アシモフはただの専業作家ではなく大学に終身在職権を持っていた科学者でもあった）、同アシモフのとある作品に ［およ
