絶対面白いと思った。 この本を読みたいと思った理由は砂に埋もれていく家から脱出するというあらすじに心を掴まれてしまったからです。「脱出」って映画っぽくもあり、ゲームとしてもジャンル化しているので絶対面白いだろうと思ったんです。 安部公房さんのことを存じあげない私は紹介ページを読んで驚きました。先日ようやく読み終わったサルトルと同じタイトルの「壁」で芥川賞を受賞しているというではありませんか。こういう偶然があるから読書は面白い。 いざ、物語の世界へーー。 砂の女 第一章 季節風が吹きつける、海に面した部分は、砂丘の定石どおり、盛上ったような急傾斜で、葉の薄い禾本科(かほんか)の植物が、すこしでもなだらかな部分をえらんで、細々と群がっている。だが、部落の側を振り返ると、砂丘の頂上に近いほど深く掘られた、大きな穴が、部落の中心にむかって幾層にも並び、まるで壊れかかった蜂の巣である。砂丘に村が、重