ブックマーク / finalvent.cocolog-nifty.com (14)

  • [書評] 戦後フランス思想(伊藤直): 極東ブログ

    私は66歳にもなって自分を大人気なく思う。書『戦後フランス思想』を読んで、ああ、こういう解説は簡素によくまとまっているけど、あの時代の日の空気が感じられないなあ、と思ってしまった。ということを書くのも、大人げないが、書はそんな郷愁をもたらした。と、いうのも、あまり正確ではない。後で触れるが、書は実はとても現代的でもある。 もう少し、大人げない話をしたい。書を読みながら、十代の自分が今も自分の中にいることに気がつく。アルベール・カミュは私の少年期そのものだったからだ。なんかもう自殺しようかなと思っていた中二の私は、確か、白井浩司の書いた、フランス哲学風人生論で、カミュを知った。曰く、『シーシポスの神話』を読みなさい、というのだった。読んだ。哲学の問題は今、自殺するかしないかだとする、書にも引かれているが、その基調は、中二の心を掴んだ。不条理(なんですかコレという笑っちゃうね状況)

    ueshin
    ueshin 2024/04/25
    カミュとかサルトルを同時代的に生きていた人の語りになるなあ。90年代に現代思想を読んでいた私には同時代を生きているフランス思想家という存在はなかったな。
  • [書評]若者は本当にお金がないのか?統計データが語る意外な真実(久我尚子): 極東ブログ

    表題通りの疑問を持っていたので、『若者は当にお金がないのか?統計データが語る意外な真実』(久我尚子)(参照)を読んでみた。結論は、明快だった。 統計データを見ると、今の若者は一概にお金がないとは言えない。一人暮らしの若者の所得はバブル期より増えている。若者を哀れんでいる現在の中高年の所得よりも多い。 ほほぉ、という感じである。 これを統計で裏付けられて言われちゃうと、くさす人も人もいるだろうなと、今思って、アマゾンを覗いて見たら、案の定、酷評が目立った。 こういう場合、実際にアマゾンで買った人の評に絞って見るほうがよいので、それに絞ると星5と星2のみ。その星2の評を読むと「国の報告書の分析を無批判に受け入れる姿勢も気になる」とあるのが微笑ましい。星5の評はしかし特に言及はない。それでも、総じて見れば、問題提起のあるよいと言えるのではないかと思う。というか、私も読後、これは良書だなという

    [書評]若者は本当にお金がないのか?統計データが語る意外な真実(久我尚子): 極東ブログ
    ueshin
    ueshin 2014/12/18
    お金がないという固定観念のほうが益することがある? ただひとり暮らしのデータであって親元暮らしがわからないとは。
  • 公立図書館開架の『アンネの日記』や関連図書の破損が発見されたというニュースの関連で: 極東ブログ

    東京都内の公立図書館開架に置かれている『アンネの日記』や関連図書の多数でページを破られていたことが発見された奇っ怪な事件は、海外にも大きく報道された。 英語圏のニュースは特に意識しないでも見ているので、その範囲でもいろいろ見かけた。が、大半はBBC記事「Anne Frank's Diary vandalised in Japan libraries」(参照)のように抑制的に書かれていた。 特にこのBBC報道でが適切に思えたのは、欧米などでよく見られる反ユダヤ主義(anti-Semitism)が基的に現実にその社会に存在するユダヤ人を排除する意図、さらには、民族浄化の文脈で語られるものなのに、日にはそうした背景が存在しないことを指摘している点だった。 For many Japanese the book forms the basis of their knowledge about t

    ueshin
    ueshin 2014/02/26
    「犠牲者の親近感に拠っている。日本人は広島と長崎に原爆を落とされたゆえに自分たちをそのようにとらえている。彼らは、同時代、朝鮮や中国で彼らの軍隊が生み出した無数のアンネ・フランクを考えない」
  • [書評]「ブッダ」(手塚治虫): 極東ブログ

    Yahoo!ブックストア」で2013年6月4日まで、手塚治虫の「ブッダ」全14巻が無料で読めると聞いて、ああ、懐かしいなと思った。ニュースをざっと見ると、アンドロイド端末アプリを使うらしいので、持っているけど、あれで漫画を読む気にならないと思った。が、ふと気になってもう一度見ると、iPhoneアプリにも対応しているらしい。それでも画面が小さくて読む気にはならないが、もしかしてiPadで読めるのかもと思って試したら、読めた。そして、つらつら14巻を読んだ。他に、「火の鳥」全16巻と「ブラック・ジャック」全22巻も同期日まで無料らしい。そちらはいくつか覗いてみた程度。 手塚治虫の「ブッダ」が、潮出版社の少年漫画雑誌「希望の友」に連載開始されたのは1972年のこと。僕が中学二年生の時だ。すでにその頃、僕は亀井勝一郎の「親鸞」(参照)とか、鈴木大拙の「日的霊性」(参照)や梅原猛の「地獄の思想」

    ueshin
    ueshin 2013/06/02
    中二のときに亀井勝一郎の「親鸞」とか、鈴木大拙の「日本的霊性」や梅原猛の「地獄の思想」を読んでいたって。わたしは中二のころ「ブッダ」を読んだが。
  • [書評]色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(村上春樹): 極東ブログ

    ブログの便宜上、[書評]としたけど、以下、それほど書評という話ではなく、読後の印象のような話。 きちんとした書評を書くにはまだ読み込みが足りないのと、きちんと書くとなるといわゆるネタバレが含まれることになるので、現時点では避けておきたい気持ちもしている。一般のメディアに掲載される書評というのはどうしても広告的な側面があり、ネタバレは避けるのがお約束なので、きちんとした文芸批評的な書評を書くなら媒体を変えたい感じもしないではない。それはそれとして。 前評判の高かった『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(参照)だが、普通に面白かった。普通というのは、村上春樹ということを意識しなくても読めるし、彼の過去の作品群を知らなくても普通に読んで面白い小説だということ。村上春樹作品をこれまで読んだことがない人でも読まれるとよいと思う。高校生と30代半ばの人には独自な印象を残す大切な小説になるはずだ

    ueshin
    ueshin 2013/04/14
    「「色彩を持たない」というのは、登場人物の名字の比喩もあるが、つくるが、グループのなかで個性という色合いを持たない凡庸な自分だった、という意味合いがある」
  • [書評]就活でうつにならないための本(向後善之): 極東ブログ

    ネットを眺めていると、とくに「はてな」界隈でよく就活の話題をよく見かける。長くデフレが続き、若い人の就職が大変なのだろうなというのはなんとなくわかるし、自分を省みて、就職や職のことも思う。そのあたりは、先日出した自著『考える生き方』(参照)にも書いた。結論だけいえば、就職が自身に馴染むのは30歳くらいのことだろうし、また、何がやりたいかといった夢よりも、落ち着ける職場がよいだろう、というものだった。自分は、どっちかというと、ネガティブな人間なので、そんなことくらいしかわからなったし、職のまつわるつらさに潰れたほうの人間だったので、そのつぶれ状態についても書いてみた。まあ、自著の話はさておくとしよう。 現代の就活というのはどうなっているのだろうか。つらいから、になる人もいそうだ、というあたりで、そのままのコンセプトに思える書『就活でうつにならないための』(参照)を読んでみた。これも結論

    ueshin
    ueshin 2013/03/09
    落ちても全人格を否定されたと思うのではなくて、自分を保つ術はたいせつ。
  • [書籍]本を書きました。『考える生き方』(finalvent著): 極東ブログ

    冗談みたいなんですが、ええと、を書きました。『考える生き方』(参照)。アマゾンを見ると、明後日、2月21日に発売となっています。 自分のところには数日前に見が来て、「ああ、になったんだ」と感慨深かったのだけど、いま発売日を確認したら、もう明後日なんだと驚いた次第です。 内容は、あれです、ネットで嫌われる「自分語り」というやつです。 なので、ネットでするのもなにかなとにした……というほどではないのですが、いろいろ考えたのですが、ネットで書くより、で書いたほうが読んでもらえるような気がしたというのはあります。 有料プラットフォームcakesで書いている「新しい古典を読む」の書評を続けていても思ったのだけど、cakesもネットではあるけど、有料なので読みたいという人が読むことになります。すると、読む人の数は減ってしまうし、簡単な一言コメントみたいなものも少なくなりますが、その分、深く読

    ueshin
    ueshin 2013/02/19
    はじめて出す本が自分語り。。
  • なんで昔の人は結婚できていたのか?: 極東ブログ

    生涯未婚率が上昇していると言われ、当然、比較として、なんで昔の人は結婚できていたのか?という問題がたまにネットの話題に上がる。この手の問題は、解答の要件がはっきりしていないので、どういう話でもいい。寄席の大喜利みたいなものになってしまう。それでもいいのではないかな。そんじゃ。 よく昔の人の生涯未婚率は低いと言われる。生涯未婚率というのは50歳まで結婚したことがない人の人口比である。1920年代でも数パーセントみたいなグラフをよく見かける。これじゃ昔は皆婚社会だったなといった印象である。 1920年とかの起点がそうなっていると、ふーん、昔からそうなんだと思いがちだし、統計に根幹的なミスがなければ、そういうことなんだろう。だが、基点をもうちょっと昔にずらしていくとどうなるか。つまり、昔っていつか。 江戸時代のころはどうだったか。まず、よく言われるように、18世紀、世界に冠たる大都市・江戸だが、

    ueshin
    ueshin 2012/10/29
    江戸の町は参勤交代とかで男ばっかりだったから吉原があったのでしょうね。
  • 第三の新人が日本の実存主義だった: 極東ブログ

    第二次世界大戦とはなんだかったか。一概には言えないが、大きく見れば世界思想の水準における社会主義終焉の明確な始まりだった。 この社会主義には二系統ある。一つはソ連型の社会主義、つまりアジア型ナショナリズムにルサンチマンが結合した独裁主義である。これが純化されてアジアにも影響した。 もう一つは、近代福祉型ナショナリズムにルサンチマンが結合した独裁主義、つまり国家社会主義(ナチズム)である。これは第二世界大戦においてほぼ終焉への道筋が敷かれたかに見えた。 欧米の実存主義は、こうした第二次世界大戦後の、社会主義に対する対抗や反抗のあり方として現れた。実存主義は、社会の義よりも個人の自由が義となる世界思想として重視されたのである。 顧みると、そもそも19世紀以降社会主義が台頭したのは、近代人=市民の終わりを止揚的に継承したものである。市民は社会に統合されることで、生と世界が実現するかのような情念を

    ueshin
    ueshin 2012/09/25
    実存主義はやっぱりなぜそのような問いが出てくるのかわからないな。
  • 「恋愛は性欲とは違って、唯一の相手を求める」と武者小路実篤先生はおっしゃるが: 極東ブログ

    僕くらいの年になると恋愛とか性欲とか卒業間近になるとも思われている。世間を眺めるとそうでもない。中原棋聖とかもそうでもなかった。みんな、いずれ、人生の卒業まで引きずるのかもしれないが、先日、武者小路実篤の言葉と称するものをツイッターで見かけて、少し考え込んだ。 武者小路実篤先生といえば、仲良きことは美しきかなというお言葉が、なすときゅうりの絵に、意味深長に添えた色紙が有名だが、他のお言葉も残しているようだ。こういうお言葉だった。 恋愛は性欲とは違って、唯一の相手を求める。性欲だらけなら結婚は不必要だ。性欲は相手を尊敬しない。 武者小路実篤 武者小路実篤先生が当にそんなことを言ったのだろうか。武者小路実篤先生の、時代を先取りした喪男ぶりと転じてのご乱行の数々を知っている文学愛好家だと、くっくくく、苦笑で腹痛ぇ、とか言いそうな感じはするけど。 ググってみると、ばふぉばふぉとこのお言葉が出てく

    ueshin
    ueshin 2012/07/01
    精神を高いものと見なして、肉欲を低いものと見なした純愛論は、けっきょくは商業的取引だけをもたらしたのではないか。
  • 吉本隆明が亡くなった: 極東ブログ

    隆明が亡くなった。未明に地震があり、あの震源はどこだったんだろうと思ってテレビの音声を聞いているときに、訃報を聞いた。 まあ、お年だからなと思った。糖尿病を抱えヘビースモーカーで87歳というのは大往生の部類ではないか。彼の死についてはかねて理解している以上のことはないなと思って、ぼうっとしていたら、自然に涙が出て来た。ツイッターにも吉の死のことは書くまいと思ったが、堰を切ったように連投してしまった。 僕は吉さんに個人的に会うことはなかった。知人が吉さんのの編集などをしていたので会うこともできないものでなかったけど、まあいいかと思っていた。自分が若い頃、自暴自棄になって自分の学んだことをすべて放り出したいと思ってプログラマーになって、ヴェイユのひそみもあって工場でファームウエアのアセンブラプログラムとかしているとき、吉さんのの、宮沢賢治に触れたところで、知識人は知性を罪責と思

    ueshin
    ueshin 2012/03/16
    ふうん。わたしはもうニューアカ世代だったな。「団塊世代的な吉本隆明への傾倒の、いちばんしっぽにあるのが私ではないかと思う」
  • [書評]インナー・チャイルド 本当のあなたを取り戻す方法(ジョン・ブラッドショー): 極東ブログ

    最初に言っておくと、書「インナー・チャイルド(ジョン・ブラッドショー)」(参照)の副題「当のあなたを取り戻す方法」は、私としては賛同しがたい。そもそも「当のあなた」なるものがあるのかどうかもわからないし、「ああ、これが当の自分だ」という実感が仮に得られたとしても、それが一般的なことなのか、あるいはその代償もまた大きいのではないかとも思える。その意味でも、書はお薦めするという類のものではない。 では、なぜこのを読んだのかというと、関心があったからだ。そして、当然というべきだが、私自身が「インナー・チャイルド」なるものに苦痛を感じていたからだ。 「インナー・チャイルド」というのは、大人になっても心のなかに潜む、傷ついた子供のような心理のことだ。子供のころに得たつらい記憶が今も心的外傷後ストレス障害(PTSD)のように残っていることだと言ってもいいかもしれない。もっとも、書などにも

    ueshin
    ueshin 2011/11/08
    幼少期を思い出すのは現在の上であり、過去はどこにも存在しないし、脅威もたんなる心象と記憶でしかない。という立場にわたしは立つ。
  • [書評]リトル・ピープルの時代(宇野常寛): 極東ブログ

    「リトル・ピープルの時代」(参照)で宇野常寛が展望する現在世界の見取り図は、理解しやすい簡素な構図で出来ている。 1948年にジョージ・オーウェルが著した「1984」(参照)の「ビッグ・ブラザーの世界」は、2009/2010年に村上春樹が「1Q84」(参照)で描いた「リトル・ピープルの時代」に変貌したということだ。では、ビッグ・ブラザーとはなにか。リトル・ピープルとはなにか。 ビッグ・ブラザー(偉大なる兄弟)は、オーウェルの脳裏ではスターリンだった。有田芳生氏の名前の由来となった「ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)」である。同志スターリンとも呼ばれたものだった。その他に毛沢東もビッグ・ブラザーであり、金正日もそうだ。カダフィーもそうだと言ってよい。大衆の前に写真で大きく掲げらる。全体主義国家の独裁者と理解されることが多い。 だが独裁的な国家の内側では慈父として信奉される。ある

    ueshin
    ueshin 2011/09/10
    ふうんという感じで読ませてもらったが、思想というより矮小化された劇画な感じがしないわけでもない。
  • NRCは水素爆発の原因を炉ではなく使用済み燃料プールと見ている: 極東ブログ

    福島第一原発建屋の水素爆発を導いた水素の発生源について、現状日では、また仏アルバ社もそうだが、炉であると見ている。高温になった炉内の燃料被覆ジルコニウムによって水が還元されて水素が発生し、これがベントによって建屋内に放出され、酸素と化合して爆発したという説である。ところが、米原子力規制委員会(NRC)はこの説を採っていないと12日付けニューヨークタイムズ「Japan’s Reactors Still‘Not Stable,’ U.S. Regulator Says」(参照)が報道していた。発生源は使用済み燃料プールだというのだ。当初、菅首相の残念な発言を追って同記事を読んでいたのだが、この新説を読み、そうかもしれないと胃にずしんと来る感じがした。 当初、菅首相の残念な発言がどう海外に報じられているだろうかと関連のニュースを追っていて同記事に遭遇した。菅首相の発言というのはこれである(参照

    ueshin
    ueshin 2011/04/14
    使用済み燃料プールか。数値が測れていないのでは。
  • 1