大津市で2019年、右折車と直進車の衝突に巻き込まれ、散歩中の保育園児ら16人が死傷した事故で、遺族らは7日、直進車を運転していた女性(64)を不起訴とした大津地検の処分を不服として、大津検察審査会に審査を申し立てた。右折車の女性(54)は20年に実刑判決が確定。遺族らは直進車についても、「安全を確認し、減速するなどの注意義務を怠った」と主張している。 事故は8日で発生から2年。審査会が「不起訴不当」や「起訴相当」と議決すれば、検察官は再捜査して処分を改めて判断する。
精神疾患の患者の体をベッドなどにくくりつけたりする「身体拘束」の人口100万人当たりの実施数が、日本はオーストラリアの599倍、米国の266倍に上るとの分析結果を、国際研究チームが英精神医学誌「エピデミオロジー・アンド・サイキアトリック・サイエンシズ」に発表した。チームの長谷川利夫・杏林大教授(精神医学)は「患者が地域で生活できる環境を整えるなど現状を改善すべきだ」と話す。 研究チームは、日本▽オーストラリア▽米国▽ニュージーランド――の4カ国を対象に、公開されている2017年のデータを用いて分析。精神科病院で身体拘束されている1日当たりの患者数を比較した。認知症の患者は分析対象から除外した。
重症患者の増加を受け、医師(左)から人工呼吸器の挿管の指導を受ける看護師たち=大阪市住吉区の阪和第二病院で2020年11月26日、久保玲撮影 新型コロナウイルス禍の出口が見えない。昨年から始まった「感染第3波」では、多くの地域で医療スタッフや病床が不足し、病院に入院できずに自宅で亡くなるケースが相次いだ。思えば、日本は医療へのアクセスの良さから「医療大国」と呼ばれていたのではなかったか。なぜ医療崩壊と言うべき事態を招いてしまったのか。社会保障法が専門で、現在の医療状況を「長年の医療政策のツケが回ってきた」と指摘する鹿児島大学の伊藤周平教授に詳しく話を聞いた。【上東麻子/統合デジタル取材センター】 ――医療提供体制が逼迫(ひっぱく)した背景には、国の医療費抑制策があると指摘されています。どういうことでしょうか? ◆新型コロナ対応の中で現在大きな問題になっているのが、「感染症指定医療機関」や「
同じ地点から焦点距離28ミリの広角レンズで撮影した写真(左)と焦点距離300ミリの望遠レンズで撮影した写真(右)。左は人々の間に空間があるのが分かる。右は圧縮効果で遠近感が弱まり、通行人同士の距離が分かりにくいが、マスクの着用率や表情はよく見える=東京・原宿で2021年1月21日午後2時49分、丸山博撮影 新型コロナウイルス感染拡大後、人混みの写真が報じられるたびに「圧縮効果」という単語が飛び交うようになった。大勢の人を遠くから望遠レンズで撮影すると、近くで撮った時より密集しているように見える効果のことだ。中には「演出」「捏造(ねつぞう)」などの批判もある。写っているものは厳然たる事実だが、同じ被写体でも撮り方で見え方は違ってくる。コロナ禍で人の密集度をどう表現するか、カメラマンの私はいつも悩みながら撮影している。報道写真が伝える事実とは何かを考えたい。【丸山博/統合デジタル取材センター】
菅義偉首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党代表質問が20日、衆院本会議で始まった。首相は新型コロナウイルス感染症への政府の対応について「根拠なき楽観論に立って対応が遅れたとは考えていない」と述べた。立憲民主党の枝野幸男代表への答弁。枝野氏は、首相が「GoToキャンペーン」にこだわって対応が遅れたと指摘し、「都合の悪い情報を無視、過小評価することを『正常性バイアス』という。根拠なき楽観論で対応が遅れたと言わざるを得ない」と質問していた。 枝野氏は現状を「感染爆発と呼ばざるを得ない」とし、1月7日の緊急事態宣言発令について「私たちは昨年12月18日には決断すべきだと提案していた。なぜこんなに後手に回っているのか」と追及した。首相は「専門家のご意見もうかがいながら判断してきた」と繰り返し強調し、対応の遅れを真っ向から否定した。
横浜市は5日、2021年の成人式を横浜アリーナ(同市港北区)などで11日に予定通り実施すると発表した。市によると対象者は約3万7000人。政府が神奈川県を含む1都3県を対象に緊急事態宣言の再発令を検討していることを受け、市は実施の可否を検討したが、感染対策を取ることで実施は可能と判断した。市の成人式を巡っては、いったんオンライン開催を決定したが、新成人らが会場に集う形を望んでいるとして林文子市長が方針転換した経緯がある。 市は20年7月、新型コロナの収束が見通せないとして特設サイトを使ったオンライン形式の開催を発表した。半年前に発表した理由について「最大規模の自治体で判断が遅れると、それだけ影響が大きくなる」と説明していた。
与党は菅義偉首相が4日打ち出した緊急事態宣言の発令検討方針について「緊張感を持たせるという意味では効果がある」(自民中堅)と総じて好意的に受け止めている。一方で冬場の感染拡大は事前に予期されただけに「遅すぎ」との批判も上がった。 「すべて良かろうと思ってやってきたわけですが、思ったようにいかなかったところもある。速やかに政策を是正していくことは、命に関わる問題ですから大事なこと」。自民党の森山裕国対委員長は4日、記者団にそう語った。森山氏は多人数会食の自粛など従来の政府要請について「一部協力いただけない方もおられるようだ」と指摘。新型コロナウイルス対策の強化に向けて政府や野党と連携していく姿勢を強調した。 公明党の山口那津男代表も首相の記者会見に先立ち、…
公明党の山口那津男代表は15日の記者会見で、菅義偉首相が14日夜に自民党の二階俊博幹事長ら5人以上で会食したことについて「(首相の行動には)国民に対する一定のメッセージ性がある。よく配慮しながら今後検討していただきたい」と苦言を呈した。多人数の会食は感染拡大の原因になる可能性があるため、政府は外食需要喚起策「GoToイート」の適用を「原則4人以下」に制限するよう全国の知事に要請している。 会食は東京・銀座のステーキ店で開催。プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長、俳優の杉良太郎氏、政治評論家の森田実氏、タレントのみのもんた氏、林幹雄幹事長代理も同席した。首相は首相官邸での政府対策本部で「GoToトラベル」の全国一斉停止を決めた後、遅れて参加し約45分懇談した。
群馬県草津町の新井祥子町議(当時)の解職請求(リコール)の是非を問う住民投票に関して、黒岩信忠町長が14日、日本外国特派員協会で記者会見し、自身の正当性を訴えた。この問題を巡り、新井氏が町長による性暴力を訴えたことから、海外メディアなどは日本の地域社会における男性支配を浮き彫りにした、などと報じていた。 黒岩町長は記者会見で、2019年11月に発行された電子書籍の中で新井氏から性暴力を指摘されたことについて、「性的暴行は虚偽」と述べ、背景に「時間湯」の問題があると説明した。時間湯は草津温泉で100年以上続く伝統的な入浴方法で、黒岩町長が19年7月に廃止し、利用者らから批判が出ていた。こうした経緯を踏まえ「時間湯関係者と共謀して私を失脚させようと画策した」と指摘し、「悪質な名誉毀損(きそん)だ」と…
西村康稔経済再生担当相が「この3週間が勝負だ」と呼びかけた11月25日夜のJR新橋駅前の繁華街。居酒屋などで飲食する人たちでにぎわっていた=東京都港区で2020年11月25日午後6時10分、竹内紀臣撮影 新型コロナウイルスを巡り、政府が「勝負の3週間」と位置づけて集中的な感染拡大防止を呼びかけ始めてから、9日で2週間を迎える。全国の主要都市では呼びかけ直後の週末の人出は減ったものの、その1週間後には再び増加するところが目立った。通勤電車の客も高止まりが続き、営業短縮の要請に応じない飲食店も多い。警戒期間が長引く中、コロナ対策で緩みが出ている。 コロナの感染者は「第3波」で急増し、高齢者を中心に死者や重症者が相次いでいる。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は11月25日に提言を公表。西村康稔経済再生担当相も同日、「この3週間が勝負だ」と呼びかけた。その後、東京都や大阪府は飲食店への時短
閣僚経験もない37歳の女性政治家が史上最年少で国政のトップに立った。新型コロナウイルス対策ではソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して国民とのコミュニケーションに努め、感染拡大防止に成功。これが評価されて10月の総選挙で圧勝した。11月に発足した新政権では女性が閣僚の4割を占めるのをはじめ、先住民マオリが25%、性的少数者が15%に上り「多様性に富んだ内閣」と話題になっている――。 南半球の人口約500万人の国、ニュージーランド(NZ)のことである。率いるのはジャシンダ・アーダン首相(40)だ。そのリーダーシップは世界的に注目されている。2018年、現職首相でありながら6週間の産休を取得したことも記憶に新しい。 国土の形はどことなく日本に似ているのに、政治や社会の状況はここまで違う。その背景には何があるのか。…
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