日本企業同士のビジネスでも比較的頻度の高い債権回収業務ですが、相手が海外企業になると、難易度は一気に上がります。日本の流儀で対応しても、交渉は思い通りに進むとは限りません。国際法務に精通する中村法律事務所の中村優紀代表弁護士が、実際にあった事例をもとに解説します。 日系企業、支払う気のないマレーシア企業に頭を抱える 日本国内であればよく経験されているかもしれない債権回収。海外の企業が相手の場合は、どのようにして回収できるのでしょうか。 私が国際弁護士として関与した実際の事例を紹介します(守秘義務の関係で、事実を一部加工してお伝えします)。 依頼者は、日系ウェブ広告代理店です。マレーシア企業から依頼を受けて、日本市場向けのウェブ広告を制作し、運用をおこないました。広告運用後、このマレーシア企業に業務委託料を支払請求しましたが、一向に支払がされないため、どうしたらよいかと私の所に相談に来ました