今年、アメリカでトマ・ピケティの『21世紀の資本論』が売れて話題になった。日本でも、水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』が、公称20万部に迫るベストセラーになっている。 経済の専門書にもかかわらず、この2冊がベストセラーになったのは、前者が「21世紀に入って資本の収益が労働収入を上回るペースで増大し、格差拡大は資本主義の宿命だ」とし、後者も「世界的な金利ゼロで資本主義は終焉する」という、いずれも単純明快なメッセージを発したことが、多くの人々に受け入れられたからだろう(ピケティの本は年末に刊行される予定)。 利潤率の低下 水野氏は、講演やテレビの雑誌のコメントで、資本主義の終焉について「早く終わらせなければいけないとは思っています」と答えている。では、なぜ早く終わらせた方がいいかというと、「利子率がゼロになったから」だと言う。利子率ゼロということは、資本の自己増殖ができないということで、利