玉水物語 2巻 | 京都大学貴重資料デジタルアーカイブ ※この記事では、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの画像を、適宜改変して使用しています。 【予習の答え】 やしなひはゝの方よりハたへす音つれまことの親よりも いとおしくあたりけり 【原文】 はや夜も更けぬらん。入らせ給へ」 との給へバ[宣へば]、泣く/\帰りて、月冴へ諸共《もろとも》、姫君に添ひ伏しすれども、思ふ心の元、言ひ顕《あらハ》さねバにや、微睡《まどろ》まず。 斯《か》くて月も立ち行く程に、八月ハ初雁《はつかり》が音の告げ渡る聲も身に染む心地して、哀れを問ふと覚えたり。 養ひ母[女主人]の方よりハ、絶へず音連れ[訪れ]、真《まこと》の親よりも愛《いと》おしく当たりけり。 常の衣装の外《ほか》にも、鮮やかに目安く仕立て遣《おこ》せり。 文《ふみ》にも、 「などや時/\は出でも慰め給ひぬ。 我ハかく、夜の寝覚めにも生まれぬ親なれバ