ブックマーク / honz.jp (98)

  • 『世界から青空がなくなる日』 自然のコントロールをコントロールする - HONZ

    世界から青空がなくなる日:自然を操作するテクノロジーと人新世の未来 作者: エリザベス・コルバート 出版社: 白揚社 発売日: 2024/1/26 アメリカのミシガン湖とデス・プレインズ川をつなぐシカゴ・サリタニー・シップ運河。およそ45kmにわたるその川の一画に、不穏な看板が掲げられている。「危険」、「この先、魚用の電気バリアあり。感電の危険大」。しかし、それほど危険な電気バリアがなぜ川に仕掛けられているのだろうか。 その理由は、わたしたちと自然の複雑な関係を象徴している。サリタニー・シップ運河がまだ存在しなかった19世紀、シカゴ市の汚水はシカゴ川に垂れ流され、最終的にはミシガン湖へ流れこんでいた。だが、ミシガン湖といえば、当時もいまもシカゴ市唯一の飲料水源である。そこで、20世紀初頭に運河を開通させ、川の流れを逆転させることにしたのである。 図 シカゴ・サリタニー・シップ運河の開通とそ

    『世界から青空がなくなる日』 自然のコントロールをコントロールする - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2024/03/12
    地球に与えた負の影響と相殺してプラマイゼロで帳尻が合う、そんな都合のいいことにはならないだろう。それでもやらなければならない
  • 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ

    ひさしぶりに会った知人の変貌ぶりにショックを受けることがある。書を書店で見かけた時の驚きもそれに近い。表紙の男性と著者名が一瞬つながらず、人だと気づいて衝撃を受けた。別人のように痩せている。それも何か大病を患ったことをうかがわせるような痩せ方ではないか。 90年代からゼロ年代を通じた福田和也の活躍ぶりは、まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がぴったりだった。「月300枚書く」と人が言っていたように、文芸評論や時事評論、エッセイ、コラムを書きまくり、ワイドショーのレギュラーコメンテーターを務め、文芸誌『en-taxi』を編集し、母校である慶應大学の教壇にも立った。当時、夜の街でもしばしば著者を見かけた。バリバリ仕事をしつつ遊びもこなす姿が眩しかった。 著者を知ったのは学生時代のことだ。江藤淳に才能を見出されたというふれこみで、雑誌『諸君!』でいきなり連載が始まった。破格の扱いだった。

    『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2023/05/08
    ネオリベやカルト信者のくせに保守を名乗ることで「横丁の蕎麦屋のような庶民のリアルを守っている」と宣う人間を山ほど見た今は、こうした「保守」論を昔ほど温かく見られなくなったなあ、自分は
  • 『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる - HONZ

    読むのにとても時間がかかったのは、著者が巨大な問いと格闘しているからかもしれない。戦後最悪ともされる凶悪事件を通して、私たちの社会の奥底で起きている変化をとらえた力作だ。 書は、神奈川県相模原市の障害者施設、津久井やまゆり園で、入所者と職員45名が殺傷された事件の深層に迫ったノンフィクションである。事件そのものを取材したは他にもあるが、書が類書と一線を画すのは、サブタイトルにある「戦争と福祉と優生思想」という視点だ。一見バラバラな3つの言葉は実は深いところでつながっている。それだけではない。著者の人生もまたこの事件と無関係ではなかった。 ノンフィクションのディープな読者は著者の名前に見覚えがあるかもしれない。著者には浅草で起きた短大生殺人事件に関する著作(『自閉症裁判 レッサーパンダ男の罪と罰』)がある。2001年、浅草で19歳の女性が見ず知らずの男に刺し殺されたこの事件は、男がレッ

    『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2023/04/29
    逆も言える。日本社会をあくまで「正常な社会」と見なすならば、それと歩調を合わせようとした植松聖は「正常な犯罪者」なんだ。○□メガネの男などは犯罪者にならずに済んだifの彼と言えるだろう
  • 『ポスト・スポーツの時代』いま、私たちが見ているのは、これまでとは違う「スポーツ」だ - HONZ

    プロスポーツの試合が再開され、スタジアムに観客も戻ってきた。 だが野球もサッカーもすっかり様変わりしてしまった。withコロナ云々を言いたいのではない。もちろんそれもあるが、実は今回のコロナ禍以前に、野球もサッカーも大きく変質していたのだ。いま私たちが目にしているのは、これまでとは違う別の競技であるとすら言えるかもしれない。書はこれを「ポスト・スポーツ」と呼ぶ。 スポーツにどんな変化が生じたのか。そのことにいち早く気がついていたのは、あのイチローだった。昨年、現役引退を発表した記者会見で、イチローはきわめて重要な発言をした。メジャーリーグでの選手生活を振り返り、2001年と2019年とでは、野球の種類が変わってしまったと述べ、現在は「頭を使わなくてもできる野球になりつつある」と危機感を表明したのだ。 ここ数年、メジャーリーグを席巻している「フライボール革命」をご存知だろうか。メジャーでは

    『ポスト・スポーツの時代』いま、私たちが見ているのは、これまでとは違う「スポーツ」だ - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2020/07/19
    ゲームで言えばRTAなんかは「データによって決められた最適行動を、人間がいかに再現できるか」の競争なのだけど、それがつまらないかと言えば意外なほどエキサイティングだったりもする。そこに解決の道はないか
  • 『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』日常に潜む小さなファシズム - HONZ

    数年前のこと、ツイッターで奇妙な動画を見た。揃って白いシャツにジーンズを身につけた大勢の若者たちが、「リア充爆発しろっ!」と大声で叫んでいる動画だ。声を揃え息を合わせ、大声で唱和している。「なんだこりゃ?」。 どれどれと検索してみると、ある大学で行われている「ファシズムの体験学習」だという。どうやらその動画は、周りで見物していた学生が撮ったものらしいが… 甲南大学文学部の田野大輔教授のファシズム体験学習である。 田野教授が「田野総統」、学生たちは「田野帝国の国民」となって行なわれるロールプレイングを通して、人々がファシズムを受け入れるときどのような感情の動きがあるのかを体験させ、いわば「ファシズムに対するワクチン」となるような気づきを得ることを目的としている。 体験学習は2回にわたって行う。大教室に集まった250人で行う大規模ロールプレイだ。1回目。「独裁」を体験するのだからなんといっても

    『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』日常に潜む小さなファシズム - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2020/06/24
    言葉の滑稽さを始め何重にも「安全装置」があって、これではファシズムから離れすぎるのでは?と思いきや、それでも夢中になるという。ならば一見してカッコ良く共感できるものならどうなってしまうか
  • 『謎のアジア納豆』 - HONZ

    書店で書を手にとって、巻頭パラパラと数ページめくってからこの解説文で概要を知ろうとする人も多いと思うので、まず結論から言う。 このは傑作だ。あなたの納豆観を覆し、しかも納豆を入り口にアジア中の辺境民族文化の旅へと誘い、さらに現代におけるディープな旅とは何か?という問いかけまでが含まれている。「買おうかな?どうしよっかな?」と悩んでいる暇はない。今すぐレジに持っていって納豆をべながら書を貪るように読まれたい。以上終わり! …というのは解説文としては不親切なので、数ページもらって書の魅力、そして納豆文化の魅力についてガイドしようと思う。申し遅れたが、僕は発酵文化の専門家として、世界各地の不思議な発酵や微生物を訪ねてまわるのを生業としている。文中の著者の問いかけに僕なりに答える形式で、の理解をさらに深める手伝いができれば幸いだ。(ちなみにここから先はネタバレを多数含むので、もう絶

    『謎のアジア納豆』 - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2020/06/11
    この本に登場するシャン料理の店は、ドラマ版『孤独のグルメ』の舞台にもなったのだが、いかんせん画面映えするものではないので視聴者の評判はイマイチだった
  • 『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する - HONZ

    地球上の自然環境がそこに住む人々の生き方を決定する、という考え方がある。「環境決定論」と呼ばれる思想で、四季が織りなす大自然に囲まれてきた日人には比較的身近な見方でもある。 書はこうした立場から、地球の誕生からさまざまな変遷を経て人間がどのように現在に至ったかを克明に論じる。副題に「人類を決定づけた地球の歴史」とあるように、地質学・地理学・地球物理学を駆使して人類の進化をもたらした原因を探る。 具体的には、地球内部の構造、プレート(岩板)の運動、海洋の大循環、気候変動、鉱産資源の形成など、最先端の地球科学を解説しながら独自の文明論が展開される。確かに、日のようにプレートがぶつかる境界で育まれた文明の多くは、地震や噴火の激甚災害と切り離せない運命を持っている。 著者は新進気鋭の宇宙生物学者で、科学を分かりやすく伝える稀有の文才を併せ持つ。前著『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた

    『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する - HONZ
  • 『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス いまからおよそ1万年前、人類は農業を発明した。農業が生まれると、人びとは必要な栄養を効率的に摂取できるようになり、移動性の狩猟採集生活から脱して、好適地に定住するようになった。そして、一部の集住地域では文明が興り、さらには、生産物の余剰を背景にして国家が形成された──。おそらくあなたもそんなストーリーを耳にし、学んだことがあるだろう。 しかし、かくも行き渡っているそのストーリーに対して、書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だが、人類はなにも農業を手にしたから定住を始めたわけではない(後述)。また、メソポタミアで最初期の国家が誕生したのは、作物栽培と定住の開始から4000年以上も後のことである。それゆえ、「農業→定住→国家」と安直に結び

    『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2020/01/03
    奇書『ゾミア』の人の新刊。これは読まなきゃ
  • 『人口減少社会のデザイン』「人口減少社会」に直面する日本に残された選択肢とは - HONZ

    厚生労働省は12月24日、2019年の人口動態統計の年間推計を発表し、それが大きなニュースになっている。2019年の日人の国内出生数は、最少だった2018年の91万8400人を下回り、前年比5.92%減の86万4千人となり、1899年の統計開始以来初めて90万人を下回った。出生数が死亡数を下回る人口の自然減も51万2千人と初めて50万人を超えて、2017年4月の国立社会保障・人口問題研究所の将来推計に比べると、人口減少ペースは2年も早まっている。 未来予測の中で最も確度が高いのが人口予測であるというのは、未来学者(フューチャリスト)のピーター・ドラッカーが以前から指摘していたことであり、人口の大幅な減少が今さら話題になるというのもおかしな話ではある。これだけ長期にわたる経済停滞が続き、社会がこれだけ若者と女性を痛めつければ、その結果がどうなるかは誰でも分かりそうなものだが、分かっていても

    『人口減少社会のデザイン』「人口減少社会」に直面する日本に残された選択肢とは - HONZ
  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2019/09/02
    もちろんそれを理解してる筆者は「事実やデータとは別の軸で読者の思考をコントロールしようとする」に決まってるので、読みながら安易に「我が意を得たり」と思ってしまうのは危ないのでは。批判的読書、大事
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ

    今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこのを読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始し、2017年に『子どもたちの階級闘争−ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞した。ここ数年、注目を集める書き手である。 書は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベートな色合いの濃い一冊といっていいだろう。彼女は英国南部のブライトンという街で、アイルランド出身で大型ダンプの運転手をしている配偶

    『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2019/06/26
    親の視点から見た息子の話というと、椎名誠の名作『岳物語』を思い出すな
  • 『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ

    小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など冒頭がすべて同じ文言だったのだから。なにこれ? 2017年、初めて行われた道徳の教科書検定が話題となった。ある教科書に載った教材に文部科学省が意見をつけ、教材に取り上げられた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変更されたのだ。 文科省は具体的な差し替え箇所を指示したわけではないというが、教科書全体を通して「我が国や郷土の文化に親しみ、愛着をもつ」点が不足していたと説明している。パン屋よりも和菓子屋のほうが我が国の伝統にかなっているということ

    『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2019/04/20
    心を摩耗させることはできる。自分で考えたり決断したりする力をガリガリと削り取ってゆく。それこそが「教育」だと考えてる人の思うままに
  • 悪魔のように邪悪な組織vsイタリア系のシャーロック・ホームズ──『ブラック・ハンド──アメリカ史上最凶の犯罪結社』 - HONZ

    ブラック・ハンドという凶悪な犯罪結社が19世紀から20世紀にかけて存在した。 彼らの主たる構成員はイタリアからアメリカへと移住した移民たちで、ブラック・ハンドというのは単一の組織への名称ではなく、小規模なものから大規模なものまで含めた、複数のギャング組織の総称であったようだ、書はその犯罪結社の勃興から終焉までをおった記録になる。『ブラック・ハンドは悪名高い犯罪組織だった。「あの極悪非道な、悪魔のように邪悪な組織」と呼ばれ、恐喝、殺人、子供の誘拐、大型の爆弾による爆破事件などを行っていた。』 ブラック・ハンドの存在が劇的なものになっているのは、彼ら自身の行動に加えてそれに敵対した人々の存在も大きい。中でも書の中でメインで語られていくのは、イタリア系のアメリカ人にしてニューヨーク市警察のジョゼフ・ペトロシーノの活躍だ。彼は《ニューヨーク・タイムズ》からは「世界一のイタリア系捜査員」と呼ばれ

    悪魔のように邪悪な組織vsイタリア系のシャーロック・ホームズ──『ブラック・ハンド──アメリカ史上最凶の犯罪結社』 - HONZ
  • 『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう - HONZ

    『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう 近年、欧米の若い人たちの間で、とりわけミレニアル世代の抜群に頭のいい人たちの間で、寄付と慈善活動に関するひとつの運動が盛り上がりをみせている。運動の象徴ともいえるピーター・シンガーだけでなく、スティーブン・ピンカーなどの著名な論者も支持の声を上げているので、あなたもその運動について耳にしたことがあるかもしれない。それは、「効果的な利他主義(effective altruism)」という運動である。 効果的な利他主義は「利他主義」である。だからそれは、他者の助けとなる行動を奨励する。でもそれは、寄付や慈善活動を無条件に奨励するのではない。効果的な利他主義は、それらが「効果的」であることを要求する。つまり、ただ単に寄付や慈善活動を行うのではなく、できるだけ多くの利益につながるように

    『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2018/11/06
    「何があなたのためになるかは私が決める」というパターナリズムと表裏一体であることに自覚的でないといけないけどね
  • 最後の魔境へようこそ! ”ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活” - HONZ

    かつては釜ヶ崎とよばれ、いまは、あいりん地区とよばれるドヤ街が大阪・西成にある。 その中心にある三角公園から北東方向を撮影したのが表紙の写真だ。右奥にひときわ高くそびえているのが地上300メートル、日一の高さを誇るビル「あべのハルカス」。左側に壁のように見えるが大阪市立大学医学部附属病院、そのすぐ向こう側は大阪市立天王寺動物園である。 土地勘のない人にもわかってもらえるだろう。あいりん地区は多くの市民が憩う場所から目と鼻の先にある街だ。しかし、大阪市民の多くは、その名を知っていても、足を踏み入れたことはないはずだ。わたしもその一人である。このを読めばわかる、ここは大阪の魔境なのだ。 東京でいえば山谷にあたるのだろうか。しかし、筑波大学を7年かけて卒業し、就職しそこねたライター志望の國友クンは、東京からわざわざ西成へ取材に遣わされたのだ。このような場所はもう西成にしか残っていないのかもし

    最後の魔境へようこそ! ”ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活” - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2018/10/27
    読んだけど、『ルポ川崎』みたいなのを期待すると多分ガッカリする。ひたすらダークでダーティな最下層労働の話が続き、地方文化や独自コミュニティのような話はほぼない。そういった「繋がり」すら剥奪されている
  • 『さいはての中国』 あなたの知らない中国 - HONZ

    ノンフィクションを読む醍醐味である未知の世界を知る喜びをこれでもかと与えてくれる一冊だ。中国の地を這う現実を伝え続けるルポライターの著者が選んだ行き先は、途方もなく広い中国の“さいはて”。書に登場するのは、発展著しい深圳のネトゲ廃人、広州のアフリカ人街、内モンゴルのゴーストタウンや北米の「反日」華人組織などという、旅行者やビジネスマンはもちろん、大手メディアも近づかないような場所ばかり。大金を積まれても行きたくないような所へ軽快に潜り込み、現場の声を拾い上げ、世界の広大さを突きつけてくる。 最初の目的地は、中国最大のIT企業群が社を置くサイバーシティ深圳だ。次代のシリコンバレーとも呼ばれる彼の地の先進ぶりを伝えるニュースは引きも切らないが、この街には知られざる一面がある。そこには、中国各地からい扶持を求めてやってきた、著者が呼ぶところの「サイバー・ルンペンプロレタリアート」がいるのだ

    『さいはての中国』 あなたの知らない中国 - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2018/10/22
    現代中国の話としては興味深く読んだけど、最後の方は蛇足。「中国は批判されるべき国だ」と言いたいがために詳しくないことにまで踏み込んでしまっている
  • 『進歩 人類の未来が明るい10の理由』悲観に入れ込みすぎないように - HONZ

    ニュース番組を見て憂になる。新聞やインターネットの記事を読んでげんなりする。暗い内容ばかりだからだ。シリア情勢、温暖化、テロに凶悪犯罪、不況、所得格差、貧困、差別、少子化・高齢化、災害。マスメディアは脅威を報道するのが基だし、これらすべて顕在化している問題であるとはいえ、連日こうしたニュースを見ていると、そんなにメンタルの強くない筆者などはすぐ気が滅入ってしまう。ひどい時代に生まれてしまったものだと思わずにはおれない。 そうしていだかれた悲観論に一石を投じるのが、書だ。一言で説明すれば、人類がここ2世紀あまりで飛躍的に進歩し、死のリスクが大幅に低下したことをデータとともに示したである。著者はスウェーデン生まれの作家・歴史家で、グローバリズムと自由貿易の推進を訴え続けている人物だ。書について彼はこう述べる。 現代において、私たちは自分の生活を改善する自由を与えられ、それにより世界を

    『進歩 人類の未来が明るい10の理由』悲観に入れ込みすぎないように - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2018/06/25
    未来は今よりマシなのは間違いない。が、グローバリゼーションと自由貿易の発展がそれをもたらすというのは願望にすぎない。 帝国主義や共産主義みたいに過去のハシカ扱いされてるかもしれない
  • 『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ

    やばい、遅刻だ! 必死で走る私。バッグの中には、『ほぼ命がけサメ図鑑』。 その日私は、世界でただひとりのサメ専門ジャーナリスト(シャークジャーナリスト)であり書の著者でもある、沼口麻子さんと会う約束をしていた。が、池袋駅前で道に迷ってしまっていた。 サメ――海に行ってもお会いしたくない生物の代表格。「凶暴な海のハンター」というイメージをもつ人も多いことだろう。 ところがそのサメを追い求めて、サメの情報発信を生業としている女性がいる。しかも、6年がかりで執筆した『ほぼ命がけサメ図鑑』は発売後わずか5日で重版したというではないか! 『ほぼ命がけサメ図鑑』は、サメの生態など科学的な紹介から料理など人との関係、サメQ&Aに研究現場の紹介などなど、内容盛りだくさんのサメへの熱い想いにあふれる一冊である。 これはもう、著者に会ってみたいと思わないほうが、おかしいのではないか。 時間ぎりぎりに、汗だ

    『ほぼ命がけサメ図鑑』これが世界でただ一人、サメ専門ジャーナリスト・沼口麻子の生きざまだ! その①  - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2018/06/07
    色々な目に遭ってるものの「サメに食べられそうになったこと」は一度もないと本にも記してたね
  • 『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』スタンダードの求心力と辺境の遠心力 - HONZ

    読書会のやり方は人によって様々だと思うが、面白く実施するためにはいくつかの条件がある。たしかに同じような読書量のメンバーが集まり、をネタに好き勝手言い合うだけでも、それなりの楽しさはあるだろう。 しかしそれを継続的に習慣化していくためには、少なからず妄想のような会話にリアリティが伴ってくる必要がある。HONZの例で言えば、サイエンスの話に触れながら、ふと感じた疑問に答え合わせのできる状況が整えばグッと面白くなるのだ。だからHONZの朝会にわざわざ大阪からやってくる大学教授の存在には、得難いものがある。 また信じられないようなノンフィクションを前にそれに近しい体験をしたことのある人の話が加わった時にも、盛り上がりを見せることが多い。自分では想像するしかなかったことが、誰かの体験と地続きになることで、一気に自分ごと化するような感覚が味わえるのだ。 そういった意味で書に収められている読書

    『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』スタンダードの求心力と辺境の遠心力 - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2018/03/19
    本書以上にトップバッターの『ゾミア』がいきなり気になってしまったじゃないか
  • 『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち - HONZ

    1987年、アメリカのテキサス州でわずか1歳半の女の子が井戸に落ちてしまった。女の子の名前はジェシカ・マクローア。ジェシカの体は井戸の枠に引っかかってしまい、大規模な救出活動が繰り広げられるものの、なかなか抜けない。ああ、可哀想なジェシカ。救出活動はテレビなどでも盛んに報道され、アメリカの多くの人たちがその動向に釘付けとなった。そして58時間後、ようやくジェシカは救出される。よかった、よかった。 ところで、ジェシカはなぜそれほど注目を集めたのだろうか。それはおそらく、窮地にあるジェシカに多くの人が同情し、共感を覚えたからだろう。「もし自分が(あるいは自分の子どもが)ジェシカのようであったら」と考えて、恐怖や辛さを自ら感じた人も少なくなかったはずだ。当時の米大統領ロナルド・レーガンもこう語っている。「このできごとのあいだ、全米の誰もが、ジェシカの代母や代父になった」。 そのように「共感(em

    『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち - HONZ
    IkaMaru
    IkaMaru 2018/03/01
    「やらぬ善よりやる偽善」を廃して皆が真の善心で行動するようにしよう!……と書くとまるきりお花畑のような