「国体廃止も一つの考え」宮城県知事が投じた一石 渡り鳥、優勝ノルマ、ハコモノ主義…いびつさは前から話題 国民体育大会(国体)から改称した「国民スポーツ大会(国スポ)」の廃止に全国知事会会長の村井嘉浩・宮城県知事が言及し、波紋を広げている。持ち回りで開催する自治体の財政負担が理由だが、国体では以前から有力選手の所属先の移動なども問題になっていた。国民の関心が下がっても維持されてきた背景に、五輪に連なるスポーツ界の意向を指摘する声も。果たして「廃止」は現実となるのか。(山田雄之、岸本拓也)
「国体廃止も一つの考え」宮城県知事が投じた一石 渡り鳥、優勝ノルマ、ハコモノ主義…いびつさは前から話題 国民体育大会(国体)から改称した「国民スポーツ大会(国スポ)」の廃止に全国知事会会長の村井嘉浩・宮城県知事が言及し、波紋を広げている。持ち回りで開催する自治体の財政負担が理由だが、国体では以前から有力選手の所属先の移動なども問題になっていた。国民の関心が下がっても維持されてきた背景に、五輪に連なるスポーツ界の意向を指摘する声も。果たして「廃止」は現実となるのか。(山田雄之、岸本拓也)
天皇が全国を順番に回り、開催県が天皇杯を獲得する。 立命館大学教授の権学俊(クオン・ハクジュン)さんは、国民体育大会(※)の仕組みは象徴天皇制と深く結びついていると言います。【聞き手・須藤孝】 ◇ ◇ ◇ ――全国をくまなく回る形式は、昭和天皇による敗戦直後の「地方巡幸」を思わせます。 権氏 1946年2月から始まった昭和天皇の「地方巡幸」は、米軍占領下にあった沖縄県をのぞいて全国隅々まで行われました。 威厳のある戦前の天皇とは異なり、国民と交わる新たなパフォーマンスが生まれました。 「地方巡幸」が始まった時期は昭和天皇個人も、天皇制もどうなるかわからない時期でした。昭和天皇としても生き残り戦略を展開せざるを得なかったのです。 連合国軍総司令部に天皇が国民に支持されていることを見せなければなりませんでした。国民に天皇の存在を確認させ、社会的に認めてもらう必要がありました。 スポーツを舞台に
プロ野球の阪神の日本一と、オリックスのリーグ3連覇を祝うパレードが23日、大阪、神戸両市で行われる。 日本シリーズも59年ぶりの関西勢対決となり、地元に活気をもたらした。快挙を祝うファンや住民の気持ちは自然なものだが、行政の関与の在り方などを巡り、疑問の声が出ている。 今回のパレードは、行政主導の色合いが濃い。9月の阪神のリーグ優勝決定時に吉村洋文大阪府知事と横山英幸大阪市長が実施の意向を表明した。兵庫県、神戸市、関西の経済団体も加わって実行委員会を組織した。 費用約5億円は、企業の協賛金とネットを通じたクラウドファンディング(CF)で賄い、会場の警備や迂回(うかい)路の案内役などの要員の多くを自治体職員が担う。 問題となったのは、CFの協力者の伸び悩みを受けた大阪府の対応だ。CFを周知するよう府立学校長に依頼する文書を送付した。この動きに「公務と関係がない」と教職員組合が撤回を求めた。
Published 2023/11/18 16:39 (JST) Updated 2023/11/18 18:01 (JST) 万博公式キャラクター「ミャクミャク」が登場し、プロ野球・阪神、オリックスの優勝パレードの開催を発表した大阪府の記者会見。左は大阪府の吉村洋文知事=9月、大阪市 今月23日の祝日に大阪市と神戸市で予定されているプロ野球・阪神、オリックスの優勝パレードに、2025年大阪・関西万博のPRが絡められようとしたことに対し、「パレードの政治利用だ」と批判が噴出した。専門家はスポーツを使って体制側の悪評を隠す「スポーツウオッシング」に当たる、と指摘する。 9月、大阪府が記者会見でパレードの開催を発表すると、万博公式キャラクター「ミャクミャク」が登場。パレードの正式名称には「2025年大阪・関西万博500日前!」と副題が付き、吉村洋文知事は「(パレードは)万博の大きな弾みになる。
札幌市が招致を目指す2030年冬季五輪・パラリンピックに反対する市民らが15日、市中心部で「不招致推進デモ」を実施した。市民団体「札幌五輪対策室」が昨年6月から定期的に行っており、今回で6回目。 零下2度の寒空の下、「どうして住民投票しないの?」などのプラカードを掲げた参加者65人が、「汚職まみれの五輪はいらない」「五輪よりも除雪対策」とシュプレヒコールをあげて、約15分間練り歩いた。4月の市長選に「招致反対」を掲げて出馬を表明している元・同市市民文化局長の高野馨氏も参加した。 市民から出されたオリパラ招致の賛否を問う住民投票の実施を求める請願をめぐっては、市議会が昨年12月に「不採択」にした。一方、秋元克広市長は大会概要案を見直したうえで23年度中に「民意を確認する」再度の意向調査を行う方針を示した。 デモ参加は3回目の大学生男性は「招致中止の可能性は当初に比べれば高まっているようにみえ
東京五輪・パラリンピックの前に実施された「テスト大会」関連の入札で談合があったとして、東京地検特捜部と公正取引委員会が、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、事業を受注した広告大手電通など計6社を家宅捜索した。 多数の逮捕者を出した五輪汚職事件に続く新たな疑惑である。大会の利権が絡む病巣の広がりを目の当たりにし、暗たんたる思いだ。特捜部と公取委は、全ての疑惑を徹底的に解明してもらいたい。 テスト大会は2018~21年、本大会に向け、運営や警備、観客誘導などの課題点検のために計56回実施された。疑惑が持たれているのは、テスト大会の計画立案業務などに関する一般競争入札で、大会組織委員会が18年に計26件行った。電通など9社と一つの共同事業体が落札し、契約総額は5億円余りだった。 1件当たりの価格は約400万~約6千万円で、過去の談合事件と比べると金額規模は小さい。だがテスト大会で企画を請け負っ
大規模な汚職事件が発覚した東京五輪・パラリンピックで、新たに談合疑惑が明らかになり、東京地検特捜部と公正取引委員会の捜査が続いています。広告最大手「電通」や広告大手「博報堂」などの本社が相次いで家宅捜索されました。巨額な税金が投じられた世界最大規模のスポーツイベントをめぐる闇はあまりに深く、まさに底なしです。利権に群がることを許した構造は徹底的に解明されなければなりません。政治主導で東京五輪を招致した政府と東京都の責任が改めて問われます。 電通の出向者らが主導か 談合の疑いを持たれているのは、大会組織委員会が2018年5~8月に発注したテスト大会の計画業務の入札についてです。同大会の「計画立案・計画支援業務委託」をめぐって26件の競争入札が行われ、電通や博報堂など9社と一つの共同企業体が計5億円余りで落札しました。 特捜部と公取委は、各社間で落札者を決めるなどした行為が独占禁止法違反(不当
東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件の捜査が拡大している。大会スポンサー企業で2人目となる経営トップが逮捕される異例の展開となった。大会の根幹が揺らぐ事態であり、徹底した捜査で全容の解明を求めたい。 東京地検特捜部は、大会組織委員会元理事、高橋治之容疑者=受託収賄容疑で再逮捕=側に賄賂を提供したとして、贈賄の疑いで出版大手KADOKAWAの会長、角川歴彦(つぐひこ)容疑者を逮捕した。 角川容疑者は、KADOKAWA顧問の元専務ら2容疑者と共謀し、大会スポンサーの選定で有利な取り計らいを受けた謝礼などとして2019年9月~21年1月、KADOKAWA名義の口座から、高橋容疑者の電通時代の後輩が代表のコンサルタント会社に計6900万円を入金した疑いが持たれている。 KADOKAWAは19年4月にスポンサーとなった。大会の公式ガイドブックや公式記録集などを出版している。 角川容疑者は高橋容疑者
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)が大会スポンサーの紳士服大手「AOKIホールディングス(HD)」側から資金提供を受けたとして受託収賄容疑で逮捕された。今回の事件を招いた背景には、五輪ビジネスや組織委の運営を巡る不透明さや閉鎖性が挙げられる。 「五輪にはコンサル暗躍の余地あり」 大会運営の実行部隊だった組織委は、日本オリンピック委員会(JOC)と東京都が設立した公益財団法人だ。国と都から多額の公金が投じられているが、民間組織のため情報公開制度もなく、組織委関係者は「ブラックボックス」と評する。 最大約7000人を擁した組織委は、都や関係自治体などからの出向者が大半を占める「寄り合い所帯」だ。職員にスポーツ大会や巨大イベントの実務経験は乏しい。スポンサー集めなど関係者とのパイプを持っているかどうかを問われる交渉業務は、おのずから…
東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事に対し、東京地検特捜部が受託収賄容疑で強制捜査に乗り出した。 理事在任中、代表を務めるコンサルティング会社が、大会スポンサーだった紳士服大手のAOKIホールディングスから計約4500万円を受領していたという。 組織委の役員と職員は法律でみなし公務員と規定されている。職務に関して金品を受け取れば刑法の収賄罪に問われる。特捜部は受領したカネが賄賂に当たるとの見方を強めているもようだ。 特定の企業に便宜を図った見返りとして不透明なカネの動きがあったとすれば、大会運営の公平性を損なう汚点であり許されない。 特捜部は調べを尽くし、平和をうたう巨大祭典に潜む利権の構図を徹底解明してもらいたい。 資金の授受は高橋氏側とAOKI側の双方が認めており、捜査の最大の焦点は資金の趣旨だ。 五輪のスポンサー企業は、スポンサー料を払う代わりに公式ライセンス商品の販売
東京五輪・パラリンピックを巡る不明朗な金の流れが、またも明るみに出た。 大会組織委員会の理事だった高橋治之氏が代表を務める会社「コモンズ」が、紳士服大手AOKIホールディングスとコンサルタント契約を結び、少なくとも4500万円を受領していたという疑惑である。 ちょうど1年前に日本選手団が見せた活躍は記憶に新しい。事実ならば、コロナ禍に耐え、次々とメダルを獲得した選手の努力を踏みにじる行為である。スポーツの最高峰ともいえる五輪を舞台にした不正があったとすれば許されない。 東京地検特捜部は関係者の聴取を進め、受託収賄容疑で高橋氏の自宅やAOKI関係先の家宅捜索に着手した。事実を徹底的に解明し、不正や利権の構図を明らかにしてもらいたい。 高橋氏は広告大手電通の元専務。スポーツ事業を長年取り仕切り、五輪関係者たちに絶大な影響力があったとみられる。組織委が解散した6月まで理事を務めていた。組織委の理
新型コロナウイルスの感染拡大により、前例のない1年間の開催延期を経て行われた東京オリンピック。困難な状況の下で見せたアスリートの輝きの一方で、さまざまな課題も残した。開幕の日から1年になるのを前に、浮かび上がった問題を検証する。 会場後利用に暗雲、赤字で公費支出も 「ホワイトエレファント(無用の長物)」。五輪の会場となった施設は、大会後に開催都市の財政を圧迫して重荷になることが少なくなく、そう呼ばれることがある。大会から1年を経て、五輪会場はどうなっているのだろうか。 大会で中心的な役割を果たした国立競技場の今後の利用について、末松信介文部科学相は15日、2025年の陸上世界選手権の東京開催が決まったことを受け、「陸上トラックを残していくという考え方になっている」と明言した。 国立競技場について政府は17年、五輪後は陸上トラックを撤去してサッカーなど球技専用に改修するとの基本方針を決めてい
東京五輪開会式から23日で1年となります。新型コロナがまん延した昨夏、強行された東京五輪・パラリンピック大会を総括した組織委員会の公式報告書が6月末、公表されました。 しかし、報告書は説明責任を放棄した空疎な内容です。大会のあり方や組織委員会がかかわる不祥事にたいする本質的な反省や掘り下げもなく、自画自賛しているのが特徴です。 「森発言」も肯定的に 今回、歴史的な出来事となった大会の1年延期にたいし、どこでどんな判断があったのか一切の記述がないことに違和感を禁じえません。感染拡大を危惧し、異論が相次ぐなかでの開催については、「スポーツの原点をより際立たせ、さらにその価値を高めた」と記しました。第5波が襲い、大会の最中に都内で1日5000人の感染拡大となり、命が犠牲になったことへの反省はありません。 森喜朗前会長の女性蔑視発言や式典担当者の人権感覚を問われる発言は「組織委員会がジェンダー平等
契約は結んでも、組織委の利害に絡む付き合いはない―。東京五輪組織委員会の元理事高橋治之氏の説明をう のみにはできない。 高橋氏が代表のスポーツ関連のコンサルタント会社が東京大会のスポンサーとなった紳士服大手「AOKIホールディングス」と、月100万円の契約を結んでいた。2017年9月から21年秋…
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く