夜中、はっと目が覚める。リビングのソファにある彼の「寝床」を見に行く。弱々しい目が、まだかすかに光っている。 日に日に衰弱していくコロちゃん。ネコである。スーパーの店先に置き去りにされていた。尻尾が折れ曲がった、黄色の眼をした子ネコだった。抱えると、ぜんまい仕掛けのおもちゃみたいに、カタカタと震えていた。 日に数回、スポイトで餌を与え、水分は点滴で補給。2日前まで、まだヨロヨロと歩いていたが、もう動けない。首を上げるのも億劫そうだ。 あの日から、8年が経った。 一つの生命が消える。こんな時間、ついさっきまでの、この瞬間までも、慈しみたくなる。人間、勝手なものだ。まだ、手を伸ばせば、彼がいることの安心と奇跡を感じていた。彼との18年は、振り返れば、あっという間。光のようだった。 わからないものには二つの種類がある。「問題」は、知識や技術を積み重ねていけばやがて解決されるが「謎」は、いつまで経