従業員が退職前にUSBメモリにデータを複製して持ち出した行為に関し、不競法(営業秘密)、秘密保持契約に基づく差止、廃棄のほか、USBメモリの所有権に基づく返還請求がなされた事例。 事案の概要 昭和57年4月にXに入社し、平成31年1月からマーケティング部門のマネジャー職を務めたYは、令和元年12月を以って退職する旨の退職届を提出し、令和2年1月からXと競合するS社に転職した。退職前にYは、Xに対し、秘密保持の内容を含む誓約書を提出しており、それにより本件秘密保持契約が成立していた。誓約書には、下記の内容が含まれていた。 会社を退職した後においても、次に示される秘密情報及び開発物について、会社の許可なく、不正に開示又は不正に使用しないことを約束いたします YはXを退職する直前に、USBメモリ(本件USBメモリ)に会社貸与のPC(本件PC)から電子ファイルを複製した。その様子を目撃され、その他