日本ほど、外国料理をありがたがる国はない! 博覧強記の料理人で、南インド料理の名店「エリックサウス」オーナーの稲田俊輔が、中華・フレンチ・イタリアンをはじめとする「異国の味」がどのように日本で受け入れられてきたかを記すエッセイ『異国の味』(集英社)。その一部を抜粋・編集し紹介する。 ©AFLO 「ウチをスパゲッティ屋だとカン違いしてる」 全体として見れば90年代以降、日本人のライフスタイルにスルスルッと入り込んでいったイタリア料理ですが、細かく見ていくと、そこにはちょっとした軋轢も少なくなかったように思います。 巷では既に繁華街のみならず郊外にもイタリアンレストランが一通り立ち並ぶようになった、2000年前後のエピソードを少しご紹介します。場所はとある中規模な地方都市。なので当時の東京とは少し状況が異なっていたかもしれませんが、これが日本の大部分である地方都市のリアルな姿だったのではないか