毎日毎日、これだけ大量のマンガが出版され、アッという間に消費され、絶版になっていく様子を見ていると、本当に読むべきマンガ、記憶に留めるに値するマンガというものは、実際にはほんの一握りなのではないかという気がしてくる。 いや、「読むべき」などと押しつけがましい言い方はしたくない。『ど根性ガエルの娘』は、全てのマンガ好きに、「読んでほしい」マンガだ。逆に、特に人生の中心にマンガがあるわけでもない、マンガを斜め読みしかしていない人に、生半可な批評なんかしてほしくないマンガだ。 マンガ家の父を持ち、自身もマンガ家となった大月悠祐子さんの、これは闘いの記録である。生きてきた証である。そして、愛と怨念の叙事詩である。 DVとか虐待とか家庭崩壊とか、そんな通り一遍の言葉では、大月さんが受けてきた苦しみの、心の闇の深淵を表現することは難しい。 父・吉沢やすみは、『ど根性ガエル』が大ヒットした後、スランプに