例えば、60年代末から70年代初頭にかけてリリースされた、<オルガン・ジャズ>の大量のカット盤。例えば、当時は無名に終わったファンク/ソウル・アクトによる知られざる唯一作。そういった埋もれた音楽に日の光を当てたのは、そこから様々なドラム・ブレイクを選り探した初期ハウスやヒップホップのDJ達であり、より本格的には何より80年代後半から勃興した<レア・グルーヴ>の推進者達だった。 思えば、レコード産業の黎明期から、ポピュラー音楽の推進エネルギーというのは常に、<新しいもの>を追い求めることであり、同時に<古きもの>を温めることでもあった。エルヴィス・プレスリーが古いゴスペル・ソングやヒルビリーから霊感を得ていたこともそうだし、もっとわかり良い例でいうと、60年代初頭にUKの若者たちが、米国産の初期ロックンロールや旧いブルーズをリバイバルさせたこともそうだった。自らの外側(ここでは米国)から到来