さらに、江戸時代はコスプレ文化さえありました。歌川広重が描いた「東都名所高輪二十六夜待遊興之図」という浮世絵があります(江戸東京博物館所蔵)。二十六夜待ちとは、旧暦七月二十六日(現代だと八月中旬から九月中旬の間)の夜に、念仏を唱えながら昇ってくる月を待つというイベントですが、信仰的な意味合いより、月が昇る明け方まで飲んで騒ぐオールナイトのお祭りとして栄えました。当日は、先にご紹介したすしや天ぷらなどの屋台が並び、タコのコスプレで参加した男たちが楽しむ様子も浮世絵に描かれています。 江戸時代のコスプレのクオリティの高さは、『蝶々踊図屏風』にも見られます。これは、江戸ではなく京都で1840(天保10)年ごろ大流行した仮装踊りのお祭りですが、タコやすっぽん、なまずのコスプレをして踊る大勢の人達が描かれています。まさに現代の渋谷のスクランブル交差点でのハロウィンのようなにぎわいです。 ほかにも、挿