富永: これまでの話は遠藤さんのビジネス黎明期、初動期のマーケティングでしたが、もうちょっと先に進みたいと思います。どんなヒット商品でも最初はどんな人が買ってくれて、そこからブームが広がってみたいなポイントがあると思いますが、Knotに関してはいかがでしょうか。 遠藤: まず、これは自分の歩みに通じるんですけど、社会に出たばかりの新人のとき、ある先輩に「遠藤、つり革レースで一番になれるくらいの男になれ」と言われたんですね。つり革レースって何かというと、電車でつり革につかまると腕時計が見えますよね。その車内で一番いい時計を着けられる男になれと。もう二十数年前の話ですけど、いまだに覚えていて、Knotを始めるときにそのスイッチが入ったわけです。 それくらい、男性にとって腕時計は特別な価値があるものだと。思い出だったり、ステータスシンボルだったり、腕時計って男性にとってはそういうものだったはずな