「昔、銀行員という仕事があった。」10年もすると、そんなふうに言われているだろう。というと少しオーバーかもしれないが、今のような銀行員が10年後の金融ビジネスの世界で仕事をしていることはないだろう。金融ビジネスは大きく変りはじめている。今、金融ビジネスに携わるすべての人々が、自分自身と、取り組むべきビジネスのアイデンティティを一から構築し直す必要に迫られている。金融ビジネスとは何なのか。そこで、どんな仕事をすべきなのか。 この連載では、そうした重大問題を、少し肩の力を抜いて、映画に取り上げられた金融ビジネスを通して考えてみたい。それは、金融の業界人ではない普通の人の視線で、金融ビジネスを捉え直すことから得るものも多いと思えるからでもある。 「素晴らしき哉、人生!」-バンキング・ビジネスの原点- 一回目の今回は、古典的なバンキング・ビジネスが登場する映画を取り上げよう。1946年製作の「素晴