前回はこちら 野村萬斎×杉本博司 三番叟公演『神秘域(かみひそみいき) その弐』より © Sugimoto Studio/ Courtesy of Odawara Art Foundation 杉本の写真が仮構し、再現するこの「永遠」を「日本」で置き換えるとき、彼の日本への関心が、その写真からそのまま導かれることが分かる。杉本のネガティヴな基本モデルとは、「あるがままの永遠の世界」は存在したが、すでに終わってしまっていて写真には写らない、従って写真に出来ることは、その「永遠の世界」を裏切らないために己を空無化する(白いスクリーンへの還元)ことのみ、というものであった。言い換えれば、「あるがままの日本」は存在したが、すでに終わってしまっていて表現されえない、従って作家に出来ることは、その「日本」を裏切らないために、何も表現しない(骨董・古美術による追想)ことのみ、と。数年前に東京、金沢、大阪