よい形で次の世代に繋いでいくのが2代目としての役割 〈ヴィラ福村〉栃木県那須郡 設計:宮脇 檀 竣工は1974年。〈ヴィラ福村〉は、栃木県那須町の那須連峰を望む林の中に、かれこれ半世紀近く立っている。大地に刺さった手旗のような、片流れの屋根がつくる鋭角なシルエットが印象的だ。 住宅設計の名手といわれた建築家、宮脇檀が設計した別荘で、「福村」は建て主の名字。現在の持ち主である田中昇さん、由香さん夫婦が、「さあ、どうぞ」とにこやかに案内してくれる室内は、コンクリート打ち放しのハードな外観からは意外なほどに、人肌のような温かな色気がある。 北側の小さな玄関を入って、トイレと風呂の脇の狭い階段を上ると、スイッチが切り替わるみたいに、南に大きく開いた開口部から明るい日差しと木立が目に飛び込んでくる。片流れの屋根の形そのままの、無垢の木で仕上げた天井が山小屋みたいな雰囲気をつくる。 福島・郡山と栃木・