年を重ねるにつれ脳の中にたまっていくたんぱく質のアミロイドベータを標的にすれば、画期的なアルツハイマー病の薬がきっとできる。一時はメガファーマ(巨大製薬会社)が開発を相次いで諦め、こうした「アミロイド仮説」が揺らぎ始めるなか、エーザイの抗アミロイドベータ薬「レカネマブ」は誕生した。米バイオジェンとの共同開発に成功した勝因は2つある。まず、治療の対象者を思い切って絞りこんだことだ。症状が進んだ人
エーザイと米バイオジェンが手掛ける認知症の新薬「レカネマブ」が条件付きの承認を意味する迅速承認を米国で取得した。日本でも、短い審査期間で新薬と認める優先審査品目の指定を受けており、年内の実用化を期待する声もある。進行を抑える薬は初めてとなる。どう使うのだろうか。世界で認知症を患う5000万人以上の6~7割がアルツハイマー病だ。新薬はその一部の人に向けた薬だ。アルツハイマー病は「アミロイドベー
「副腎」の難病治療や発生メカニズム解明に新たな道を開く 「副腎(ふくじん)」は心臓や胃などに比べれば目立たない器官だ。左右の腎臓の上にちょこんと乗ったこの器官は数センチほどのサイズで,その名に反して腎臓に付属する器官というわけでもない。しかし副腎は全身の代謝を調節するホルモンを分泌していて,実は生命活動を維持する陰の立役者だ。 米ペンシルベニア大学の眞山学徳(みちのり)ポスドク研究員と佐々木恒太郎准教授らのグループが,この副腎に似た組織をヒトのiPS細胞から作ることに成功した。作製した組織がホルモンを分泌できることも確かめた。副腎の機能が損なわれる難病の根本的な治療法に繋がり,まだ不明点の多いこの器官の成り立ちを探る上でも重要な成果といえる。詳細はDevelopmental Cell誌の2022年11月21日号で発表された。 ホルモン分泌量が減る難病 副腎はまんじゅうのような二層構造で,皮
酒量が日々増えてしまうのは、脳内で幸福感ややる気を高める神経伝達物質「ドーパミン」の受容体が増えるためであることをハエの実験で解明したと、東北大学などの研究グループが発表した。ヒトのアルコール依存症も同じと考えられ、将来的に対策につながるか注目される。 D1ドーパミン受容体を可視化したハエの脳。自由に飲酒させたもの(右)は、させなかったものに比べ受容体が多い(黄色や赤の部分)ことが分かる(東北大学、国立遺伝学研究所提供) 飲酒にはドーパミンを活発にする効果がある。習慣化すると、やがて酒量を自分の意思で抑制できなくなり、アルコール依存症になるリスクが高まる。ただ、酒量が増えてしまう脳内の仕組みはよく分かっていなかった。 そこで研究グループは、ショウジョウバエ計数十匹を使い実験した。昆虫の中で例外的にアルコールを好むショウジョウバエは、酒量が日々増える依存症の実験動物として使われることがある。
ニューメキシコ大学などの研究チームが、実物の赤血球に近い働きを持つ「合成赤血球」の開発に成功したと発表しました。この合成赤血球は、酸素を運搬するだけでなく、がんなどの治療薬を患部に運ぶことも可能なことから、実用化されれば高性能な人工血液の開発が可能になると期待されています。 Biomimetic Rebuilding of Multifunctional Red Blood Cells: Modular Design Using Functional Components | ACS Nano https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsnano.9b08714 Synthetic red blood cells mimic natural ones, and have new abilities - American Chemical Society
米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長を40年近く務めるアンソニー・ファウチ氏は、エイズを含む数十件のアウトブレイクに対処してきた。そんな彼も、新型コロナウイルスの性質を異様に感じているという。(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、米国の新型コロナ対策の「顔」と言える科学者だ。ファウチ氏は今回、ナショナル ジオグラフィックの独占インタビューに答えて、新型ウイルスが中国の研究所で作られたと考える科学的根拠はないと断言した。 ファウチ氏は、「コウモリから見つかったウイルスと、現在猛威をふるっているウイルスの進化を見れば、これらが人為的な操作や意図的な操作を受けていないことがわかります」と言う。このウイルスは時間とともに自然界で段階的に進化し、種の壁
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は、何万もの人を死に至らしめ、私たちの生活を一変させている。この病気や原因となる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)については、まだ解明されていないことが多いものの、いくつかの大切なことは既にわかっている。 コロナウイルスには多くの種類があるが、ヒトに感染するのは7種類のみだ。うち4種類は、かぜなどの軽い病気を引き起こし、残りの3種類はより深刻な症状をもたらす。SARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)、そして今回の新型コロナウイルス感染症だ。コロナウイルスは動物からヒトに感染することもある。 他のコロナウイルスによる病気と同様、新型コロナウイルス感染症は主に肺炎のような呼吸器系の症状を引き起こすが、全身に重篤な症状が表れることもある。 これまでにわかったことを、図を使いながら以下にまとめて
こんにちは、岩田健太郎です。 このごろは、会う人、会う人に「コロナウイルス怖いですねー、パニックになってますよ」と言われます。感染症は原因が目視できないため、危機の全貌が見えにくい。よって、他のリスクに比べても特にパニックを起こしやすいようです。感染者への偏見や差別が生じやすいのも昔からで、典型例はハンセン病やエイズですね。 本書『「感染症パニック」を防げ!――リスクコミュニケーション入門』は、ずいぶん前(2014年夏~秋)に書いたものですが、現在のコロナウイルス問題の「パニック」とまっとうに対峙するには十分な内容だと僭越ながら思っています。感染症リスクには「怖さ」はありますが、「パニック」を起こす根拠はどこにもありません。それをご理解いただけることと思います。 一般の方が読んでくださっても十分理解できるよう難しい表現は特に使っていませんし、公衆衛生や医療のプロが読んでも得るものは少なくな
2021年09月30日改訂 ヒトに感染するコロナウイルス ヒトに感染するコロナウイルスは、風邪の病原体として人類に広く蔓延している4種類と、動物から感染した重症肺炎ウイルス2種類が知られている。加えて2019年に発生した新型コロナウイルスは、新たに人類に定着しそうな勢いで感染拡大している。これらのコロナウイルスについて、それぞれの特徴を下に記載する(表1)。 1.風邪のコロナウイルス ヒトに日常的に感染する4種類のコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1である。風邪の10~15%(流行期35%)はこれら4種のコロナウイルスを原因とする。冬季に流行のピークが見られ、ほとんどの子供が6歳までに感染を経験する。我々はこれらのウイルスに生涯に渡って何度も感染するが、軽い症状しか引き起こさないため
英国の博物館を観光で訪れた女性が、アトラクションとして設置された赤外線サーモグラフィカメラに写った自身の画像に違和感を覚えて病院で診断を受けたところ、乳がんであることが分かりました。偶然の発見に、女性は「人生の転機になった」と感謝を述べています。 女性の胸が黄色がかっていることが確認できる(画像はCamera Obscura & World of Illusionsより) 英国スコットランドのエジンバラにある博物館「Camera Obscura & World of Illusions」は、多様なカメラやトリックアートを展示する観光地として知られています。2009年から赤外線サーモグラフィカメラを設置。皮膚の温度に応じて色が変化するので、体の温かい部分を目視できるアトラクションとして来館者を楽しませています。 同館が公開した来館者バル・ギルさんの報告によると、彼女は2019年5月、子どもた
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