2日閉幕した世界貿易機関(WTO)の閣僚会議では、最大の焦点だった紛争処理制度の改革に向けた具体策の合意には至らなかった。現行制度を巡っては対立関係にある国に強い貿易制限をかける「経済的威圧」を繰り返す中国を念頭に置く米国の反発で機能が停止。紛争案件が棚ざらしになる異常事態が4年以上も続く。年内の機能回復を目指す方針は変わらないものの議論は難航が予想される。 WTOの紛争処理制度は二審制で、加盟国は1審の紛争処理小委員会の判断に不服があれば、最終審の上級委員会に上訴できる。だが米国の上級委の委員補充反対で空席が続いていることから機能が停止しており、2023年末時点で24の案件が棚上げとなっている。 今回の閣僚会議でも、早期解決を目指す日本や欧州連合(EU)と、現行制度への不満が大きい米国などとの意見の溝が埋まらず、協議は前進しなかった。経済産業省のある幹部は「残念ながら解決できなかった」と