破格の長さの式辞 蓮實重彥氏といえば、日本を代表するフランス文学や映画の研究者として著名です。また、『伯爵夫人』で三島由紀夫賞を獲得した作家でもあり、この授賞式の会見での様子をご記憶の方も多いかと思います。 さて、蓮實氏は1997年4月1日から2001年3月31日まで、東京大学の第26代総長をつとめていたことでも知られています。 蓮實氏が総長をつとめていた際にしばしば話題になったのは、入学式や卒業式の式辞が、知的なフレーズで新入生を魅了していたこと(そして、その種のあいさつとしては破格の長さだったこと)です。 当時の知的な雰囲気は、どのようなものだったのでしょうか? 「蓮實総長」の入学式・卒業式の式辞をはじめ、蓮實氏のさまざまな講演やあいさつが収録されている『齟齬の誘惑』という書籍がありますが、同書には、1999年4月12日におこなわれた東京大学入学式の式辞がおさめられています。 〈ここに