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バックアップのタイミング
「あっ」 大きく叫んだ後、私の声は凍りついた。キーボードの手は硬直し、目は大きく見開かれた。いま消... 「あっ」 大きく叫んだ後、私の声は凍りついた。キーボードの手は硬直し、目は大きく見開かれた。いま消えたディスプレイ同様、頭の中はまっ暗になった。誰かがマシン系統のブレーカを落としたらしい。コンピュータ、ハードディスク、ディスプレイ、モデムの電源がすべて消えてしまったのである。 超一級の非常事態の発生である。 * * * 私の叫び声に前後して、同じセクションで仕事をしていたプログラマからも叫び声が上がった。彼らも私と同じ電源系統だからだ。十数台のマシンの電源が一斉に落ちたようである。ブレーカ近くにいたスタッフがすぐに電源のようすを調査しはじめた。いままではマシンとキーボードの音だけが響いていたオフィスに急に人間の声が広がりはじめた。 その騒ぎをよそに、私の頭はフル回転で「何日、いや何時間前まで仕事がバックするか」を考えていた。まず最悪の事態として、今の電源ダウンでハードディスク全体が壊れてい
2018/01/31 リンク