日本最大級の偽文書「椿井(つばい)文書」の一つで湖南市の西応寺に伝わる「紙本著色少菩提寺絵図(しほんちゃくしょくしょうぼだいじえず)」(江戸時代)について、市は19日までに文化財指定を解除する方針を固めた。虚偽記述があることなどが理由だが、現存文化財の指定解除は全国的にも極めて異例だ。他市町の文化財行政に影響する可能性があり、専門家は「近世の庶民の歴史観を知る上で貴重な資料と言える。『偽』の文字に惑わされず本来の価値で判断すべきだ」と批判している。 絵図は江戸時代後期の国学者椿井政隆が廃寺となった同市の山岳寺院「少菩提寺」と周辺を描き、「明応元(1492)年4月」の原本を模写したと記される。だが、明応改元は7月で日付が虚偽の上に、小判型の枠内に村名を書くのは江戸時代の国絵図の手法で、椿井が創作した偽文書の一つとされる。 甲西町(当時)が1977年に「近世に描かれた中世絵図の複製」として町文