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ブックマーク / tanakahidetomi.hatenablog.com (14)

  • 裁量労働制の拡大をめぐる経済学メモ

    政府の「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」は簡単にいうと二つの構成要素からなっている。一つは残業時間の上限規制の強化、そしてもう一つは裁量労働制の拡大である。 政府が労働時間に介入することの正当化は、通常の経済学ではかなり例外的なものととらえられる。だが私はこのブログや自分の著作・論文の中でも常に書いてきたように、新古典派的な労働経済学の発想には反対である。通常の新古典派的な労働経済学では労働者と資家(雇用者)は対等の交渉相手として設定されるのが「標準」である。だが実際には労使の交渉上の地歩は異なり、労働者よりも資家(雇用者)の方が交渉力は上である。このようないわば「権力」の差異があれば、労働者の働く位置は生存水準ぎりぎりの労働時間(余暇)と報酬の組み合わせに落ち込む可能性がある。このような労働市場観は経済学歴史の中で常に存在してきたし、また実際の社会政策や

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    fantoms 2018/02/03
  • 高校生や大学入学前の勉強はこれで十分、他はほぼ不用:坂井豊貴『ミクロ経済学の入門の入門』

    経済学をまったく知らないと、経済学の教科書の冒頭の諸概念(機会費用、需要供給の分析など)を理解すると、なんでこんなことを勉強しなければいけないのか? と素朴に思うことがあるだろう。あまり現実の課題と結びつかないという印象がある。 特に高校生のおそらく終わり近くで、すでに推薦などで経済関係の大学にいく人達、または高校を卒業して新しく大学に入る就学前の人達には、どうしても独学で勉強する時期があるだろう。そのときに上記の素朴な疑問がかならずでてくるはずだ。実は僕もそうだった。 書は、経済学の主要三部門(ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学)の中で、最も初心者が取組みに努力が必要な(その多くはなぜこの概念が経済学の理解に必要なのかでためらいがあることだろう)基礎的な概念を、著者の体験やまたシンプルな政策的応用を見据えて解説していてとても親切である。 このときの「親切」はよくある非専門家たちの書

    高校生や大学入学前の勉強はこれで十分、他はほぼ不用:坂井豊貴『ミクロ経済学の入門の入門』
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    fantoms 2017/05/11
  • ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』上下巻

    リーマンショック以降、経済学の批判と見直しが盛んだ。経済学(経済的合理性を前提にした人間観)を批判することは、ほぼ経済学の誕生した時から行われている。例えば『クリスマス・キャロル』で著名なイギリスの小説家ディケンズは、『つらい時代』の中で当時の経済学(古典派経済学)を容赦なく批判している。 だが、この経済学の前提である経済的合理性人間観は、そのような批判者たちに対していままで何重ものガードでまもられてきた。リーマンショック後の経済学批判の暴風雨の中でも、『ゾンビ経済学』と形容されるようにしぶとく「復活」している。ところが、この経済的合理性を前提としている人間観を、頑強な実証&実験をもとに、そのほぼ転覆に成功しているのが、ノーベル経済学賞の受賞者でもあるダニエル・カーネマンの業績だろう。そして書はそのカーネマンの現在の考えを一般の人にもわかりやすく説明した、新しい時代の「経済学」のだ。

    ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』上下巻
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    fantoms 2013/10/10
  • 2009-03-06 - Economics Lovers Live [経済]定額給付金で買いたい経済本ガイド(おつり466円コース)

    さてさんざん日のメディアは、定額給付金に国民の大半は反対、といいながら同時に定額給付金をもらうと国民は大喜び、という自己欺瞞的報道を繰返してきましたが(苦笑)、昨日は日で最初に定額給付金がもらえた人たちの嬉しそうな報道を嬉しそうにメディアも報道していて、なんだかな感がメディアに対してまたもやあるわけです。しかしここはそういうことはこちらにおいておいて、そこの君。で、その定額給付金でたまにはちゃんとして経済学でも買わないか? ○1万2千円コース まずなんといってもこの世界的金融危機を理解するでしょう。そして僕は同じ著者の著作をなるべく一貫して読むことが、まずはこの世界的な事件をみる上でのしっかりした基盤になると思う。その意味では岩田先生の著作を読むのが一番手っ取り早い。 入門的な位置にあるのは、finalventさんもおススメのこの。これ以上わかりやすい日経済論はあまりない。

    2009-03-06 - Economics Lovers Live [経済]定額給付金で買いたい経済本ガイド(おつり466円コース)
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    fantoms 2009/03/06
  • 経済系ブログ・ミシュラン2009 - Economics Lovers Live

    例えば僕からみて「え〜こんなインチキくさいアルファブロガーの経済ぽい発言が人気なの!」と驚くことがある。そういうのをみて喜ぶ読者もかなりいる。たぶん娯楽の一種で読んでいて、知的な関心(なんらかの正しさの探求)なんかどうでもいい人も多いに違いない。世間にいうアルファブロガーと呼称されている人たちの経済問題への「考察」は読んでても時間のムダであることが大半だし、あまり読んでいるとあまりに間違いが多いのでいったい何を読まされているのかわからなくなる。幻想小説? つまり真実と嘘がごちゃごちゃになるのだ。まあ、このブログを読んでいる人たちの大半はそういう判断はしっかりしている人が多いと期待しているけど。 さてというわけで、前にも書いたが、僕が参考にしているブログを以下にご紹介する。あくまで僕の基準であり、他にもこういうすぐれたブログがあるよ、という情報あれば自薦他薦問わず教えていただければ吉。僕に批

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    fantoms 2009/02/07
  • 2008年下半期経済書ベスト4+1 - Economics Lovers Live

    そろそろ年間ベスト選出とかの時期が近いのですよ。一年というのは当に早いですねえ。まあ、まだ二ヶ月ほぼ丸々残って超気が早いですが 笑。 上半期はこのたちをおススメしましたとさ →これhttp://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080625#p3 下半期は個人的に何度も何度も読んだをあげることができ、その意味では当たり年でした。つまりネタですね 笑。専門的なものは無視して一般的なものを五冊とりあえず選びました(順位には意味なしです)。これに出るぞ〜と噂されている知人たちのがきっとにぎわせてくれるでしょう。 1 岩田規久男『景気ってなんだろう』 これは書評を書きましたのでご参考ください。しかしためになりますよ。とりあえず景気問題についてはこれ一冊で十分でしょう。 景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書) 作者: 岩田規久男出版社/メーカー: 筑摩書房

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    fantoms 2008/11/05
  • 就職脳(準備編) - Economics Lovers Live

    今週はまだ講義開始前で、主に就職委員として(自分でも驚くけれども務校での最長経験者12年目)学生の皆さんに就職ガイダンスをしました。そこで話した「就職脳」の話はいずれまたにして、たぶん不特定多数の学生の皆さんが就職活動実施中ないし検討中でしょう。このブログでも何度かとりあげた就職リストを以下に。ご参考ください。 ・就職用図書リスト http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20080201#p5 ・こんな「就活」は買ってはいけない!―時間とお金を無駄にしない賢い選び http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20070523#p3 ・波頭亮『就活の法則 適職探しと会社選びの10カ条』 http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20071215#p4

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    fantoms 2008/04/12
  • ビートたけしの経済学 - Economics Lovers Live

    さてみんなの期待に反してスルーするわけだが 笑)。 ところで『ブルータス』の素人だけの日経済入門なんだが、なかなか反面教師として使える素材に思えてきた面もある。正直読むとクラクラする感じもするのは確かである。この特集では「経済学者・評論家」が祭り上げられていて、そして貶められている。もちろん彼らが経済学者・評論家として具体的に誰をさし、どんな発言を具体的に指しているのか一切問われてはいない(最後の座談会だけは別)。 その意味では部数稼ぎや注目を浴びたいために、「経済学者・評論家」をスケープゴート、ネタとされているだけなわけである。対して、彼らの依ってたつものは、彼らが築き上げたなんらかの社会的名声や権威であり、その体験からの物言いである。具体的な批判の対象が不鮮明であり、なおかつそれを批判するのが、単に「権威」である場合にまともな議論はできはしない。 ただこういう特集をみれば人間、権威に

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    fantoms 2008/04/06
  • 新入生の皆さんえ。裏経済セミナー2008「不謹慎な経済学ガイダンス」 - Economics Lovers Live

    なんでも『経済セミナー』が元気がないという。いや、当に元気がないかどうかは知らないが、策謀渦巻く(笑)匿名掲示板での噂レベルで見聞した。確かに一時期に比べると印象度が薄れた感はある。私は学生のときな勉強で、そして研究者に加えて物書きを始めた初期には寄稿先として、同誌には非常にお世話になった。そのためそのような風評を見るとかなり残念であり、また同誌のいまの実態を表しているとはまったく思われない。 とはいえ今回の4月号をみると飯田さんや岡田さん中村さん佐藤さん佐々木先生まで加わりまるで知り合いのオンパレードなのだが、いまいちみんなまじめである。著者らの誠実な人柄ゆえであろうが、手堅く行くものだけが揃いすぎている。そこで『経済セミナー』4月号を補うべく(補わなくていいという意見もあるが今日はいまのところこれしかネタがないので 笑)、ネタノミストとして新入生のみんなに裏経済セミナー風のネタをお送

    新入生の皆さんえ。裏経済セミナー2008「不謹慎な経済学ガイダンス」 - Economics Lovers Live
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    fantoms 2008/04/03
  • 2008-03-31 - Economics Lovers Live

    明日から新年度。社会人は今日からでしょうか? アクセス数が昨日の夜から激減しているので新年度開始でさすがにネットでブログ遊覧というわけではないのでしょう。僕も明日から大学ですので、皆さんの新しい船出(船出しない人も)の無事を祈ります。 ところで新学期そうそうからネットで経済問題を中心に「だまされない」ための基書を以下のご案内。 まず原論はこの6冊でしょう。 1 飯田泰之『ダメな議論』 いま話題の毒餃子問題から財政赤字、年金問題など、ネットで流布する謬説にだまされない基的なリテラシー(この言葉僕は嫌いw でも学生の皆さんは馴れてるので使用)を提供する快著 ダメな議論―論理思考で見抜く (ちくま新書) 作者: 飯田泰之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/11/01メディア: 新書購入: 23人 クリック: 1,054回この商品を含むブログ (177件) を見る 2 ロバート・グ

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    fantoms 2008/03/31
  • ■こんな「就活本」は買ってはいけない!―時間とお金を無駄にしない賢い本選び

    当ブログではいかなる趣旨であれ単なる宣伝ためのコメント・TBはご遠慮ください。当該するエントリーやコメントに関連する投稿・情報提供・ネタ投下はもちろん歓迎します。 久しぶりに大竹文雄先生のブログをみて、右サイドバーにある表題のに関心をもつ。大学教員の多くがこの種の論文の書き方みたいな類のに注意を持ってしまうのがいまのご時勢かもしれない。もちろんそれは教育的な価値を見出しているからなのだが。よくこのを大竹先生がとりあげた理由を読まずに、吟味する時間もなかったので衝動買いしてしまったのだが、大竹先生ご自身の著作が採用されていることもあったのか。 小論文テーマ別課題文集21世紀を生きる―16テーマをPICK UP! (駿台受験シリーズ) 作者: 中野芳樹,奥村清次,小泉徹,松孝子出版社/メーカー: 駿台文庫発売日: 2006/12/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 7回この

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    fantoms 2007/12/15
  • 2007年経済書ベスト10 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    最近は漫画サイト化している当ブログですが(ええ、研究が佳境なのでさらにそうなってます、と言い訳)、家?に戻って今年度の経済書ベスト10を選んでみました。 1 藤井良広『金融NPO』(岩波書店) 藤井先生の足で稼いだルポは興味深く、また私の個人的な来歴を考えたときにもこのテーマは実に重要に思えるのでした。藤井先生が書の後半で説いておられるように民間の資金が金融NPOに流れる制度設計が重要だと思います。 金融NPO―新しいお金の流れをつくる (岩波新書) 作者: 藤井良広出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/07/20メディア: 新書購入: 2人 クリック: 38回この商品を含むブログ (28件) を見る 2 安達誠司『円の足枷』(東洋経済新報社) 新ブレトンウッズ体制とでも形容されるグローバル貯蓄過剰の現象や、その中でのアメリカ、ユーロ圏、日中国経済圏の動向を的確に分析して

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    fantoms 2007/11/30
  • 2007年上半期経済書ベスト5 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    頭の中は週末締め切りの原稿とと学会逝きで一杯ですが、そんな中でそろそろ上半期も終わりなので今年度読んできた経済書のベスト5をご紹介。思ったより激戦。順位は仮。 第5位 鷲田小彌太『夕張問題』(祥伝社新書) あまり期待せずに読み始めたのだが著者の情熱と具体的な再建策の方向性を示すなど意欲に感銘。 「夕張問題」 (祥伝社新書) 作者: 鷲田小彌太出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2007/04/01メディア: 新書 クリック: 44回この商品を含むブログ (20件) を見る 第4位 野口旭『グローバル経済を学ぶ』(ちくま新書) あまりにも見解が近いのだが、つねに教えられるところ多の明快な新書。今回は個人的に雁行形態論の解釈に感銘。 グローバル経済を学ぶ (ちくま新書) 作者: 野口旭出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/05メディア: 単行購入: 2人 クリック: 18回この商品

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    fantoms 2007/06/25
  •  鷲田小彌太 『夕張問題』 - Economics Lovers Live 田中秀臣のブログ

    積読にしていたのを読む。これは力作かつ有意義な読書体験。夕張の「破産」の真因を自治体の観光事業の失敗と裏借金が可能であった法制度の欠陥に焦点をあて、さらに政府や自治体に依存しない「夕張メロン」産業の成功事例を詳細に紹介し、農業中心で、なおかつ不可避な高齢者中心の共同体の構築を説く。全編に著者の情熱と国の機関への依存を断ち切る経済センスあふれる筆致には率直に感銘。まさに題名通り夕張問題を議論するたたき台になる好著といえる。はげしくおススメ。 「夕張問題」 (祥伝社新書) 作者: 鷲田小彌太出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2007/04/01メディア: 新書 クリック: 44回この商品を含むブログ (20件) を見る

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