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2021年のノーベル経済学賞受賞者が、米カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・カード教授、米マサチューセッツ工科大学のヨシュア・アングリスト教授、米スタンフォード大学のグイド・インベンス教授に決まった。 データから因果関係を測る「因果推論」の手法を洗練させ、現在も広く使われる枠組みとして確立したアングリスト氏とインベンス氏の業績について、アングリスト氏と共同研究も行っているイエール大学助教授で起業家の成田悠輔氏に聞いた。 ──アングリスト氏とインベンス氏の確立した手法によって、経済学者は多くのテーマで「因果関係」のインパクトを正確に測ることができるようになったと(前編はこちら)。 因果関係のゴールドラッシュが起きました。前編で解説した「操作変数法」という単純明快な手法を当てはめれば、面白く重要な効果が測れる。それに気づいた研究者たちが、1990年代から現在まで文字どおり何万本もの論文を
東京五輪で日本の金メダルラッシュが続く一方、主催地の東京や首都3県のコロナ感染者数が激増している。菅義偉首相の命運が懸かる「コロナ・五輪政局」は、プラスとマイナスの要因がせめぎ合い、「今後の展開は予測不能の状況」(自民長老)となりつつある。 メディアの報道も、7月23日の開会式以降は五輪一色となった。しかし、東京の新規感染者が過去最高となった27日以降は、コロナ感染拡大が金メダル報道を押しのけ、国民の間でも熱狂と不安が交錯する。 菅首相の強がりが国民の不満を加速 日本の金メダル獲得数は過去最高(16個)の更新が確実視され、「競技としての東京五輪は大成功」(組織委幹部)という。ただ、五輪期間中の感染爆発で東京での医療崩壊が現実となれば、「五輪の熱狂が帳消しになる」(閣僚経験者)ことも避けられない。「菅首相の強がりが国民の不満を加速させてる」(同)ことも事態の悪化につながっている。 全国の新規
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ミャンマー国軍は残忍だ。非武装の自国民に容赦なく暴力をふるう。子供だろうが、女性だろうが、ただの通行人だろうが、目に入ったものに銃口を向ける。 これが軍の本質、と同一視されたくないのだろう。欧米を中心とした12カ国の参謀総長や軍のトップが3月27日、「軍隊は自らの国民を害するのではなく保護する責任を有する」との非難声明を出した。制服組として極めて異例な対応だ。 在ミャンマーの大使らが2月に発した国軍非難声明には参加しなかった日本も、今回は防衛省制服組トップの山崎幸二統合幕僚長が名を連ねた。 国軍批判を強める日本政府 ミャンマー国軍の残忍さは、いまに始まったわけではない。学生らによる1988年の民主化運動の際も、僧侶らが行進した2007年のデモのときも虐殺や拷問を常態化させていた。 今回との違いは、兵士や警官らの蛮行がSNSによって世界に動画配信されているところだ。国民による抵抗の様子も可視
これは日本史上の難問題。秀吉はいったいなにを考えて朝鮮まで出兵したのでしょうか。 昔から言われてきた説として、まずあげられるのが名誉欲。日本のすべてを手に入れてしまった秀吉は、言ってしまえば「思い上がっていた」。権力を手にした秀吉が、それに酔ってしまい、日本を征服した自分の力をもってすれば中国でも支配できると考えた。そして実際に大陸を目指す。 もともと、朝鮮を自分のものにしようと考えていたわけではありません。本来の目的は中国大陸です。中国を手に入れて天皇を移すと、そこまで考えていたのですね。もはや妄想に近いような構想ですが、それくらい思い上がっていた、という解釈です。 そしてもう1つ、これも昔からよく言われる説として「土地が足りなくなっていた」というもの。日本全国を攻め取ってしまった結果、家来たちに配分する土地がなくなった秀吉は、家来たちの期待に応えるために、新しい土地の獲得を目指したとい
日本でよく聞かれるのが、キリスト教にせよイスラム教にせよ、「一神教はどうしても不寛容だ」という意見である。それと対になっているのが、「日本は多神教だから寛容だ」という説で、これは床屋談義だけでなく学問的な見解としても論じられることがある。 その発端になったのは、「農耕由来の多神教」と「砂漠由来の一神教」という対比を論じた和辻哲郎である。彼の『風土』論(1935年)は、その後、梅原猛や山折哲雄といった昨今の日本研究者たちにも継承され、欧米の対テロ戦争が始まった後はさらに拡散した。 日本人は寛容なのか?? 日本人のこういう自己理解には、まず統計的な数字を示しておくのがよいかもしれない。2018年に刊行された『現代日本の宗教事情(国内編I)』では、編者の堀江宗正が「世界価値調査」のデータを用いて日本と他国を比較し、その「惨憺たる」結果を示している。指標に選ばれているのは中国、インド、アメリカ、ブ
感染拡大を受けて、12月14日には政府がGo To トラベル事業の全国一律停止(12月28日~1月11日)、東京都と名古屋市発着分の除外・自粛とすでに除外・自粛となっている札幌市・大阪市発着分の期間延長を決定した。このため、消費マインドの低下による景気下振れを懸念する向きも多い。 しかし、人々の移動データからは、「第3波」によって人々の行動が変化している様子はうかがえない。 感染「第1波」「第2波」「第3波」で行動に変化 Googleが公表しているCOVID-19 Community Mobility Reportsによると、「レストラン、ショッピングセンター等」の利用率(訪問数や滞在時間)について、感染拡大前をベースラインとすると、「第1波」のときには約マイナス40%、「第2波」では約マイナス15%まで減少していたのに対し、10月下旬以降は約マイナス10%の水準で横ばいとなっている。移動
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日本政府の姿勢は「海外頼み」に映る。米国のファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカとの間で計2億8000万回分の購入について基本合意に達するか、あるいは交渉を進める。その調達のための、6714億円という巨額の支出はあっさり閣議決定された。 健康被害の責任は日本側が負うという、海外メーカーの条件も丸のみを強いられた。だが、なぜ最初からそんな不利な状況に追い込まれているのか──。 国内で開発の先頭を走るバイオ製薬企業アンジェスの創業者、森下竜一と会ったのは9月初旬のこと。森下は医師で大阪大学寄附講座教授でもある。都内のホテルで会うと、諦めと不満を口にした。 「国産ワクチンを買い取ると政府が先に表明していれば、海外勢から価格を引き下げたり好条件を引き出したりする交渉ができたはずなのに」 森下は25年近く血管疾患の遺伝子治療に身をささげた第一人者で「アメリカと対等に研究や治療を」という意欲的な研
今後、日本の人口が増加することはない 日本の人口が急激に減りつつあることは多くの国民にとって共通認識だが、真の意味で人口減少がもたらす影響についてはあまり知られていない。 2020年、日本の総人口は約1億2600万人。2008年に1億2800万人を突破したのをピークに、人口は減少している。厚生労働省の調査によると、2019年に生まれた子どもの数は86万4000人で、統計開始以来初めて90万人を割った。このまま出生数の低下が続くと、2100年には4906万人にまで人口が減ってしまう。およそ80年で8000万人も減るのだから、これは100万人都市が毎年1つずつ消滅する計算だ。仙台市(109万人)や千葉市(98万人)などが毎年消えると言われれば、そのインパクトがわかるだろう。 この話を聞いて、多くの人が「少子化対策を充実させるべきだ」と考えるだろう。しかしこれを実現するのは容易ではない。人口動態
ガン患者と家族、認知症の老人、夫婦の姿――。 そこで働いて2年目の看護師・辺見が目にするのは、さまざまな患者の“死と人生”をめぐる赤裸々で剥き出しの悲喜劇ドラマでした。 長寿が誰にとっても当たり前となった現代。あなたにとって、家族にとって「生きるとは?」 「死とは?」をストレートに問いかける問題作。『お別れホスピタル』(小学館)より一部抜粋して、ご紹介します。
若い人たちからは特に「アフターピル」と呼ばれ、認知度が高まりつつある緊急避妊薬。それを市販薬(OTC薬)とする方針が、10月8日報じられた。内閣府は8日、女性の社会参画に関する有識者会議で示した「第5次男女共同参画基本計画」案に、以下のように明記したという。 「避妊をしなかった、または避妊手段が適切かつ十分でなかった結果、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性の求めに応じ、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討する」 「アフターピル後進国」の日本 アフターピルは、性交渉の後72時間以内に服用することで妊娠を高い確率で回避する。現在は原則として医師の処方箋なしには購入できない、いわゆる処方薬だ。一方、欧米やアジア諸国90カ国以上ではすでにOTC化されている。風邪薬や胃薬と同様、薬局に出向けば簡単に手に入るのだ。日本は完全に「アフターピル後進国」なのである。 ナビタスクリニックではOTC化の早期
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1993年に埼玉県で愛犬家ら4人が相次ぎ失踪、その2年後の1995年、ペットショップを経営する男女が逮捕された。「ボディーを透明にする」として被害者の遺体を解体・遺棄し、証拠を隠滅したというその残忍な手口から、日本中を震撼させた「埼玉愛犬家連続殺人事件」だ。 逮捕されたのは関根元(げん)元死刑囚と、その元妻・風間博子死刑囚。2人は、2009年に死刑判決が確定した。しかし、遺体なき殺人という特異性や、決定的な殺害の証拠不足、証言の食い違いなど、今なお謎が多い事件でもある。 逮捕から25年の節目を迎え、風間死刑囚の実の息子・和春氏(41歳・仮名)が、フジテレビ「実録ドラマ 3つの取調室」取材班のインタビューに応じた。事件以降、初めてテレビの取材に答えた息子は何を語ったのか――。 留学先のアメリカで知る母親の事件 和春氏は、風間死刑囚の前夫との間にできた子どもだ。前夫との離婚後、和春氏が5歳のこ
事故物件専門「お祓い」の神主が向き合う無縁社会 神奈川県相模原市──。津久井湖の近く、深き藍色の森の中に、真っ赤な鳥居が浮かんでくる。ここはいわゆる、日本随一の事故物件のお祓いを専門に扱う名物宮司がいる神社である。その名を金子雄貴という。金子がこれまでにお祓いしてきた事故物件の数は、ゆうに1000件を超え、自殺、殺人などがあったラブホテルやマンション、風俗店など多岐にわたる。金子は神主生活38年のベテラン宮司で、お祓いなど神事の依頼があればどんな場所でも「断らない」ことをポリシーとしている。 近年その数を増しているのが孤独死の物件だ。 金子に事故物件のお祓いを依頼するのは、その9割を物件の管理会社が占める。次の入居者に対して、お祓いをしたという安心感が欲しい。そのため、希望すれば「お祓い証明書」も発行している。部屋の中には長時間滞在できないほど、死臭が立ち込めている現場もある。金子のお祓い
安倍晋三首相とその政策についてどんな考えであろうと、病が原因で職を辞さなければならなくなったのを見るのは悲しいことだ。「潰瘍性大腸炎」の治療法が見つかることを望むばかりである。 安倍首相は、国のトップとしての在任期間が長かったこともそうだが、まずは何よりも「アベノミクス」が成功したかどうかに対して評価を受けることになる。アベノミクスという看板があったからこそ、人々は安倍首相を信頼し、その他気に入らない点に目をつむることができた。しかし、残念ながら、現実にはその看板どおりになることはなかった。 実質成長率2%を約束したが… 安倍首相自身が打ち立てた尺度でその成功度合を測ってみよう。安倍首相は、年間実質成長率2%で日本経済を安定的に成長させると約束した。しかし、現実にはその水準に近づくことすらなかった。 就任当初は、経済が好調さを取り戻したかに思われた。しかしそれは額面どおり受け取っていいもの
大坂なおみが8月27日にしたことは、ごく「普通」のことだ。 何世紀もの間、非人間的な扱いや警察の残虐行為、社会的不公正や不平等、そして構造的人種差別に反対の声を上げてきた多くのアフリカ系アメリカ人と同じように、声を上げただけだ。何ら特別なことではない。黒人のアスリートという立場にしても同じだ。 無論、今年だけでも3750万ドル(約40億円)の収入があり、世界の一流企業がスポンサーにつく世界で最も稼ぐ女性アスリートの1人でもある彼女の声は、大陸をまたがって響きわたるくらいの大きな影響をもつ。一般の人と比べれば、その声は相当奥深くまで轟き、より多くの人の心を捉える。しかし、それでも、彼女の声は何千万もの人びとの声の1つにすぎない。大坂の素晴らしいところは、それを承知していることにある。 図らずして日本人を議論に巻き込んだ 今回のことが「普通」でないのは、黒人の命にまったく関心のないアメリカの警
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下「新型コロナ」)の「第2波」と呼ぶべき感染の再拡大が足元で続いている。東京都では7月12日の新規感染者(陽性者)が206名に上り、4日連続で200人を超える水準が続いている。 一方で、TwitterなどのSNS上では新型コロナの危険性を軽視する風潮が一部に見られる。個人批判が目的ではないので個別に挙げることは避けるが、「コロナはただの風邪」あるいは「コロナは茶番」といったフレーズを多用し、新型コロナへの注意を呼びかける専門家、著名人、あるいはマスメディアを批判することが多いようだ。 彼らの論拠には「陽性者数が増えているのは単に検査数が増えているから」「重症者や死亡者は増えていない」「罹患しても若者の死亡率は低い」などがある。しかし、いずれの説も新型コロナに関するデータの特性や注意事項を把握しているとは言い難い。ひとつずつ検証していこう。 陽性
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