疫病が流行しているのでよぶんな外出を控えるようにという通達が出された。わたしにとって母はよぶんなので、疫病以来直接に顔を合わせていない。そして母はわたしが設定して送ってあげたタブレットを使って映像で話すことを好きではない。手足もウエストラインも映らない、顔ばかりを映すシステムだから、母は好きじゃないんだろうな、とわたしは思う。 母は美しい人である。今どきの若い女性と並んでも目立つほどの高身長で手足が長く、とてつもない小顔、その顔だちもすっきりと整って、いつも姿勢がよく、昔ながらのファッションモデルみたいだ。本人はしょっちゅう太った太った子どもを産んでからほんとうに太ったと言っていたけれど、それでもなお海外ブランドのゼロ号が入る細い胴回りが自慢で、それ以上のサイズをクローゼットに入れることをいやがった。今でもそうなんだろうと思う。 わたしは幼いころ、母の美しいのが嬉しかった。家に遊びにきた友