農薬や化学肥料を使わずに育てられた牧草を食べ、搾乳の時間以外は昼夜問わず外で生活をしている養老牛山本牧場の牛たち。冬にはマイナス30度近くなる過酷な環境で育つ彼女たちの姿はとてもたくましく、簡単には人を寄せ付けないような迫力があります。 この牧場を経営する山本照二さんは東京のご出身で、自然に近い暮らしを追い求めて北海道東部の中標津町に移り住みました。健康な牛を育てるために完全放牧に取り組み、生命力にあふれるワイルドな味わいの『養老牛放牧牛乳』、通称『ワイルドミルク』を生産しています。 四半世紀にわたって酪農に携わり、SDGsという言葉がなかった頃から環境問題と向き合ってきた山本さん。自分の手が届く範囲での生産や循環を意識してきたという取り組みには、今の時代にこそ必要な視点が詰まっていました。 完全放牧までの道のり 山本 僕は1999年に家族で北海道に移住してきて、最初は隣の別海町にある研修