政府が労働者の脳から直接データを収集 中国で進められる巨大な社会実験は、何をもたらすか? 下條信輔 認知神経科学者、カリフォルニア工科大学生物・生物工学部教授 中国で今、巨大な実験が行われている。「巨大な」というのは、単に研究投資が大規模だということではない。政府主導のトップダウンで、町づくりなど社会インフラまで巻き込んで、という意味だ。 「脳xビッグデータ」in中国 一度このテーマで書かなければと思っていたが、トリガー(引き金)となった最近のニュースがある。「中国政府が労働者の脳から直接データを」というものだ。杭州のある電気会社では、生産ラインに並ぶ多数の労働者の頭に、脳波の計測装置を被せている。安全ヘルメットや制帽に仕込まれた多数のセンサーから常時、脳波を読み取り送信する。そのデータを基にAIがうつ・不安・怒りといった感情を判定し、休憩の頻度や時間を調節して、労働者のストレスを軽減させ