本展が特徴的なのは、1961年に柳が没した後の民藝をめぐる動向について、第3章「ひろがる民藝-これまでとこれから」で取り上げていることだ。 本展監修の美術史家・森谷美保は記者内覧会にて、「近年、民藝に関する展覧会が美術館で繰り返し開催されてきたが、柳宗悦の生涯をたどるものになりがちだった」と語る。それを踏まえた本展第3章では、まず、民藝運動同人の濱田庄司(1894〜1978)、芹沢銈介(1895〜1984)、外村吉之介(1898〜1993)が1972年に出版した『世界の民芸』(朝日新聞社)を紹介。同書で扱われた北米、中南米などの器物を展示している。続いて、大分県(小鹿田焼)、兵庫県(丹波布)、岩手県(鳥越竹細工)、富山県(八尾和紙)、岡山県(倉敷ガラス)という、5つの産地の現代の動向について紹介している。また最後には、近年民藝をめぐって独自の観点からプロデュースを行ってきた、MOGI Fo