官房長官の町村信孝という政治家は本当に正直な人のようだ。小紙はきのうの朝刊で「消えた年金」といわれている宙に浮いた年金記録5000万件中、2割近くが統合困難とスクープした。来春までに統合を完了するとした自民党の参院選公約が守られないのは確実で、官房長官は「選挙中だから言ってしまった」と告白した。 ▼自民党が公約を発表したころには、社会保険庁のズサンなお役所仕事ぶりは既に世間に知れ渡っていた。「来春までなんてとても無理」とほとんどの専門家は言った。それでも大見えを切ったのだから公約偽装と謗(そし)られても仕方あるまい。 ▼一昔前まで選挙公約なんて、誇大広告もいいところだった。軍隊がなくても世界は平和。みんな金持ちで、税金は格安。福祉もタダ、といった具合に。しかし、現実は厳しい。「非武装中立」とあれほど叫んでいた社会党は政権をとるや、一夜にして日米安保堅持に宗旨変えした。 ▼公約が誇大広告で済