話の始まりは2001年の9・11事件です。衝撃的だったあのテロの直後、学生時代の友人と話す機会がありました。彼女は仕事の都合で中東に渡り、十数年、現地で暮らしていました。現地の言葉をしゃべり、現地の人々と生活や仕事をともにしていました。その彼女が言ったのです。 「アメリカは当然の報いを受けたんだよ。アメリカが中東にどれだけ惨い事をしてきたか。どれだけ犠牲者がいたか。報復は当然だよ」 それが三千人の犠牲者が出た9・11への彼女の言葉でした。私は言葉をのみました。青春時代、東京の大学で、同じ教室の空気を吸っていた彼女が、十数年後に口にした言葉にショックを受けていました。私には中東問題を語るほどの知識も、現地を体感した肉声もないため、何の言葉も返すことができませんでした。 私はただテレビの向こうで繰り広げられる遠い国の出来事を見守るだけでした。 その後、アメリカはアフガニスタンのタリバンを掃討し