いつのまにか、写真は美化されて当然になっている。あれはなんなんだろう。プリクラにしろ、スマホのカメラアプリにしろ、顔面をみごとに美化してくれる。人々は美化された画像を堂々と公開している。そこに後ろめたさもなさそうだ。 私は写真を撮られることが好きではない。長く同居していた杉松もそうだった。そんな二人で暮らしていると、写真を撮る機会は一切おとずれない。われわれを置き去りにして時代は美化のテクノロジーを発展させていった。 われわれはネットで人間の美化された顔を見るたびに話し合っていた。これは何なのか。いったい何が起きているのか。日常的にこういうことをしている人間のアイデンティティはどうなるのか。画像と実物のギャップで自己同一性が崩壊したりしないのか! ある時、二人で二条のシネコンに行った。映画を観たあと、エスカレーターを降りるとゲームセンターがあった。プリクラコーナーと書いてある。われわれは目