このところ、日本企業の経営者に流行している言葉がある。「AI(人工知能)を使って何かやれ」である。ポイントは「何かやれ」だ。言葉を補って「何でもよいから何かやれ」とすれば、さらに分かりやすくなるだろう。 経営者が「何かやれ」と言う相手はもちろん部下だ。CIO(最高情報責任者)やIT部門、あるいは急ごしらえのCDO(最高デジタル責任者)やデジタル組織かもしれない。いずれにしろ、多くの企業から「社長が突然『AIだ』『データ活用だ』と騒ぎ出して困っている」といったぼやきが漏れてきている。 はっきり言って部下に「何でもよいから何かやれ」と命じるのは、経営者として「超」が付くほど恥ずかしい。言うまでもなくAIは手段である、それを活用する前提として経営上の目的が必要だ。にもかかわらず、具体的な目的を示さないのは経営者がAIを活用する経営上の目的をよく考えていないからである。経営上の目的探しまで部下に丸