「参道」と呼ばれる小道を一列になって歩くダイバー。人一人がやっと通れる幅だ=3日、島根県出雲市、佐藤慈子撮影 神々の物語が語り伝えられてきた出雲には、海底にも不思議な世界が広がる。日本海に突き出した島根県出雲市の日御碕(ひのみさき)沖に「海底遺跡」が沈み、ダイバーたちの人気を集めている。 「遺跡」を見つけたのは、日御碕のダイビングガイド・岡本哲夫さん(59)。1999年から周辺の海を調査してきた。地元の日御碕神社の聖域で、毎年8月に夕日の祭りがある経島(ふみしま)周辺の海底。岩を削ったように見える「祭壇」「階段」「参道」、玉砂利を敷き詰めた洞窟、大小の岩がウミガメの形に並ぶ「亀石」と水流に削られたような「曲水」などが、水深30メートルまでに点在する。 地元にはかつて夕日の祭りを行っていた場所が海中に没したとの伝承がある。岡本さんは「海底遺跡」は古代の夕日信仰の痕跡だと信じている。