森博嗣先生の新刊。「これからの働き方」をテーマに書いてほしいという依頼を受けて書いた一冊とのことで、就活自殺やら、ブラック企業が〜社畜が〜といった仕事に関する悲観的な言質が多いが、そんな世界に生きている、これから生きていこうとする人へ向けたエッセイになっている。個人的には森先生が最近書いているノンフィクション群の中ではテーマ的に具体的で、今まであまり語られたことのなかったジャンルの話なのでいちばん面白かった。 仕事というのは、ほとんどの人にとっては今必要なものか、いずれ必要になるものであって、それだけ興味をかきたてられる人も多いせいか、自分なりの仕事幻想の投げつけあいで溢れかえっているように見える。ノマドが〜フリーランスが〜なんてのは序の口で、就活生がまるきりなれるはずのない職業を夢みていたり。 あるいはノマドを批判している人間も視点がまるっきり遠かったりする。グローバルなやり方を推進して
「就職氷河期」という言葉が定着するようになって久しい。一時は回復の兆しが見えそうな時期もあったがリーマンショックですべてが吹き飛んでしまった。雇用に関して僕ら若者は入口に立つことすら困難な時代になったと言っていい。「非正規雇用の増加」なんて言葉もしばし声高に叫ばれている。 それでは会社に入った後はどうだろう。すると「終身雇用の崩壊」「成果主義の徹底」なんて言葉をよく耳にする。定年まで勤められるかどうかも定かではなく、常に成果を求められる。どうやら会社に入ってからも大変な時代のようだ。 最後に老後はどうか。言うまでもなく「年金の崩壊」を誰しも思い浮かべることだろう。仮に定年を迎えたとしても安全な老後は保証されていない。 上記のような言葉を目にして未来に希望を持てなくなっている人が増えている気がする。げんにネット上の意見を見ると高齢者を「逃げ切り世代」と恨めしく述べる人がいるのをよく目にするし
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