ブックマーク / honz.jp (22)

  • 『脳と時間: 神経科学と物理学で解き明かす〈時間〉の謎』全方位から迫ればわかるのか、わからないのか - HONZ

    英語で最も頻出する名詞は「time」である。 いっぽう、時間をどう定義するかについての見解は一致していない。 時間という単語にはさまざまな意味が含まれているが、文章の中や日常の会話で、異なる意味を意識して使い分けることはほとんどない。下記の文章には「時間」という単語が3つ登場する。 時間の性質についてのミンコフスキーの講演は時間どおりに終わったが、長い時間がだらだら続いた感じがした そして、3つの時間、それぞれの意味が違う、作為的な文章である。1つ目に登場する時間は「質的時間」である。一部の哲学者や科学者がうんうんと唸りながら、議論するものである。2つ目の時間は「時計的時間」である。日々の暮らしを律する基準となる時間である。3つ目の時間は「主観的時間」である。脳によって作り出されたもので、頭蓋骨の外には存在しない時間である。 時間という単語への無分別さが、謎を解き明かす邪魔になってきたが

    『脳と時間: 神経科学と物理学で解き明かす〈時間〉の謎』全方位から迫ればわかるのか、わからないのか - HONZ
  • 『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』3歳までの言語環境に、3つのTで - HONZ

    育児には神話がある。また、周囲の友人や口コミサイトからの情報に溺れ、真偽を判断する余裕もない。情報に溺れることなく、なるべく子どもと過ごす時間を増やしたいのだが、子どものためにやるべきことは尽きない。ギリギリまで手抜きしてズボラに育児がしたいが、それで、ちゃんと育児やっているんだろうか、できていると思えるのだろうか、悩む。 そんなふうに自分もなるんだろうなと、悲観的なシナリオを子どもの誕生前に考えていた。そんなときに原書『Thirty Million Words』を発見した。私の育児はこのに書かれた科学と実践によって、楽しむことができ、シナリオ通りに育児は大変だが、のらりくらりと乗り越えることができている。前置きが長くなったが、書について、紹介したい。 魅力はたった一つである。多忙な育児の中でも、0円で、すぐに、誰でも行動に移せることだ。 背景にある研究は、トッド・リズリーとベティ・ハ

    『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』3歳までの言語環境に、3つのTで - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2018/06/18
    魅力はたった一つである。多忙な育児の中でも、0円で、すぐに、誰でも行動に移せることだ。
  • 「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ

    図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊『知の広場』『サブジェクト・ライブラリアン』『情報リテラシーのための図書館』『シリアの秘密図書館』 机は勉強する大学生や高校生に占領され、読みたいはだいたい貸出中、音を立てれば「シーッ!」と怖い目で睨むメガネをかけた図書館員、映画で登場する図書館の典型である。 インターネットで検索すれば欲しい情報がすぐに手に入ってしまう時代に、日を含む世界各国の図書館は生き残りをかけて、古いイメージから脱却しようと挑戦している。の虫だけを相手にしたサービスでなく、幅広い層に利用され、図書館ならではの専門性を活かした問題解決を行い、知識社会を生きる市民のサポーターとして、なくてはならない存在になろうとしている。 存在意義と役割をアップデートしようとする試行錯誤の過程を明らかにし、スペース、サービス、教育、社会的意義の切り口から図書館の高いポテンシャルを解放す

    「図書館の隠れたポテンシャル」を引き出す4冊 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2018/03/26
    存在意義と役割をアップデートしようとする試行錯誤の過程を明らかにし、スペース、サービス、教育、社会的意義の切り口から図書館の高いポテンシャルを解放する4冊を紹介する。
  • 『時計の科学 人と時間の5000年の歴史』時計と時間のズレた関係 - HONZ

    この原稿を書いている最中に、想定外のニュースが飛び込んできた。Facebookが新しい時間の単位を発表したというものだ。人類(のほとんど)は秒を共通の使用しているが、Facebookが提案した新しい時間の単位「フリック」は、7億560万分の1秒で、映像コンテンツを制作する際に、有用な単位となるらしい。 確かに時計の技術的な進歩により、時間の単位は変わっていないが、定義は変わった。はじめは地球の自転により定義され、公転に変わり、1967年に現在の定義であるセシウム原子の固有の周期に基づく秒に変わった。 そして、人類を悩ます問題も同時に誕生した。人工的な原子時計が導入されたことで、原子時間と天文学的時間にずれが生じたことだ。そのズレの影響の被害者は、生活を裏側から支えるシステムやプログラムである。ズレを修正する「うるう秒」が1972年からこれまでに27回導入されてきたが、対応の負荷があまりに大

    『時計の科学 人と時間の5000年の歴史』時計と時間のズレた関係 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2018/01/26
    時間の単位は変わっていないが、定義は変わった。はじめは地球の自転により定義され、公転に変わり、1967年に現在の定義であるセシウム原子の固有の周期に基づく秒に変わった。
  • 『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ

    もし、子育ての成功を定義できるのであれば、成功への道があるのならば、それを知りたいと思う人はたくさんいるはずだ。そして書は、子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を見事に体系化したである。 「子育て」と「成功」という2つの言葉は相性が微妙で共鳴しづらいが、学習科学と発達心理学の第一人者である2人の著者は明確な意図を持って、この挑発的なタイトルを設定している。その意図とは、知識を詰め込めば成功できるという時代遅れの思考回路から教育現場を開放し、新しい考えを広く伝えようとする強い情熱だ。書籍以外にも、ディズニー、レゴ、子供博物館などのコンサルタントを努め、最新の考え方を浸透させる行動をしている。背景にあるのは、アメリカの惨憺たる教育事情である。 世界各地で叫ばれ続けている教育改革、ビジョンや政策

    『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2017/08/27
    子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を見事に体系化した本である。
  • 『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る - HONZ

    国民総生産(GNP)が西ドイツを抜き、第2位になるのが1968年、その前年に書は出版された。高度経済成長期の真っ只中であり、急速な成長の裏返しとして公害や環境破壊が世間の注目を集め、公害対策基法が制定された。そこから版を80回以上重ね、現在までに80万部以上を売り上げている。 発想法とは、アイディアを創り出す方法である。問題提起から記録、分類、統合にいたるプロセスをすべてカバーしている。そのため、インタビューでメモする細かい実技から、書の核であるダイナミックにデータを統合する具体的な方法、さらに、方法論が生まれた背景にある日人の思考の癖、禅と発想法の関わり、西洋の「有の哲学」に対する東洋の「無の哲学」まで、話題の幅は広い。 幅広い内容に読者が混乱しないように、章ごとの冒頭に読者をガイドする図解がある。その図解自体が書で発想法の一部として紹介されているものである。書を読み通した後

    『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る - HONZ
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    ny_12_25 2017/07/27
    野外科学で集めた情報を、発想としてまとめあげるプロセス、KJ法である。著者自身の豊富なフィールドワークの経験で得た知見をもとに、現場で繰り広げられる情報を統合する名人芸を体系化した。
  • 『消えゆく「限界大学」 私立大学定員割れの構造』差し迫る「2018年問題」、直前対策は? - HONZ

    2020年、東京オリンピックの開催の裏側で、大学入試センター試験の改革が着々と進んでいる。次の中学3年生が高校3年生になるタイミングであるから、もう間近である。高校も大学も塾も、その準備に追われてとても大変になることは想像に難くないが、その手前にも、大きな問題が来ることは随分前から囁かれていた。2018年問題である。 1992年に200万人を超えた18歳人口は、2008年に120万人台まで減り続け、その後横ばいで推移した。その安定期は2018年には終わりを告げる。2016年度の出生数は100万人を切っているため、おおよそ20万人が減ることになる。 これは大学経営に大きな衝撃を与えるだろう。大学進学率が現在の55%前後で変わらず推移すると仮定すれば、大学進学者は10万人以上減ることになり、入学定員500人の大学が200校以上消えてしまう計算なのだ。 事実として、この10年で廃止された大学は1

    『消えゆく「限界大学」 私立大学定員割れの構造』差し迫る「2018年問題」、直前対策は? - HONZ
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    ny_12_25 2017/03/26
  • 『本当に住んで幸せな街』官能的な街をはかる - HONZ

    「結局私たちは、どんなまちに住むのが幸せなのか」 センシャス・シティである。これが、書の結論だ。 センシャスは日語にすると「官能」、センシャス・シティは「官能都市」、艶やかな響きである。官能という言葉から、反射的にポルノチックなニュアンスが思い浮かんでしまう。しかし、官能の来持つ意味を調べると、「感覚器官の動き」である。まず、センシャス・シティが夜遊びする場所を評価しランキングにした、わけではないことを、ここで明らかにしたい。 意外なことに、私たちが日常的に使う製品や消費財は開発段階において、「官能」という評価指標がすでに導入されている。そして、官能というものさしを都市にも当ててみる試み、それが書の核となる方法論である。従来の人気投票でも、インフラの充実度だけで評価するのでもない、もっと暮らしている人々の“実感”を反映させることができる指標の開発を「官能」をキーワードに行ったのであ

    『本当に住んで幸せな街』官能的な街をはかる - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2016/12/27
    topは文京区、大阪市北区、目黒区とつづく。
  • 『英語の帝国』普及の決め手は親の不安と期待 - HONZ

    英語教育の早期化が加速している。次期学習指導要領からは、小学校5年生から英語は正式科目となり、小学校3年生から英語に親しむ授業がはじまる。そして、歩調を合わせるように、親の英語熱が加速している。 小学校の英語必修化について、2006年には52%の親が反対だったが、2013年には賛成が59%というアンケート結果が出ている。また、大学入試でも「読む・書く・聞く・話す」の四技能を評価する改革が進められ、早期化への拍車をかけている。 一昔前までは、義務教育前の英語学習は裕福な家庭や教育ママの贅沢だったが、今ではグローバル化への不安と機会を煽り立てられ、冷静な判断をすることもなく、我先にと我が子を母国語を覚える前から英語に触れさせ、英語教室への送り迎いをし、英語教育に熱心な小学校やインターナショナル・スクールへの入学を希望する。 その背景にあるのは、英語は早く学んだほうがいい、ということだ。しかし、

    『英語の帝国』普及の決め手は親の不安と期待 - HONZ
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    ny_12_25 2016/10/27
  • 『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』したたかさとなまぬるさの間の生き方 - HONZ

    「いま、ここ」に真剣に生きる。 そのような当たり前の事実をアドラー心理学やマインドフルネスで説かれる。わかっちゃいるけど、実践できないのは、ついつい過去を悔やんだり、不確実な未来に思い悩むからである。一方で、リスクを出来るだけ最小化するために予測可能性を高め、テクノロジーが予見する世界像を理解・共有しながら、未来の解像度を高めようとする。そうして、現在と未来の間を行き来し、板挟みになり息苦しさを感じる。 くよくよ思い悩む私たちを尻目に、世界には「いま、ここ」を生きている人たちがいる。アマゾンの少数民族ピタバンである。ピダハンの言語には、過去や未来を示す時制がきわめて限定的にしか存在しないのだ。未来や過去を含め、抽象的な概念を表現する言語はほとんど存在しない。 そして、人類学者はしばしば、金銭的・物質的な側面では明らかに私たちの社会よりも貧しい社会に存在する異なる豊かさをに心動かされ、賞賛す

    『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』したたかさとなまぬるさの間の生き方 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2016/09/27
    先鞭をつけた商人が後続の商人に気前よく教えるし、同業者によるパクリも歓迎である。その結果数カ月から1,2年のうちに商売が立ち行かなくなり、新たな市場や商品の開拓を繰り返す。
  • 『学びとは何か』乳幼児の言語発達から超一流の学びまで - HONZ

    記憶と知識の違いは何か、そもそも幼児はどのようにして言葉を学びはじめるのか、覚えても使えない知識と新しいことを生み出すことができる知識は何が違うのか、凡人と一流、そして超一流の学び方の違いは何か。「学び」についての疑問は、人生のどの局面においても好奇心をそそられる。 しかし、何を「学び」と定義するかはひとりひとり違う考えを持っており、「よい学び」という価値判断を含んだ問いが提示されれば、多くの人が自分の経験から自説を展開し、議論を論理的に収束させることが難しい。 現在のところ、共通見解となりうる「学び」の全メカニズムは解明されてはいないが、新たな道具や方法が開発され、新たな発見がなされ、「学び」について以前よりも明らかにされている。さまざまな分野で研究が進む「学び」であるが、書では認知科学の視点から深遠な学びの世界を明らかにしていく。 認知科学はヒトのこころの成り立ちと仕組みを明らかにす

    『学びとは何か』乳幼児の言語発達から超一流の学びまで - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2016/03/26
    知識と記憶の違い、、、
  • 『中谷宇吉郎 雪を作る話』新刊超速レビュー - HONZ

    世界初の人工雪の製作に成功し、低温科学の分野で大きな業績を残した中谷宇吉郎は、物理学者寺田寅彦の弟子であり、研究でも随筆においても強く影響を受けた。書は著者の科学エッセイ14篇を収録しており、どの文章にも詩的な表現とユーモアがふんだんに散りばめられ、純粋な科学のおもしろさがじわじわと伝わってくる。 冷えきったガラス板を天にかざし、降り落ちる雪を受け取っては顕微鏡で結晶を観察し、全く同じ形のない雪に感嘆し、生涯に渡り研究を続けた。なかでも多くの人に知られているのは、「雪は天から送られた手紙である」という名言である。しかし、雪や研究に関するものばかりではない。 明日の新聞紙面に掲載されたとしても、大きな反響を呼ぶに違いない政治家や政府の方針を暗に批判するようなエッセイもある。その一つ「琵琶湖の水」は、琵琶湖に小便をしたら、どれだけ水かさが増えるのかを簡単に計算するところからはじまるのだが、そ

    『中谷宇吉郎 雪を作る話』新刊超速レビュー - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2016/02/27
    この発想はなかった。”子供の時から目覚時計を直すことが好きだったり、機関車の型を皆覚えたりする子供よりも、その逆の型の方が有望なように感ぜられる。”
  • 『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること』起こりそう、起こってもおかしくない、起こりうる - HONZ

    書は摑みどころがない。何が新しいか、面白いのかと問われたときに、答えに窮する漠然としただ。スペキュラティヴという言葉にヒントがあるだろうかと辞書を引けば、思索的、思弁的、投機的といった意味がある。しかし、どの言葉を当てはめてもしっくりとは来ない。しかし、それでも不思議と紹介したくなる魅力を持っている。スペキュラティヴ・デザインという聞き慣れない言葉の捉えられなさ自体がその魅力となっていると思う。 どうして、スペキュラティヴ・デザインは掴みどころがないかといえば、自らをわかりやすく定義し、定義されることを拒んでいるからだ。単一の価値観に異を唱え、自らも単一化したイメージとして理解されることを拒否する。厄介な問題に対する「ソリューション」ではなく、物事の可能性を思索するための手段として用いる。想像力を駆使して、新しい見方を切り開くことに重きをおいている。 そこで一つ疑問が湧く。スペキュラテ

    『スペキュラティヴ・デザイン 問題解決から、問題提起へ。—未来を思索するためにデザインができること』起こりそう、起こってもおかしくない、起こりうる - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2016/02/27
    スペキュラティヴ・デザインはアートや芸術と何が違うのだろうか。
  • 『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと』ミレニアム世代の寄付と仕事の関係 - HONZ

    効果的な利他主義者はその問いを突き詰めて考え、仕事を選択する。寄付先の選択も同様で、たくさんのいいことができる寄付先を選ぶ。例えば、 ・ 犬が好きなので、地元の動物シェルターに寄付している ・ 日人なので、なによりも日の恵まれない人たちに寄付をする ・ が乳がんで亡くなったので、乳がん研究に寄付している ということについて、彼らはどのように考えるだろうか。寄付をするもっともらしい理由に思えるが、効果的な利他主義者は、寄付の理由としてこれらを間違っていると考える。 また、寄付に関する著名な実験の一つに、一方のグループに1人の子供の写真を見せて、その名前と年齢を教え、その少女の命を救うには30万ドルをかけて新しい効果な薬を開発するための基金への寄付を依頼する。もう一方のグループには、八人の子供の写真を見せて、名前と年齢を教え、同様の薬の開発で8人全員の命を救うことができると寄付を呼びかけ

    『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと』ミレニアム世代の寄付と仕事の関係 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2016/01/26
    どのキャリアを選べば、世の中のために<いちばんたくさんのいいこと>ができるだろうか。
  • 『雇用身分社会』歴史とデータで掴む雇用の現在地 - HONZ

    1970年代の日では、中間層の膨張が誇張され、「一億総中流」という言葉がよく使われた。しかし、90年代初めのバブル崩壊後の長期不況の中で、年収300万円未満の所得階層が大幅に増加し、全体の過半数に達した。その一方で、300万円以上の所得階層が大幅に減少して、日は「中流社会」から「格差社会」に移行したと言われるようになった。その格差社会への移行の質は、雇用身分社会への移行であったのではないか、といのが書の大筋だ。 すでに隠蔽できない事実として、正社員、派遣、パート、アルバイトと雇用形態の違いにより、待遇に明確な差がある。たとえば、待遇では、派遣社員は社員堂を使うことはできないこと、正社員とパートは同じトイレは使えないことだ(書内では会社名も明らかにされている)。 また、雇用形態ごとの賃金格差は学歴の違いによる賃金格差よりはるかに大きい。他にも労働時間、未婚率、若者の非正規雇用率、

    『雇用身分社会』歴史とデータで掴む雇用の現在地 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2015/12/27
    年末にぜひ。
  • 『反骨の公務員、町をみがく』故きを温ね新しきを知る - HONZ

    どの分野にも領域にも、先人の積み重ねた努力や科学的な発見がある。決して華やかではない公務員仕事にも、いぶし銀のように輝くストーリーが存在する。愛媛県内子町にも過疎化や高齢化が盛んに叫ばれる前から、現場で熱く奮闘し、冷静な目で地元の未来を考えてきた1人の公務員、岡田文淑がいた。 1940年生まれ、内子町にある子どもに恵まれなかった一家に養子として出された。高校を卒業後、地元の郵便局に臨時職員として勤めはしたが、仕事に魅力を感じず、すぐに退職。たままた公務員の試験を受け、合格。今でこそ、羨望の職である公務員だが、当時は銀行・電力・郵便局はおろか、農家よりも人気も給与も少ない職種だった。村に残らざるを得ない旧家の長男やぼんぼん、縁故採用がほとんどのなかで、岡田は試験採用第一号だった。 仕事はそこそこに組合の活動に熱中していたが、30歳のとき、新設された観光係に配属となった。能力を期待されての移

    『反骨の公務員、町をみがく』故きを温ね新しきを知る - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2014/08/14
    地に足をつけたくなります。
  • 『「ゼロリスク社会」の罠』危険を見極めるコツ - HONZ

    HONZのレビューの書き手は日付の下一桁で決まっていて、さながらプロ野球の先発ローテーションのようだ。先発1番手は投稿回数73の鉄腕内藤順、2番手は豪腕ならぬ豪筆村上浩、3番手の神様仏様土屋様は昨日HONZ史上最高のアクセス数を記録、サーバーをダウンさせた。 強力3柱の後、4の付く日はそれなりにプレッシャーがかかる。だとしても、怖じ気づいてもボールを投げないことにはじまらない。 「ゼロリスク社会」を野球の投手に例えてみれば、打たれたくないからといってストライクを一切投げない投手だ。打たれるというわかりやすいリスクを避けて、ゼロリスクを手に入れる。しかし、結果として、フォワボールで押し出し、失点というより大きなリスクを招き、自滅していく。打たれるリスクを受け入れないと、そもそも試合は成り立たないし、勝つことはできない。 そして、私たちもストライクを投げない投手(おそらく存在しないが「ない」

    『「ゼロリスク社会」の罠』危険を見極めるコツ - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2012/10/04
    「危険がある」「リスクがある」という言い方はありますが、「安全がある」という言葉はありません。
  • 歴史が動いた二人の出会い『自動車王フォードが語るエジソン成功の法則』 - HONZ

    タイトルから誤解を招きそうなので、予め断っておくが、自己啓発書ではない。自動車王ヘンリー・フォードが発明王トーマス・エジソンから直接聞いた話をまとめた言行録である。今回新訳として出版された書の原著は80年以上前に出版され、日では昭和初期に一度翻訳されている。 二人はそれぞれ49歳、33歳のとき上司部下の関係で初めて出会い、その後、親しい友人として、お互いの事業を助け合う同士として、長きに渡り交遊を続けた。 二人の人類への功績は語るまでもない。エジソンはライフが選定した「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」で第一位に輝いている。彼の自伝は小学生の課題図書のテッパンであり、エジソンの並々ならぬ努力に感動し影響を受けた人物は数知れない。フォードも15位にランキングされている。大量生産方式を確立させ、20世紀の工業社会の基盤を築いた。ランキングの2〜14位にはコロンブスや

    歴史が動いた二人の出会い『自動車王フォードが語るエジソン成功の法則』 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2012/09/24
  • ノリと勢いで旅立つ前に『旅を生きる人びと―バックパッカーの人類学』 - HONZ

    自分の体験を手がかりに、雑的にを貪り読むと、自分の体験との登場人物が積んだ経験の境界線がわからなくなる。このは読み終わった瞬間にその錯覚に囚われ、このを読んだ前の世界に戻れなくなってしまった。 バックパッカー、古くは沢木耕太郎や藤原新也が有名だ。旅先でも彼らのが伝説のバイブルとなり、バックパッカーの間で古が交換され流通している。90年代は電波少年で一躍有名になった猿岩石。突然拉致され、目隠しで車にのせられるシーンは忘れられない。いざこざはあれどユーラシア大陸を横断し、バックパッカーブームの一翼を担った。 00年代はメジャーではないが、若者の心にあるのは高橋歩だろう。書では自分探し界のカリスマとして登場する。私自身も旅先のニュージーランドで15歳の少年にその存在を教えてもらった。少年は15歳年上の彼女に誕生日プレゼントでもらったと自慢げに高橋歩のを僕に貸してくれた。そんな私

    ノリと勢いで旅立つ前に『旅を生きる人びと―バックパッカーの人類学』 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2012/09/14
    そーそー
  • コミュニティで創る子供たちの遊び場『KaBOOM!』 - HONZ

    創業者ダレル・ハモンドは8人兄弟の下から2番目に生まれた。父親は生後1年9ヶ月でトラックの積荷を降ろしてくると出かけたきり失踪、帰ってくることはなかった。母親はいくつもの職を掛け持ちをして子どもたちを養おうとしたが、8人もの子供は負荷が大きすぎ、役所のソーシャルワーカーによって8人の子どもたちはムースハートという施設に入所することになった。失踪した父親も大家族の16人兄弟で、父親の両親(ハモンドの祖父母)も政府から子どもたちの養育資格を奪われ、16人の兄弟はバラバラとなった。父親の他の兄弟姉妹も7人、11人と大家族を形成していたのである。世代を跨いで悪循環が続く家庭環境にハモンドは生まれた。 家族の悲劇は続く。兄弟姉妹が尊敬する姉のキティが殺されたのだ。正確にはいざこざの中でキティが共に再婚だった夫を殺害し、その後自らに銃口を向けたのだ。他の家族はその事実を受け入れることが難しく、今でも否

    コミュニティで創る子供たちの遊び場『KaBOOM!』 - HONZ
    ny_12_25
    ny_12_25 2012/08/24
    動画は必見。