背景 人間よりも強い将棋AIが登場して5年ほど経ち、近年ではプロ棋士がAIを使って研究したり、テレビ中継などでAIによる局面評価や次の推奨手が視聴者に示されるのもごく一般的なこととなってきた。そんな中、最近では深層学習を取り入れた、いわゆるDL系と呼ばれる将棋AIが台頭してきている。深層学習を取り入れた将棋AIの最初の成功例はDeepMind社が開発したAlphaZeroであろう。コンピュータ囲碁の世界で初めて人間のプロを打ち破ったAlphaGoの系統を汲む(汎化された)ボードゲームAIであり、囲碁に加えて将棋とチェスも指すことができる。AlphaZeroは2017年末、当時の世界コンピュータ将棋選手権優勝ソフトであったelmoに対し、100番勝負で実に90勝8敗2分という圧倒的成績を上げた[1, 2]。これ以降、コンピュータ将棋の分野においても、積極的に深層学習を取り入れようとする開発者