「年金大崩壊」 岩瀬達哉著 講談社 2003年9月発行 1680円(税込み) 【文庫】(左写真) 2007年12月発行 620円(税込み) 一言、“怒”である。 今回の2冊を読み終えて、怒ることなく笑っていられる人は、よほどの人格者か極度の鈍感かのどちらかだ。そろそろ確定申告の時期だが、読み終えて、なおかつ気持ちよく税金を支払える人は聖人君子か、または認知症が始まっているかのどちらかである。 それほどまでに、今回の2冊の読後感は悪い。後に残るのは憤怒の感情のみである。それも今わたしたちが生きている日本という国、わたしたち国民の代表である日本政府に対する、引き裂いてやりたいほどの怒りの感情だ。なにしろ両書とも、はっきりと「国が国民から金銭をくすねていた」「社会保険庁という官僚組織が、国民に金銭的被害を与えていた」という、まがいようのない事実を突きつけてくる。